オンプレミス ストレージ ソリューションでは、企業の自社施設またはコロケーション データセンターに設置された物理ハードウェア上でデータをホスティングおよび管理します。このアプローチでは、データ、ハードウェア、セキュリティーを直接制御できるため、重要なアプリケーションや機密データに対して予測可能なパフォーマンスと低レイテンシを実現します。ただし、多額の先行投資、継続的なメンテナンス、ハードウェアとソフトウェアの保守のための専任ITスタッフが必要であり、物理インフラとハードウェアのアップグレードによって拡張性が制限されます。
これらのソリューションは、通常、重要なデータ ガバナンス、規制、またはレイテンシーのニーズを持つ企業に役立ちます。医療、金融、政府などの分野では、外部データ ホスティングに伴うリスクを軽減し、厳格なコンプライアンス要件に対応できるため、オンプレミス ストレージが魅力的です。
初期導入にはコストがかかり、複雑性も増すものの、データ主権、カスタマイズ、特殊なパフォーマンスが絶対的に譲れない場合には、多くの企業がオンプレミス ストレージを選択します。
オンプレミス ストレージは、制御、パフォーマンス、コンプライアンスを重視する組織にとって、幅広いメリットを提供します。社内リソースの負担は大きくなりますが、多くの企業、特に規制が厳しい環境や高度なセキュリティーが求められる環境で事業を展開している企業にとっては、メリットがデメリットを上回る可能性があります。
主なメリットは以下のとおりです。
データ主権
データ保管に関する厳格な法規制がある国では、情報を海外の管轄区域に保管すると、法的な罰則やコンプライアンス違反につながる可能性があります。オンプレミス ストレージを利用することで、組織はデータが組織の物理的な所在地から持ち出されることを防ぎ、データに対する完全な管轄権を維持できます。これは、データが機密扱いであったり、国内の監督の対象となる防衛、医療、法執行機関などの分野では不可欠です。例えば、EUのGDPRやカナダのPIPEDAは国境を越えたデータ転送を制限することがあり、その場合、多くの企業にとってオンプレミス ソリューションが唯一のコンプライアンス対応オプションとなります。
さらに、オンプレミス システムは、透明性と検証性に優れたストレージを提供することで、監査とデータのローカライゼーションを簡素化します。ITチームは、データがどこに保存され、どのように保護されているかを正確に示すことができます。これは法務または規制当局による審査で求められることがよくあります。
機密データの保護
オンプレミス ストレージを利用することで、企業はリスク プロファイルに合わせたきめ細かなセキュリティーポリシーを実装できます。これには、カスタム暗号化スキーム、ネットワーク セグメンテーション、物理アクセス制限、多要素認証などが含まれます。これらはすべて、サードパーティーへの露出なく社内で管理されます。製薬研究、航空宇宙、法律事務所など、独自のデータや機密データを扱う業界は、攻撃対象領域を最小限に抑え、パブリック クラウド モデルに見られる共有テナントのリスクを回避できるというメリットがあります。
さらに、オンプレミス環境はセキュリティー イベントを完全に可視化します。組織は、高度な侵入検知システム(IDS)、ログ ツール、SIEMプラットフォームを導入し、社内監視ワークフローと緊密に統合できます。こうしたきめ細かな制御は、データ漏洩の防止とインシデント対応能力の強化に役立ちます。
高速のローカルアクセス
CAD/CAMシステム、ビデオ レンダリング ファーム、トランザクション データベースなど、大量のデータを生成または消費するアプリケーションには低レイテンシーで高帯域幅のストレージが必要です。オンプレミス環境であれば、インターネット スループットへの依存がなくなり、クラウド プラットフォームではプレミアム サービスなしでは実現できないギガビット、さらには100GbEの社内ネットワークを実現できます。
例えば、8K映像を扱うアニメーション スタジオや、高頻度の取引アルゴリズムを実行する金融会社では、リモート データ アクセスに依存せざるを得ない場合、パフォーマンスが大幅に低下します。スループットとIOPSが最適化されたローカル ストレージ アレイを使用することで、組織はミッションクリティカルなデータへのほぼ瞬時の一貫したアクセスを実現できます。
エッジ コンピューティングとローカル処理
