NetApp Tech OnTap
vStorageとの組み合わせで実現するインテリジェントなデータ管理

ここ数年、Tech OnTapに掲載されたVMwareに関する多くの記事が証明しているように、NetAppとVMwareは長期にわたるパートナーです。私たちの目標は、VMware®とNetApp®ストレージを組み合わせて導入するすべてのお客様に、可能な限り最高の機能を提供できるよう、VMwareとのタイトな統合を達成することです。次のようにさまざまな分野で、統合プロジェクトが行われています。

  • データ保護の強化(最近の関連記事
  • Site Recovery Manager(SRM)による災害対策の統合(最近の関連記事
  • マルチパス
  • MetroCluster
  • インテリジェントなデータ管理

この記事では、インテリジェントなデータ管理を中心に説明します。内容の大部分は、VMworld Europe 2009の席上、VMwareのScott Davis氏(チーフ・データセンター・アーキテクト)と私が合同で行ったプレゼンテーションに基づいています(このプレゼンテーションのスライドセットはこちらにあります)。

VMwareはVMworld 2008において、NetAppをはじめとしたパートナーのストレージ機能とのより深いレベルでの統合を提供するvStorageを発表しました。NetAppはVMwareとの密接な協力体制を通じて、vStorage APIの洗練性を高めるとともに、これらのAPIを活用するテクノロジの開発に取り組んでいます(サイドバーを参照)。

この記事では、次の3つの分野について説明します。

  • FlexClone®機能によるファイルクローニング
  • シンプロビジョニング
  • インテリジェントなデータコピー

これらの各分野について、現時点で使用可能な機能を紹介するとともに、今後どのようなレベルの統合が期待できるか、簡単に計画を説明します。必要に応じて、VMworld Europeで実施した技術デモへのリンクを示します。

進化したクローニング

NetApp FlexCloneとVMwareの併用については、ノースカロライナ州立大学における高速プロビジョニングのケーススタディなど、これまで多くの記事で紹介してきました。今月号の関連記事では、NetApp Rapid Cloning Utilities(RCU)バージョン1によるVMware仮想デスクトップの迅速なプロビジョニングについて説明しています。

ファイルのクローンをスピーディに作成する機能は、いうまでもなくVMware環境に多大なメリットをもたらす可能性があります。標準的な仮想マシン(VM)のプロビジョニングプロセスでは、データのフルコピーが必要であり、その所要時間はテンプレートVMのサイズに応じて5~20分です。一方、FlexCloneを使用すれば、わずか数秒でファイルのクローンを作成できます。仮想マシンディスクフォーマット(VMDK)のファイルのクローニングは、最初の一歩に過ぎません。VMの起動可能なクローンを作成するには、以下のステップをすべて実行する必要があります。

  • クローニングするソースVMを識別する。
  • ソースの仮想ディスクファイルをFlexCloneでクローニングする。
  • 新しくクローニングした仮想ディスクを各VMに接続し、固有のVMを作成する。
  • Virtual Centerカスタマイズ仕様に従って各VMをカスタマイズし、固有のWindows®インスタンスを作成する。
  • 各VMを起動する。

RCUは、これらのステップの管理と自動化に役立つ新しいツールで、ONTAP® 7.3.1に搭載の新しいFlexClone機能(個々のファイルをクローニングする機能)を利用しています。この新機能によって、FlexCloneで個々のVMDKファイルまたはデータストア全体をクローニングできるようになり、1つのVMイメージに必要な容量以外には、ごくわずかなストレージしか使わずに、何千ものVMを数分で作成することが可能です。

仮想デスクトップ環境で、RCUバージョン1を使用してVMのクローンを迅速に作成するプロセスについては、テクニカルレポート3705『NetApp and VMware VDI Best Practices(英語)』で詳しく解説されています。仮想サーバ環境でも、このプロセスは同じです。

