クラウドバックアップ戦略とは、ファイル、データベース、あるいは仮想マシン全体のコピーを、二次的なオフサイト環境に送信する仕組みです。目的は、障害や災害が発生した場合に備えてこれらのコピーを保持することにあります。クラウドベンダーは、これらのコピーを保存するための二次データストアやサーバーを提供しています。
クラウドバックアップサービスにはいくつかの種類があります。データをパブリッククラウドに直接バックアップする方法、専用のクラウドバックアッププロバイダーを利用する方法、あるクラウドから別のクラウドへバックアップする方法、オンプレミス環境からクラウドにバックアップする方法などです。
本記事は、データセキュリティに関する包括的なガイドシリーズの一部です。
クラウドバックアップサービスは、ソフトウェア定義ストレージ(Software-Defined Storage)として仮想化されたリソースを利用します。この仮想アーキテクチャにより、プロバイダーは大規模なストレージプールを構築し、複数の顧客に分割して提供できます。
これらのマネージドサービスを利用することで、専用の物理サーバーや仮想サーバー、テープバックアップ用のオフサイト設備、高額なテープドライブや専用バックアップソフトウェアは不要になります。
仮想化ストレージ
ソフトウェア定義ストレージにより、クラウドプロバイダーはストレージをバイト単位で管理し、マルチテナントアーキテクチャを活用して各アカウントを完全に分離します。これにより、異なる顧客データの隔離が確実に実現されます。
クラウドバックアップサービスの利用者は、頻繁に使用するデータを複数の地理的ロケーションに保存できます。例えば、オフィスの近くにあるベンダー所有のデータセンターを利用すれば、高速アクセスが可能です。
バックアップターゲットとアクセス方法
Amazon Web Services(AWS)や Microsoft Azure などのクラウドストレージプロバイダーは、クラウド上にサーバーを作成し、バックアップターゲットとして利用できる IaaS モデルを提供しています。
多くのクラウドバックアップサービスは、ソフトウェアやユーザーからはネットワークドライブのように見える専用ソリューションを提供します。柔軟性が高い一方で、追加料金が発生する場合や、保存データの保護のために別途コストが必要になる場合があります。
さらに、クラウド顧客は NAS(ネットワーク接続ストレージ)などのローカルストレージリソースを仲介として利用することも可能です。この方法により、頻繁に使用するファイルをローカルネットワーク上に保存し、高速にアクセスできます。
管理とストレージ階層
クラウドバックアップベンダーは、データ量や需要、セキュリティ、帯域幅の変動条件に応じた管理ツールを提供します。シナリオによっては、可変的なデータ保持要件も考慮されます。これにより、管理者が指定した期間を超えたファイルやフォルダを自動的に削除することが可能です。
また、ストレージ階層(頻繁アクセス用ストレージやアーカイブ用ストレージなど)は料金が異なります。顧客はポリシーを定義し、利用頻度の低いデータやコンプライアンス目的でのみ保持されるデータを、自動的に適切な階層へ移動させることで、コストを最適化できます。
クラウドにデータをバックアップするには、いくつかの方法があります。
データをパブリッククラウドストレージサービスにコピーする方法です。自社で用意したバックアップソフトウェアを用いてデータをコピーし、クラウドサービスはその安全な保存先として機能します。
バックアップソフトウェアは、クラウドサービスと連携できる必要があります。一般的には、Amazon S3 API などの標準的なクラウドストレージAPIをサポートしていることが求められます。また、必要に応じて独自のデータ保護対策を実装することも可能です。
多くのクラウドプロバイダーは、マネージドデータセンターにデータを書き込むバックアップサービスを提供しています。この場合、ベンダーが提供するバックアップソフトウェア、またはサービスプロバイダーとシームレスに統合できる汎用バックアップソフトウェアを使用する必要があります。
C2C(Cloud-to-Cloud)バックアップサービスは、あるクラウド環境から別のクラウド環境へデータをバックアップします。これにより、IaaS 環境や SaaS アプリケーション上のデータをコピーできます。目的は、レジリエンスの向上と単一クラウドプラットフォームへの依存低減です。通常、C2C サービス自体がバックアップ処理を実行するソフトウェアを提供します。
オンプレミスでのバックアップ管理を行いながら、クラウドサービスへのデータバックアップを可能にするハードウェアソリューションを利用する方法です。これらのアプライアンスは、ディスク容量、バックアップサーバー、専用バックアップソフトウェアを統合したオールインワンのバックアップ環境を提供します。
一部のソリューションでは、1つまたは複数のクラウドベースのバックアップサービスやクラウドプロバイダーと統合できます。これらのアプライアンスは、最新のバックアップコピーをローカルに保持しつつ、クラウドプロバイダーにコピーを転送します。これにより、ローカルコピーから直接復旧できるため、時間と転送コストを節約できます。
クラウドバックアッププロバイダーを評価する際に考慮すべき重要な側面は以下のとおりです。
まとめ: 信頼性と必要な機能を満たしつつ、可能な限り低コストで利用できるサービスを選びましょう。その際、データモビリティやユーザーの地理的分布なども考慮することが重要です。