石油掘削装置、採掘現場、製造工場、軍事拠点などの分散型または遠隔地環境において、オンプレミス ストレージはローカライズされたコンピューティング インフラをサポートします。これにより、集中型クラウドモデルのレイテンシーや接続要件なしに、リアルタイムのデータ取り込み、分析、意思決定が可能になります。
ローカル ストレージを備えたエッジ システムは、障害発生時にデータをバッファリングしたり、ソースでAI/ML推論を適用したり、アクチュエーターやセンサーを数ミリ秒単位で制御したりできます。例えば、工場の予知保全システムは、センサーデータをオンサイトで分析して機器の故障を防ぎ、クラウドとの間でデータを送受信することで発生する遅延を回避できます。
レガシー システムの統合
多くの企業は、最新のクラウド プラットフォームではサポートされていない特定のオペレーティング環境、ストレージ形式、またはハードウェア インターフェースを必要とするレガシー アプリケーションに依存しています。オンプレミス ストレージは、これらのシステムを大規模な書き換えやデータ移行なしで維持できる柔軟性を提供します。ストレージはNFS、SMB、またはFibre Channelなどのプロトコルを使用するように構成でき、従来のワークロードや独自ソフトウェアとの統合をサポートします。
これは、長年にわたるERPシステム、SCADAプラットフォーム、または業種特化型アプリケーションを持つ企業にとって特に価値があります。ストレージを既存インフラと同じ場所に設置することで、企業は運用の継続性を維持しつつ、リスクやコストを伴う全面的なモダナイゼーションを回避しながら、段階的に最新システムへ移行できます。
1.NetApp ONTAP
NetApp ONTAPは、オンプレミス環境でのエンタープライズ グレードのデータ管理を提供するために設計されたユニファイド ストレージ プラットフォームです。シームレスな拡張性、ハイパフォーマンス、堅牢なデータ保護を提供し、AI、分析、ハイブリッド クラウド統合など、多様なワークロードに最適です。ONTAPは、データの可用性とセキュリティーを確保しながら、ストレージ運用を簡素化します。
主な特徴は以下のとおりです。
2.Dell EMC PowerScale
Dell EMC PowerScaleは、AI、HPC、マルチクラウド環境のパフォーマンス、拡張性、セキュリティー要件を満たすように設計されたスケールアウトNASプラットフォームです。大規模なデータセットへの高スループットアクセスを提供しながら、インフラ管理を簡素化します。Dell AI Data Platformの一部として、GPUを集中的に使用するワークロードを効率的かつ安全に実行できます。
主な特徴は以下のとおりです。
3.Qumulo
Qumuloは、オンプレミス、クラウド、ハイブリッド環境にわたる非構造化データを管理するための、ソフトウェアで定義されるクラウドネイティブ ファイル ストレージ プラットフォームです。そのアーキテクチャーは、大規模なスケーラビリティ、リアルタイム分析、マルチプロトコル アクセスをサポートし、ハイパフォーマンス コンピューティングから分散コラボレーションまで、多様なワークロードに適しています。
主な特徴は以下のとおりです。
4.Cloudian
Cloudian HyperStoreは、大量の非構造化データを管理する企業向けのオンプレミス オブジェクト ストレージ プラットフォームです。エクサバイト規模の容量をサポートし、AI、分析、長期アーカイブといったデータ集約型ワークフローに最適化されています。HyperStoreはソフトウェアで定義されるため、標準的なハードウェア上で動作します。
主な特徴は以下のとおりです。
5.DataCore Swarm
DataCore Swarmは、オンプレミス、エッジ、ハイブリッド クラウド導入向けのソフトウェアで定義されるオブジェクト ストレージ プラットフォームです。大規模な非構造化データの管理と保護を簡素化するとともに、高可用性、リニアなスケーラビリティ、S3およびHTTPプロトコルを介した即時アクセスを実現します。
主な特徴は以下のとおりです。
厳格な管理、パフォーマンス、コンプライアンス要件を持つ組織にとって、オンプレミス ストレージは依然として戦略的な選択肢です。より多くの投資と社内の専門知識が求められる一方、機密性の高いワークロードや高スループットのワークロードに対して比類のない可視性、カスタマイズ性、そしてセキュリティーを提供します。データのローカリティー、ガバナンス、レイテンシが重要な業界において、オンプレミス ソリューションは長期的な価値とレジリエンスを提供し続けます。