ユーザ事例:Broome-Tioga 最適なソリューションで、管理の簡易化とスマートな拡張を実現
The Broome-Tioga Board of Cooperative Educational Services(BOCES)は、共有管理アプリケーションやITインフラサービスを提供することによって、ニューヨーク州の公立学校のコスト削減を支援しています。当機関は、50箇所ほどに分散した学区をサポートするという特異な役割を担っているため、さまざまな課題に直面しており、厳しく制約された予算の下、急速に成長するITに対応し、運用上の変更を行わなければなりません。こうした課題は、ほぼすべてのIT担当者に共通すると言えるでしょう。しかし、当機関では、全学区に提供する多様なアプリケーションを1つのデータセンターで一元管理しているだけでなく、このうちの14学区にマネージドITソリューションを提供しているため、問題はさらに複雑です。つまり、これら各学区のIT管理が当機関に一任されているということです。 ここ数年、我々はサービス要求が着実に増加していることを受け、学生や職員用の新しいアプリケーションを次々に追加してきましたが、こうした処置の代償として、データセンターのスプロール化が進み、データの大半が事実上サイロ化され、データストレージのニーズは年々倍増するようになりました。さらに、州の規制により、オフサイトでデータを長期アーカイブするようにとの要請がありました。これは、当機関にとっては到底実現不可能なことでした。こうしてついに、可用性とデータ保護機能を向上させるため、柔軟性に優れたITインフラを導入することになったのです。 我々が求めていたのは、業務とインフラの簡易化を実現できるだけでなく、現在のニーズに合った規模で導入でき、効率よく拡張していけるストレージ・ソリューションでした。そこで採用したのが、ネットアップのストレージ・ソリューションです。当機関では、早くからネットアップのストレージを導入したことで、ネットアップの機能をフルセットにまで徐々に拡張することができました。その主な成果を、表1にまとめました。 表1)Broome-Tiogaの成果
この記事では、なぜネットアップがBroome-Tiogaにとって最適なソリューションであったかと、ネットアップのソリューションでシンプルな管理とスマートな拡張がどのようにして可能になったかについて説明します。 「スマートなスタート」を可能にするソリューション Broome-Tiogaには、もう1つ悩ましい問題がありました。データが急増し、バックアップウィンドウが短縮されたことで、バックアップが困難になっていたのです。たとえば、当機関ではNetBackup™を使用してバックアップ作業を行っていましたが、SQL Serverデータベースの夜間バックアップと他のデータベースの夜間メンテナンス作業が重なることがよくあり、定期的にエラーが発生していました。 初代のネットアップシステムは、Syncsort Backup Expressのバックアップターゲットとしてもともと購入したのですが、そのうちに、当機関のバックアップ、ディザスタリカバリ(災害復旧)、アーカイブをはじめとする、さまざまな問題を解決するためには、ネットアップのソリューションが最適であることがわかりました。 当機関では、2003年にFAS250システムを導入後、最初にFAS270、次にFAS3020へと、メインデータセンターのニーズに応じて、着実かつ容易に拡張とアップグレードを進めてきました。FAS3020にアップグレードした時点で、当機関が管理するデータのほとんどは、ネットアップシステムで管理されていたことになります。 現在では、約150 TBの容量を備えるFAS3240(HA構成)にアップグレードしています。ネットアップのシステムは、どれもヘッドユニットを交換するだけでアップグレードでき、複雑なデータ移行も必要ないため、手間がかからず、厄介な問題も発生しません。既存のディスクシェルフに新しいストレージコントローラを接続するだけで済みます。当機関では、DRロケーションでFAS3140システムを稼働させているほか、14学区でもネットアップシステムを採用し、直接管理しています。14学区では250 TBのストレージが追加され、現在の総容量は400 TBとなっています。ほとんどの学区は、我々の推奨に基づいてネットアップシステムを導入するまで、直接接続型ストレージやシンプルな外付けアレイを使用していました。 図1)Broome-Tioga BOCESのストレージインフラ アップグレードが容易というのは素晴らしい特長ですが、ネットアップシステムが当機関に適していた真の理由として、その他にも以下のようなメリットが挙げられます。
上記のポイントについては、次のセクションで詳しく説明します。 管理をシンプルに 現在の経済情勢では、人員の補充は一切見込めそうにありません。そのため、管理をシンプルにし、効率的に作業をすることが必要になります。当機関にとっては、ネットアップストレージで標準化を図るという決断が成功への鍵となりました。 現在では、わずか2名の管理者が、各自の勤務時間の約4分の1の時間をストレージ関連の作業に費やしているのみです。つまり、FTE(正社員)管理者の半分に相当する時間で、400 TBの容量を備える学区内のストレージを含め、すべてのストレージシステムを管理できていることになります。このため、当機関では今後ストレージ容量が増加し続けると予測していますが、増員の必要はないと考えています。 ネットアップ・ソリューションは、特に次の3つの分野に貢献しています。
