NetApp ONTAP(以下ONTAP)はNetApp AFF/FASシリーズのストレージOSであり、定期的なバージョンアップは安定性の向上やセキュリティの強化、新機能の利用を可能にします。このブログでは導入後にやってくるONTAPバージョンアップを検討する上でのポイントについて解説をしていきます。
「ONTAPバージョンアップって何から手をつけたらよいの?」
「ONTAPバージョンアップってどうすればいいの?」
「もうすぐ限定サポートが切れてしまいそう・・・」
「ONTAPの新機能を使いたい・・・」
「既存のONTAPで不具合があるので直したい」等々、
お困りではありませんか?
私たちプロフェッショナルサービスでも実際にこの考え方を基本としてONTAPバージョンアップサービスを提供しておりますが、この記事読むことでONTAPバージョンアップを理解する一助になれば幸いです。
この記事では、ONTAPバージョンアップついての「確認ポイント」や「注意点」という点から解説し、計画を立て準備・実行が出来る様になる事を目的としています。
最後までご覧頂ければ幸いです。
WAFLのReserve領域を10%から5%に削減
(9.12.1ではAFFとFAS500f,FSxに限定されていたが、9.14.1ではFASとCVO、
ONTAP Selectにも対応)
Aggressive readahead機能によりクラウド層にあったブロックがあらかじめローカル層に書き戻されるようになり、ファイル全体がローカル層から読み取られるようになる
パフォーマンスボトルネックを解消するため、無停止かつプロアクティブにファイルの移動が可能に
以下はONTAP9.8以降の主な新機能について紹介します
上記以外にも機能毎にパフォーマンスや安定性の向上、セキュリティの強化、管理面の向上などアップデートされております。過去のONTAPに比べ複数世代のバージョンアップが可能になっており手間が省略できるようになっています。
脆弱性の問題や不具合といったことを解消し、安定稼働をさせるためにもぜひバージョンアップをご検討下さい。
1. 現環境の把握
バージョンアップ対象のクラスタや周辺機器(クラスタスイッチやFCスイッチ)、利用プロトコルの把握、NetApp管理ソフトウェアの導入状況、利用している機能(SnapMirrorやFabricPool、ウィルススキャンやランサムウェア対策他)を確認する
弊社にAutosupport情報を送信している環境ではActive IQ Upgrade Advisorにより、リスクの洗い出しやCLIでの手順書を生成可能です
関連リンク:https://docs.netapp.com/ja-jp/ontap/upgrade/create-upgrade-plan.html
System ManagerおよびCLIでの手順は以下の関連リンクを参考にしてください
関連リンク:https://docs.netapp.com/ja-jp/ontap/upgrade/automated-upgrade-task.html
2. 考慮事項を確認
古いDPタイプのSnapMirrorを利用されている場合は、バージョンアップ前にXDPへの変換が必要
関連リンク:https://docs.netapp.com/ja-jp/ontap/upgrade/special-considerations.html
3. ONTAPターゲットバージョンを選定
AFF/FASのモデルによりアップグレード可能なONTAPが異なります
(Ex.FAS2620はONTAP9.11.1までなど)
ONTAPの推奨リリースを確認します
関連リンクhttps://kb-ja.netapp.com/Support_Bulletins/Customer_Bulletins/SU2
4. 互換性の確認
導入されているNetAppソフトウェアやクラスタスイッチ等がターゲットとなるONTAPバージョンでサポートされているかの互換性をInteroperability Matrix Tool:IMT、NetApp Hardware Universe:HWU等で確認する
* ONTAP以外のバージョンアップについてはここでは触れませんが、一般的にはクラスタスイッチのバージョンアップやAIQUM、SnapCenterのバージョンアップが必要になるケースがあります
5. アップグレードパスの確認
例: 9.10.1 → 9.14.1 直接アップグレードが可能(1段階)
→ 9.14.1 マルチステージで可能(3段階) 9.7 → 9.8 → 9.12.1 → 9.14.1
