岡山県内の自治体様を対象に、座学・ハンズオン・グループワークで学ぶ、防御力+回復力によるサイバーレジリエンス


2026年7月17日(金)、株式会社鳥取県情報センター様(本社:鳥取県鳥取市/岡山支店)の主催のもと、岡山県内の自治体様を対象とした「ランサムウェア対策ワークショップ」が開催され、ネットアップ合同会社は講師として協力しました。県内9自治体から16名の情報部門ご担当者様にご参加いただき、座学・ハンズオン・グループワークを組み合わせた実践的なプログラムを通じて、ストレージを起点としたランサムウェア対策の考え方と、被害を最小化・早期復旧するための具体的な手法を体験いただきました。
鳥取県情報センター様は、1969年の創業以来、鳥取県および県内外の自治体様のICTを長年にわたり支えてこられた地域IT企業です。自治体業務に精通した鳥取県情報センター様と、ストレージ・データ保護を強みとするネットアップが連携することで、現場の実務に即した内容をお届けしました。本記事では、当日のプログラムの内容と、参加された自治体職員の皆さまの学びをレポートします。
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の「情報セキュリティ10大脅威(組織編)」では、ランサムウェア被害が6年連続で最大の脅威に位置付けられています。攻撃は無差別型から、医療機関や自治体など「社会的影響の大きい組織」を狙う標的型へと高度化し、暗号化に加えてデータ窃取・暴露を伴う「多重脅迫」も一般化しています。
警察庁が公表した国内の被害実態からも、防御だけで攻撃を防ぎきることの難しさが浮き彫りになっています。座学では、以下のようなデータを交えて現状を共有しました。
本ワークショップは、知識の習得にとどまらず、実際の被害を想定した実践的な内容としました。当日のアジェンダは以下のとおりです。
| 時間 | プログラム | 内容 |
| 13:30–13:40 | オープニング | 開会の挨拶、ワークショップの趣旨と流れの説明 |
| 13:40–14:20 | 座学:昨今のランサムウェア攻撃被害の状況と対策の考え方 | 最新の攻撃動向と被害事例を踏まえ、ストレージ機能を活用した対策の考え方を解説 |
| 14:20–15:20 | ハンズオン:ランサムウェア攻撃による被災から復旧するまでの流れ | 暗号化発生時の挙動と復旧手順を、NetAppの仮想演習環境で実践 |
| 15:30–16:20 | グループワーク:現状のセキュリティ課題と取り組み状況の共有 | 各組織のセキュリティ課題と、当日紹介した対策機能の活用状況を共有 |
| 16:20–16:30 | ラップアップ | 全体の振り返り、閉会の挨拶 |
① 座学:昨今のランサムウェア攻撃被害の状況と対策の考え方
NetAppのシニアソリューションアーキテクトが講師を務め、最新の脅威動向と被害事例を紹介したうえで、従来の多層防御だけでは防ぎきれない現状を踏まえ、ストレージ自身が備えるべき「防御力」と「回復力」について解説しました。特に、NetAppの実装例を用いながらも、他のストレージ製品にも応用可能な普遍的な考え方として、対策を保護・検出・復旧の3つのフェーズで整理しました
| フェーズ | 対策の観点 | 代表的なNetApp機能 |
| データ保護 | 改ざん・削除できないバックアップ/最小権限の徹底 | SnapLock(WORM)、Tamperproof Snapshot、Multi-Admin Verification(MAV |
| 検出 | 攻撃の予兆・暗号化の早期検知 | Autonomous Ransomware Protection(ARP/ARP・AI) |
| 復旧 | 被害調査と業務再開を両立する迅速なリストア | SnapRestore、FlexClone |
② ハンズオン:ランサムウェア攻撃による被災から復旧するまでの流れ
万が一被災した場面を想定し、NetAppの仮想演習環境を用いて、ファイルが暗号化された際の挙動の確認から、ARP/AIによる攻撃の自動検知、被害データの保持と業務再開を両立するためのFlexCloneを活用した復旧の流れを実機で確認いただきました。
③ グループワーク:現状のセキュリティ課題と取り組み状況の共有
自己紹介に続いて、各テーブルで日頃のセキュリティ課題や運用上の悩み、当日紹介した対策機能の活用状況(利用中・検討中)を共有いただきました。自治体間での知見交換を促すため、同一自治体の参加者が同じグループにならないよう編成し、活発な意見交換が行われました。ランサムウェアをはじめとするサイバー攻撃が自治体にとって極めて身近な脅威であり、危機感や関心が非常に高まっていることを、改めて強く実感する時間となりました。
ワークショップを通じて、ストレージ層でのデータ保護がサイバーレジリエンスの要となることを、以下の観点から共有しました。
ご参加いただいた自治体様の声
実機演習では、参加者の皆さまが復旧操作に真剣に取り組まれ、「思ったより短時間で戻せる」「これなら有事にも落ち着いて対応できそう」といった声を数多くいただきました。ランサムウェア対策は“防ぐ”だけでは完結せず、“被害を前提に、いかに素早く元に戻すか”という回復力の設計が欠かせません。今回のように、実際に手を動かして復旧を体験いただくことが、有事の際に迷わず動ける備えにつながると考えています。今後も、地域の自治体様に寄り添う鳥取県情報センター様とともに、皆さまの課題解決に役立つ情報発信と実践的な機会の提供を続けてまいります。
ネットアップ合同会社 ソリューションアーキテクト本部 シニアソリューションアーキテクト
丸山 直人
NetApp入社以来11年間、お客様担当のプリセールスSEとして活動。現在は中四国エリア全域および近畿圏の自治体、大学・研究機関を担当している。公共・文教分野を中心に、ストレージ基盤の更改提案、データ活用基盤の整備、クラウド連携、サイバーリジリエンス強化に向けた技術支援に従事。近年は研究DXやAI活用を支えるデータ基盤の提案活動にも注力している。