Windowsストレージとサーバの統合 我々は、ストレージを統合してファイルサーバを排除しただけでなく、仮想化を通じて物理サーバの統合も行いました。当機関の中央データセンターでは、今日、7台の物理サーバ上で約250台の仮想マシンを稼働させています。余剰なインフラを排除することで、複雑さを軽減し、時間とコストを節約することができました。 当機関では、SnapManager for Virtual Infrastructure(SMVI)を利用してVMware®環境を管理していますが、現在、OnCommand™ソフトウェアの導入を進めているところです。OnCommandは、SMVI、NetApp Operations Manager、Provisioning Manager、Protection Manager、SnapManager for Hyper-Vテクノロジの機能を単一の製品として統合したものです。 我々が目指しているのは、ハイパーバイザーに依存しないサーバとデスクトップの仮想化です。こうした仮想化を実現することで、柔軟性を最大限に高め、全学区のさまざまな要件に対応することが可能になります。現在当機関では、仮想サーバ環境の約10%を、SnapManager for Hyper-V(SMHV)で管理されたMicrosoft Hyper-V上で実行しています。また、仮想デスクトップ環境用に、Citrix XenDesktopも使用しています。ネットアップのソリューションでは、3つのハイパーバイザーを直接統合管理できるため、いずれも快適に利用することができています。これはネットアップなしでは考えられなかったことです。(Hyper-VとXenServerについては、過去のTech OnTap®記事をご覧ください)。 データ保護 システムの移行に関しては、一般的なOracleデータベース管理者と同様、当機関の担当者からも、懐疑的な声が上がっていました。しかし、移行後まもなくして抽出処理が失敗し、一部のOracleテーブルに誤ったデータが登録されるという事態が発生しました。そこでリストアが必要となったのです。SMOでのリストア処理がわずか数分で終わると、誰もが感心し、その後SMOの不平を言う者はいなくなりました。今では、Oracleがバックアップ済みかどうか気にする者はおらず、またリストアが簡単になったことで、6名の担当者が必要に応じてOracleのリストアを行えるようになりました。 現在、SnapManagerスイートは、当機関のバックアップ戦略において非常に大きな役割を担っています。当機関では、SMOに加えて、SnapManager for SQL Server(SMSQL)とSnapManager for Exchange(SME)、また前のセクションで述べた、SMVIとSMHVも使用しています。これらすべての製品のおかげで、アプリケーションに対応したシンプルで整合性のあるバックアップを数秒で作成し、迅速にリストアすることが可能になっています。 運用を合理化する取り組みの一環として、当機関では地域データセンターのExchangeサービスも一元化しました。現在では、ほとんどの学区で独自のメールサーバを運用する代わりに、こうしたサービスを利用しています。SMEは、他のSnapManager製品と同様に、Exchange Serverデータベースのバックアップ、リカバリ、検証に伴う複雑で時間のかかる手動プロセスを自動化します。またNetApp Snapshotテクノロジーを利用し、バックアップ時間を数秒に、リストア時間を数分に短縮します。さらに、NetApp Single Mailbox Recoveryソフトウェアを使用すれば、他のExchangeユーザの作業を中断することなく、個々のメールボックス、メッセージ、添付ファイルを迅速にリカバリ / リストアできます。SMEなら、異なる時点のデータをすばやく簡単にリストアすることも可能なため、データベースの「ラグ」コピーの維持が不要になり、その分ストレージ容量を節約することもできます。 学区レベルのデータ保護としては、NetApp SnapVaultを使用して、当機関のメインデータセンターやDRサイトにCIFS共有とその他のデータをバックアップしています。また、その他の物理サーバをNetBackupでバックアップする際のターゲットとしても、ネットアップストレージを活用しています。より低価格なストレージを購入することや、クラウドを利用することも検討しましたが、ネットアップの重複排除機能の効率性とコストの手頃さをNetBackupの重複排除機能と比較した結果、データの格納にネットアップストレージを利用すれば、最もコストを削減できると判ったのです。 ディザスタリカバリ 当機関では、DRサイトをビンガムトン大学に設置しています(さらに、それを同大学のDRサイトとして使用しています)。