2025 NetAppインパクトレポートが示唆するもの
約10年前、世界はパリ協定の下で団結し、脱カーボン化という重要な目標に向けた大きな前進を見ました。それは、国家、企業、人々が、最終的にカーボンに頼らない成長を目指すという考えで合致した、前例のない喜ばしい瞬間でした。
この流れによって、世界共通の思いを実現するために、それぞれが与えられた責任を果たす必要があるという認識が生まれました。私たちは、報告と開示のための標準化されたグローバル フレームワークの構築に向けた動きをスタートさせました。これは、コミットメントへの進捗を測定可能にするために必要なステップでした。
それ以降の道のりは決して平坦なものではありませんでした。政治の変化、経済の不確実性、規制への反発など、さまざまな課題が浮上しました。しかし、今振り返ってみると、1つのことが明らかになっています。状況が変わっても、サステナビリティが企業の優先事項でなくなるわけではないということです。
そして、理想主義から現実的な成果を示す段階となり、さまざまな議論も機が熟しつつあります。私たちは今、サステナビリティを実現しながら、レジリエンスの強化、コストの削減、リスクの軽減、成長の新たな機会の開拓など、投資効果も期待される新しい時代に入っています。
NetAppでは、こうした移り変わりが、私たち自身の成果・効果測定およびレポート方法にも反映されています。本日発表された 2025 NetAppインパクト レポートでは、サステナビリティがいかに当社の戦略、企業文化、長期的な競争力の中核になっているかが示されています。
私たちは、3つの分野に注力して価値を創造、提供しています。
NetApp®のインテリジェント データ インフラストラクチャソリューションの統合ポートフォリオは、環境への影響を最小限に抑えながら、ビジネスのパフォーマンスを最適化します。NetAppでは、製品レベルで詳細な環境データを提供するとともに、ハードウェア購入時のカーボン フットプリントに関する科学的根拠に基づいた透明性あるデータなどをお客様に提示しています。
また、グローバルな製品回収プログラムを通じて、お客様が責任を持ってe-waste(電子廃棄物)を管理できるようにサポートしています。今後は、梱包材の回収にもプログラムを拡大していく予定です。これらの取り組みは、循環型経済とより持続可能なテクノロジー エコシステムに対する当社の取り組みを表しています。
ビジネスの成功とレジリエンスは、常に「人」にかかっています。そのため、今年私たちは社内で「Thrive」という仕組みを立ち上げました。これは、全従業員がさらなる高みを目指す文化を促進するために設計された全社的な取り組みです。Thriveは、すべての従業員が成長し、帰属意識を高め、成果を上げ、評価されるための透明で明確な方法を提供する仕組みです。
NetAppの社員は、社会貢献にも大きな影響を与えています。私たちは、教育を社会貢献活動の中核と位置付け、お客様や非営利団体と連携して、データとAIのリテラシー、スキルを身につけ、キャリアパスを手に入れる手段を次世代の若者に提供しています。NetAppの2025会計年度(FY25)には、これまで支援した学生は全世界で50万人に到達しました。これは昨年比452%増となります。
自社のビジネスのサステナビリティを実現するために、NetAppは、エネルギー効率の向上、カーボン型のエネルギー源への依存の低減、天然資源の保全、サプライチェーンの強靭性の強化に注力しています。
2025年1月、Science Based Targets Initiative(SBTi)はNetAppの更新された短期排出削減目標を検証し、当社は目標達成に向けて順調に進んでいることが確認されました。FY25には、エネルギー消費量が増加したにもかかわらず、スコープ1および2の排出量を前年比6%削減し、2020年以降の運用排出量の合計削減率は41%となりました。
また、今年は初の気候リスク評価を実施し、部門横断的な社内チームと外部の専門家を巻き込み、長期的なレジリエンスを強化して将来の戦略に情報を提供しました。
将来に目を向けると、特にAIの時代においては、データを持続可能性から切り離すことはできないことがわかっています。データとエネルギーの需要が高まり続ける中、完全に持続可能なデータ パイプラインの構築に取り組んでいます。エネルギー使用量を最小限に抑えるAIに最適化されたストレージ ソリューションを開発しながら、物理的な製品やインフラに循環型経済の実践を組み込み続けています。
今年私たちが成し遂げた進歩を誇りに思いますし、それを可能にしてくれた人たちに感謝しています。最終的に、私たちのサステナビリティの目標に変わりはありません。しかし、これらの目標に鮮明に取り組み、測定可能なインパクトとビジネスバリューに重点を置くことで、サステナビリティと成功は相互に補強し合う原則であることを証明しているのです。それこそが、より強靭で持続可能な世界を創造する方法です。
2025 NetAppインパクト レポートを詳しくご覧ください。
Nicola Acuttは、ビジネス、テクノロジー、サステナビリティの交差点において20年以上のリーダーシップ経験を持つ、経験豊富なサステナビリティ専門家です。Nicolaは2024年6月に、NetAppの初代チーフ サステナビリティ オフィサーとして入社しました。この新設された役職で、彼女はサステナビリティを戦略とオペレーションに統合し、バリューチェーン全体での脱炭素化を推進し、インテリジェント データ インフラストラクチャにおける持続可能なアプローチの構築に注力しています。NetApp以前は、NicolaはVMwareのチーフサステナビリティオフィサーを務めていました。彼女はカリフォルニア大学バークレー校で学士号を取得し、イギリスのイーストアングリア大学で博士号を取得するためにコモンウェルス奨学金を授与されました。