* メジャーアップグレード時の推奨事項として現在ONTAPの最新のパッチリリースにアップグレードすることにより、現在のバージョンにおいてのONTAP の問題がすべて解決されます
関連リンク:https://docs.netapp.com/ja-jp/ontap/upgrade/concept_upgrade_paths.html
6. 作業スケジュールの策定
上記①~⑤およびUpgrade Advisorでの指摘事項とバージョンアップ時の影響を踏まえて、ONTAPバージョンアップ時間や各種ファームウェアのアップグレードのスケジュールを作成します
* バージョンアップ中は以下の影響やリスクがあるので、運用状況に応じた作業日時や時間帯を設定します
ONTAPはHAペア毎に約2.5時間、各種ファームウェアは搭載されているDisk本数やシェルフ数により時間が変動します
* BIOS、SP/BMCはONTAP OSにバンドルされているので、多くのお客様ではOSのバージョンアップに伴ってバージョンアップとなることが多いです。また、個別にバージョンアップすることも可能です。
各種ファームウェアはONTAPアップグレード後、バックグラウンドで逐次適用されます(DQPは除く)
個別に各種ファームウェアをバージョンアップする場合は、正しい適用順序(DQP→Disk FW→Shelf FW)の流れで実施してください
<ONTAP>
事前準備 |
30分 |
ONTAPアップグレード |
90分/HAペア |
事後確認 |
30分 |
<各種ファームウェア>
* 実際にかかる時間は規模やノード数に依存します
Diskファームウェア |
2-3分 / Disk |
Shelfファームウェア |
30分 / Shelf |
SP/BMC |
15分 |
コントローラBIOS |
30分 / Node |
* 実際にかかる時間は規模やノード数に依存します
7. 検証機やテスト機が
検証機やテスト機がある場合には、本番機のバージョンアップを行う前に先に実施することで手順の確認や影響の有無を確認することが重要です
1.ONTAPソフトウェアと各種ファームウェアの準備
ターゲットとなるONTAPソフトウェアイメージをNetApp Support Site:NSSから事前にダウンロードする必要があります
ONTAPソフトウェアをネットワーク上のHTTPS(CA証明書の導入が必要)、HTTP、FTPサーバ、またはローカルフォルダにダウンロードしておきます
新しいONTAPイメージ内に含まれている各種ファームウェアのバージョンを確認したい場合には、Active IQ Digital AdvisorのSystem Firmwareを参照して下さい
関連リンク:https://activeiq.netapp.com/system-firmware/patch
Disk/Shelfファームウェアはダウンロードすると1つのファイルに集約されているので、アップグレードを実施する目的のファームウェアが入っているか、一度解凍し中身の確認後に使用することをお勧めします
<ダウンロード一覧例>
ダウンロード対象 |
ファイル名 |
ダウンロードリンク |
ONTAP |
9xxxPx_q_image.tgz |
|
Diskファームウェア |
all.zip |
|
Shelfファームウェア |
all_shelf_fw.zip |
|
SP/BMC |
SP_FW_xxx-xxxxx_x.xx.zip BMC_FW_ xxx-xxxxx_x.xx.zip |
複数の要因でパニックまたは正常なシャットダウンが出来なかった場合、コントローラは新しいイメージで起動しない事象があります
上記事象やその他の問題が発生した場合には、弊社サポートエンジニアの支援を受け対応してください
ONTAPの切り戻しはバージョンアップとは異なり、リバートは1バージョンずつ段階的に実施する必要があります
また作業中はストレージへのすべてのアクセスの停止を伴います
本番環境のリバートは弊社サポートエンジニアの支援を必ず受けて実施してください
また一部ノードをダウングレードしてからアップグレードは行わないでください
ファームウェアのアップグレード後のダウングレードは実施できませんので、もしファームウェアをアップグレードしてしまった場合には弊社サポートエンジニアの支援を受けてください
ONTAPのバージョンアップを紹介させていただきました。System Manager(GUI)を使用したバージョンアップでは旧ONTAPと比べ実施が容易になりましたので、積極的にバージョンアップの検討をぜひこの機会にお願いします。
NetAppプロフェッショナルサービス部門で、弊社プロダクトやクラウドサービスを導入するお客様やパートナー様向けに、設計・構築行っています。