現在、NFSデータストア内のiSCSIおよびFCPのRDMとVMDKファイルを、個々にクローニングすることが可能です。vStorageとの完全な統合によって、これらの処理のパフォーマンスが向上し、iSCSIおよびFCPの両方のLUNでVMFSデータストアをクローニングする機能が追加されます。

RCUバージョン2が近くリリースされる予定です。この拡張版には、VMware Virtual Center用のプラグインが含まれています。これによって提供される機能は、以下のデモでご覧いただけます。

図1) VMware Virtual Centerに統合したNetApp Rapid Cloning Utilities(RCU)のデモ(所要時間:5分)

ご存知の通り、VMwareは仮想デスクトップ環境向けの「リンククローン」と呼ばれる、スペース効率に優れた独自のクローニング機能を発表しました。将来的には、ESXホストがNetAppストレージに接続している場合、この機能はvStorage APIを通じて、NetAppのファイルFlexClone機能に直接接続されることになります。

図2) クローニング処理におけるNetApp統合の利点を示すアニメーション

シンプロビジョニング

シンプロビジョニングは、NetAppのDNAに組み込まれた重要な機能です。NetAppはSAN市場に参入した当初から、有力ストレージベンダーの中で最も早くシンプロビジョニングLUNを提供してきました。ただし、シンプロビジョニングに関しては、次の2つの問題があります。SAN全般にかかわる問題と、VMware固有の問題です。

  • SANプロトコルでは、ストレージコンテナがスペース不足に陥った場合、エラーコードが返されません。したがって、この状況に対処するためのストレージシステムの動作が定義されていません。ボリュームがスペース不足になると、VMがクラッシュする可能性があります。
  • SANストレージ上のLUN内部に、ゲストOSのファイルシステムが作成されます。ファイルシステムのサイズが大きくなると、LUNのスペースが少しずつ消費されます。反対に、ファイルシステムに必要なスペースが減る場合もありますが、その場合、ゲストOSがアレイに対し、ブロックを使用しなくなったので未使用スペースのプールに戻しても差し支えない旨を通知するメカニズムがありません。

エラー処理の改善:最初の問題に関しては、スペース不足への対処や複雑な環境でのシンプロビジョニングの実行について、NetAppは豊富な知識を有しています。NetAppの要請により、NetAppとVMwareはSCSI標準化コミュニティに働きかけ、SCSIプロトコルでのシンプロビジョニングのサポートを改善する、プロトコル拡張機能の作成を提案しました。

この標準はすでに環境が整い、VMwareはシンプロビジョニング環境での動作を拡張する予定です。この拡張機能が実装されると、VMwareは「End of Space」エラーを受信した時点でVMを一時停止します。使用可能なスペースが増えた時点で、管理者はVMを再開することができます。

これに代わる方法として、現在、NetAppストレージ上のシンプロビジョニングされたボリュームを「autogrow」に設定することが可能です。この機能を使用すると、LUNまたはボリュームの拡大に上限を設定することができます。設定されたしきい値を超えると、自動的にスペースが少しずつLUNに追加され、重要なVMの動作が中断されません。

Typical approaches to improve application performance

図3) VMware環境におけるシンプロビジョニング。それぞれのボリュームが、同じストレージプールから引き出されるスペースを共有します。予定されている拡張機能では、VMwareの動作が一時停止され、ボリュームサイズを増やすことが可能になります。NetAppの機能を使用すると、中断せずにスペースを増やすことができます。

スペースの再生:第二の問題については、Tech OnTapの過去記事で詳しく解説されています。簡単にいうと、シンプロビジョニングされたLUN内にクライアントファイルシステムがある場合、たとえばユーザが大容量のファイルを作成し、それを削除したとき、クライアントファイルシステムは、そのスペースが空いたと認識しますが、ストレージシステムの認識では、そのスペースは依然としてクライアントに割り当てられたままです。NetAppクライアントOSで動作するSnapDrive®の内部からスペース再生手順を実行すれば、このようなスペースを定期的に解放し、ストレージシステム内の未使用ストレージプールに戻すことができます。こうして回収したスペースは、シンプロビジョニングされた任意のボリュームで使用可能です。このプロセスは現在、物理的なWindowsシステムで実行可能であり、個々のVMがNetApp SnapDriveを使用してLUNを直接マウントするVMware環境でも実行可能です。