このDRサイトのFAS3140は、NetApp SnapVaultのバックアップやNetApp SnapMirrorのレプリケーションのターゲットとして機能しています。SnapManagerスイートを使用することで、Exchange、SQL Server、Oracleデータベース、VMware、Hyper-V仮想マシンのレプリケーションをスケジューリングし、整合性のあるイメージを作成できるようになりました。 また、当機関では、VMware Site Recovery Manager(SRM)を使用して、VMware環境のリカバリを自動化しています。当機関のような大規模な環境で、リカバリを自動化し、テスト計画を実行 / 検証するとなると、これ以外の方法は考えられません。 このアプローチは、シンプルで簡単な管理を実現するだけでなく、より高いレベルでのディザスタリカバリを可能にしました。それまでは、NetBackupのデータをテープにバックアップし、その翌日にテープをDRサイトに移すことくらいしかできませんでした。 スマートに拡張 当機関にとって、「スマートに拡張」するということは、ストレージの拡大や管理オーバーヘッドを最小限に抑えつつ、ユーザのニーズにも柔軟に対応できるということを意味します。ネットアップストレージを使用する上で最も画期的なことは、当機関のストレージに大きな変更を加えることなく、学区レベルでの使用方法の変化に合わせて、ニーズに対応できるということです。たとえば、NetWareからネットアップシステム上のCIFS共有にデータを移動した時も、CIFSライセンスがすでにインストールされていたため、ネットアップシステムの変更を行う必要はありませんでした。また、ネットアップ・ソリューションを採用したことにより、パフォーマンスや可用性の向上、データ保護の強化、ユーザ主導による簡単なリストアなど、以前には不可能だったことが可能になりました。 ある学区の仮想サーバ環境にファイバチャネルやiSCSIを導入したい、といったニーズにも問題なく対応できます。一部の学区ではNFS for VMwareも使用しています。1つの大きなデータストアを作成し、必要に応じて仮想マシンを追加するだけで済むからです。メインデータセンターでは、コアスイッチを、完全に冗長化されたHPの10ギガビット・イーサネット・スイッチへとアップグレードしたところです。また、近々ファイバチャネルからiSCSIにデータを移行する予定ですが、プロトコルの変更も難なく行うことができます。 ネットアップが提供するシンプロビジョニング、重複排除、FlexCloneなどの機能を使用することで、当機関は、ストレージの所要量を30~50%削減できています(所要量はアプリケーションによって異なります)。新しく導入したストレージはすべてシンプロビジョニングし、既存のボリュームについても再設定を行っています。また、容量不足を回避するために、NetApp Operations Managerを使用してシンプロビジョニングを監視しています。当機関の調達プロセスは、長い場合2カ月ほどかかるため、容量不足を回避することが重要となります。Operations Managerが提供するツールやレポートのおかげで、安心してシンプロビジョニングを行うことができ、深刻な障害を起こさずに済んでいます。 以前は重複排除を慎重に行っていましたが、今ではほぼすべてのデータに対して重複排除機能を適用しています。その結果、Exchange 2010で約20~25%、VMwareで50~70%、CIFS共有では30%のスペース削減に成功しました。 図2)Broome-Tiogaのストレージ削減量(重複排除機能を使用)
当機関では、開発環境やDRテストに使用するストレージスペースを削減するため、NetApp FlexCloneテクノロジも活用しています。FlexCloneを使用すれば、大量のディスクスペースを追加消費することなく、数秒でデータベースのクローンを作成できるため、開発者が全面的なテストを頻繁に行えるようになります。DRでは、FlexCloneをSRMと併用することで、進行中のレプリケーション作業に影響を及ぼすことなく、複製されたボリュームをクローニングし、そのクローンボリュームを使用してDR計画を包括的にテストできます。この場合も必要になるのは、差分データ用のディスクスペースのみです。 まとめ ネットアップ・ソリューションのおかげで、当機関はエンタープライズレベルのパフォーマンスと機能を学区に提供できています。他社のテクノロジでは複雑すぎて、学区内の担当者で管理することは不可能だったでしょう。また、用途に応じて新しいNASシステムやファイバチャネルストレージを導入する必要もなく、ネットアップ製品のみで、ストレージやデータ保護のニーズに柔軟に対応できています。ネットアップでなければ、たった2人の管理者でストレージニーズに対応するのは到底無理だったでしょう。この2人には、ストレージの管理以外にも多くの責務があるからです。ネットアップを採用したことで、正当な理由に基づき、適切な選択をすることが可能になりました。
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