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「仮想ボリューム」と「シンプロビジョニング」

ストレージ利用を物理リソースの制約から解放する「仮想ボリューム」

「仮想ボリューム」は、ストレージリソースの利用効率を高めるための基盤となる技術だと言える。現在、多くのストレージ製品に取り入れられているが、ネットアップ製品では2004年に発表したストレージ専用OS「Data ONTAP」のバージョン「7.0」から、「FlexVol」という名称でこの技術を実装している。

仮想ボリュームが登場する以前は、物理的なディスクスペースの集合をボリュームとして扱う手法が採られていた。つまり、RAIDグループとボリュームが直接的にひもづいているのである。こうした物理ボリュームは、現行のData ONTAPでもサポートしているが、ストレージリソースの利用効率の面で難がある。

例えば、1TBのディスク10基をストライピングして1つのRAIDグループを構成するというケースを考えてみよう。この構成の目的がパフォーマンスの向上にある場合は、必要な容量が2TBでも10TB分のストレージリソースを用意しなければならず、容量が大幅にムダになる。一方、10TBの容量を得ることが目的で、それほど高いパフォーマンスを必要としない場合は、ディスク10基という構成がオーバースペックになる。

このように、RAIDグループを物理ボリュームとして扱う手法では、容量や処理能力に余剰が生じる。これを避けるために物理ストレージリソースを共有プール化して、サーバやアプリケーションが必要とするボリューム容量だけ確保することを可能にする技術が仮想ボリュームである。

FlexVolでは、単一もしくは複数のRAIDグループを構成するディスクの集合体を「アグリゲート」と呼んでいる。このアグリゲートにおいて物理ストレージを共有プールとして抽象化することで、特定のRAIDグループにしばられずに仮想ボリュームを作成することが可能となる。図1は、複数のRAIDグループ(RAIDグループ1/2/3)にわたって、仮想ボリューム(FlexVol1/2)を構成した例である。

仮想ボリュームの構成例
図1 仮想ボリュームの構成例。物理リソースが抽象化されているため、
1つの仮想ボリュームを複数のRAIDグループにまたがって構成することも可能になっている

仮想ボリュームに割り当てる容量の設定方法

FlexVolでは、仮想ボリュームを作成する際に「スペースギャランティ」を設定する。スペースギャランティは、仮想ボリュームがアグリゲート上に書き込み可能な容量を確保する方法のことで、以下の3つの選択肢がある。

  • ボリュームギャランティ
    「ボリュームギャランティ」は、容量の“前払い”に例えることができる。この方式では、仮想ボリューム作成時に、ボリュームサイズ全体の容量をアグリゲート上に確保する。例えば、10TBのアグリゲートのうち2TBをボリュームギャランティに割り当てた場合、アグリゲートの残り容量は8TBとなる。

  • ファイルギャランティ
    「ファイルギャランティ」は、ボリュームギャランティと同様に、仮想ボリューム作成時にアグリゲート上の容量を割り当てる。ただし、事前にボリューム全体の容量を確保するのではなく、指定したファイルだけの容量を保証する。

  • ギャランティなし
    「ギャランティなし」は、容量の“即金払い”に例えることができる。この方式では、仮想ボリュームを作成した時点ではアグリゲート上の容量を消費しない。仮想ボリュームにデータが書き込まれるたびに、そのデータのための容量がブロック単位で割り当てられる。

    ギャランティなしの設定では、アグリゲートの容量を超えた仮想ボリューム容量を設定することも可能だ。例えば、10TBのアグリゲート上で12TBの仮想ボリュームを作成することができる。FlexVolでは、「シンプロビジョニング」を、この設定によって実現しているのである。

阿部恵史
ネットアップ株式会社 マーケティング本部 ソリューションマーケティング部 部長
製造系企業の情報システム販社、外資系ITベンダーなどを経て2008年9月より現職。その間、企業の基幹系システムの設計・開発・導入、インターネット TV開発、UNIX系ハイエンドサーバ、クラスタシステムの導入コンサルティングなどを経験し、2002年よりマーケティング職に転身。現在もデータセンターインフラの仮想化・自動化およびグリッドソリューションを担当。

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