医薬品製造に必須の安定性を担保しつつ、システム基盤の最適化を実現
変化に直面する企業に求められるIT投資とは
日本製薬株式会社は、アリナミン製薬株式会社のグループ会社への移行に伴う事業再編に際して、NetAppストレージの安定性、データ移行の効 率性を最大限に活かし、ビジネス規模に合わせたシステム最適化を実現 しました。医薬品・医薬部外品の開発・製造から販売までという広範な 事業領域から、受託製造という強みのある領域に集中し、必要な機能を 見極めたうえで、コストとパフォーマンスのバランスを取りながらシステム をスマートにシュリンクしていく。そんな取り組みは、人口減による市場規模、事業環境の変化に直面する企業にとって、IT 投資の新たな方向を示唆するものです。


日本製薬株式会社は、1921 年に創業し、現在は、大阪、泉佐野市に本社工場を構え、医薬品ならびに医薬部外品の受託製造事業を展開。アリナミン製薬株式会社(以下、アリナミン製薬)グループの重要な製造拠点として、「製品供給における最良のパートナーとして、高い品質と安心の製品を確実に届けていく」という企業ビジョンのもと、ドリンク剤なとの製造に注力しています。
同社 取締役工場長 石川誠氏は、「医薬品製造業 において、IT はビジネスに欠かせないものです」と、データインテグリティ(完全性、一貫性、正確性)やトレーサビリティ(追跡可能性)に対する要求が厳しい業界ならではの重要性を強調します。定められた手順を遵守し、安定的な供給や品質の維持•管理を実現するために、IT は欠くことのできないツールとして位置づけられているのです。
日本製薬が、受託製造事業へと大きくシフトしたのは、武田薬品工業株式会社のグループ企業だった2022 年10 月に行われた事業再編がきっかけです。同社 経理・IT グループ グループマネジャー 伊藤久司氏は、「業態の変化により従来のシステム全体を整理する必要があり、継続利用が必要なシステムを取捨選択し、老朽化が進行しつつあるシステムの更新やデータセンターの移設を含め検討することになりました」と当時を振り返ります。検討作業を進めるなかで、2024 年7 月の株式譲渡によりアリナミン製薬グループとなったことで、計画の見直しが必要となりました。
製品選定においては、パフォーマンスの劣化を絶対に避けたいという方針もあり、オールフラッシュのNetApp シリーズから、ASA A150 が選定されました。従来環境で導入されていたFAS シリーズと同様、ストレージOS「ONTAP」を採用したオールフラッシュストレージです。FAS シリーズの優れたデータ保護や管理機能などはそのままに、ハイパフォーマンスと低レイテンシ、低コストを実現したモデルで、圧縮機能により従来の3 セット構成に匹敵する大容量を実現できる点も評価されました。「ASA A150 は、従来使用していたFAS シリーズの製品と操作性や機能性が同一化されているため、新たな操作を学習する必要がないという点もメリットでした」と、同じくIT グループ 新谷祐司氏は指摘します。
山本氏は、「プロジェクトでは、業務上必要なリソースを担保しつつ、不要 な機能はそぎ落とすという徹底した取捨選択を行いました。実際、システ ム規模は縮小したものの、NetApp ASA A150 の高いパフォーマンスもあって、性能を落とさずにシステム規模を最適化できたことが成功の重要な要素と なりました」と、品質の確実な維持をNetApp が技術面で支えたと評価します。製造ラインを完全に止められる時間が短いという制約があるなか、 NetApp のデータ移行技術SnapMirror も作業の効率化に貢献しています。 SnapMirrorは、移行元と移行先のストレージ間で同期設定を行うことで、日々の更新データを自動的に移行し、最終的な切り替え時には差分だけ を短時間で転送・立ち上げることが可能なソリューションです。
日本は、近年、人口減少という課題に直面し、人口構造の変化に伴う労働力不足も深刻化しています。こうした状況に対応する考え方として提 唱されはじめたのが「スマートシュリンク」です。一部の地方自治体では、すでに、コンパクトシティへの移行や、人口減少を前提とした公共サービ ス再編などの取り組みも始まっています。
こうした流れは、企業活動においても同様でしょう。日本製薬の事業再編は、まさにこのスマートシュリンクを体現するものです。製造販売業という広 範囲な事業から、強みとする受託製造領域に集中し、システムや人員、拠 点を最適化する。業務に必要な機能を見極め、コストとパフォーマンスのバランスを取りながら賢くシュリンクしていく。日本製薬が経験したシステム最適化は、これからの日本企業、特に事業の取捨選択や規模の最適化を迫られる企業にとって、貴重な先行事例となるはずです。
「規模の縮小を進める中で、IT 基盤においては、コスト削減のみを求めるのではなく、パフォーマンスやセキュリティといった品質を犠牲にしないことが極めて重要です」(石川氏)
石川氏は、「システムを大阪工場という一拠点に集約したこともあり、今後、事業継続性をどう強化していくのかが課題となっています」と、アリナミン製薬グループ全体で、災害対策やランサムウェア対策といったセキュリティ面での連携を強化していく方針に言及します。
NetApp は、オンプレミス環境だけでなく、AWS やAzure などのクラウド 環境でも同じOS が稼働するため、SnapMirror を活用して遠隔地に効率 的にデータをバックアップ・リカバリすることも容易です。また、近年脅威が増しているランサムウェア対策として、AI を活用した自律型のランサ ムウェア対策の実装も進められています。「製品の安全性、安定性への信 頼を前提に、NetApp ならではの技術を活かしたDisaster Recovery、 BCP 対応、ランサムウェア対策なども検討していきたいと考えています」と、石川氏は、NetApp の知見と技術に大きな期待を寄せています。
「製品の安全性、安定性への信 頼を前提に、NetApp ならではの技術を活かしたDisaster Recovery、 BCP 対応、ランサムウェア対策なども検討していきたいと考えています」
日本製薬株式会社, 取締役工場長 石川 誠 氏