そのほかにもNetAppとVMwareは、シンプロビジョニングに関連して次のような機能拡張に取り組んでいます。

  • VMware Virtual Centerを通じて、シンプロビジョニングされたLUNを識別する機能(ストレージシステムによってシンプロビジョニング済みのLUNについて、VMwareシンプロビジョニングの使用を回避することができる)
  • ストレージシステムからVirtual Centerへの高利用率アラートの送信

さらに、NetAppとVMwareは、以下の機能についても検討中です。

  • シンプロビジョニングされたボリュームからVMDKファイルが削除された場合、自動的にスペースを解放する機能
  • VMFSデータストアおよびNFSデータストアにおけるスペース再生機能

データのコピーとストレージvMotion

ストレージvMotionは、仮想マシンvMotionのストレージ版であり、ESXホストによって使用中のデータを、1つのストレージプールから別のストレージプールに透過的に移行することが可能です。これにより、ダウンタイムのないデータマイグレーションが実現され、ストレージの保守、階層化、負荷分散、アップグレードなどのストレージ関連タスクが簡易化されます。

標準のVMwareストレージvMotionでは、この動作はソースストレージプールからデータをコピーし、ESXサーバを介してターゲットストレージに書き込むことによって達成されます。このプロセスは時間がかかるだけでなく、ホスト、ストレージ、およびネットワークのパフォーマンスに著しい影響を及ぼす場合があります。

データ保護作業における効率的なデータの移動についてNetAppは、NetApp SnapMirror®、SnapVault®ソフトウェア、ネットワークデータ管理プロトコル(NDMP)の使用をはじめとした豊富な実績を持っています。現在は、既存のData ONTAPデータ移動エンジンをストレージvMotionに接続し、ESXホストを経由せず、ソースストレージからターゲットストレージに直接データをコピーできるようにするため、VMwareと共同作業に取り組んでいます。コピー元とコピー先のストレージが同一のストレージシステム上に存在する場合には、FlexCloneが(適宜)自動的に使用され、必要なタスクが実行されます。

図4) ストレージvMotionとNetAppストレージの統合による利点を示すアニメーション

まとめ

現在の経済情勢では、少ない投資でいかに大きい成果を上げるかが重要です。VMwareでデータのコピー、クローニング、または移動が必要になった場合、ESXホストがその要求をNetAppストレージシステムに渡すだけで、その要求を最も効率的に実行する方法が判別され、ESXサーバのCPUサイクルと帯域幅を業務に無駄なく使用できるようにすることが、NetAppの最終目標です。NetApp FlexCloneは、本来ならデータのフルコピーを必要とするさまざまなタスクを、ごくわずかな時間とごくわずかな追加スペースで実行できます。VMwareにNetAppの高度なシンプロビジョニング機能をタイトに統合することで、VMware仮想サーバ環境および仮想デスクトップ環境のストレージ効率がさらに向上します。


Arthur Lent Arthur Lent
NetApp、テクニカルディレクター

Arthurは、NetApp仮想化およびグリッドインフラビジネスユニットのチーフアーキテクトです。仮想環境向けストレージの専門家として、VMware ESX、Microsoft® Hyper-V®、Citrix XenServerなどのサーバ仮想化テクノロジに対応するNetApp製品機能の定義と実装を担当しています。NetApp FC SANおよびiSCSI製品の開発にリードアーキテクトとして参加し、NetAppをiSCSIおよびFC SANのリーディングベンダーへと押し上げた技術基盤を確立した実績を持っています。


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