NetApp Tech OnTap
     

Unified Connect

企業のデータセンターでは、LANとIPデータトラフィック用にイーサネット・ネットワークを使用し、Storage Area Network(SAN;ストレージ・エリア・ネットワーク)トラフィック用にはFibre Channel(FC;ファイバチャネル)ネットワークを別途構築していることが一般的です。また、データセンターでは、そのほかにInfiniBandなどの専用のクラスタ・インターコネクトが構築されているケースも多数見受けられます。データセンターで10ギガビットイーサネット(10 GbE)の採用が増えたことに加え、Fibre Channel over Ethernet(FCoE)とロスレス10 GbEテクノロジの登場によって、ファイバチャネル・トラフィックを、LANやIPデータトラフィックと同一のイーサネットインフラ上に統合することが可能になっています。

ネットワーク統合は、FCストレージへの既存の投資を保護し、データセンター関連のコストと複雑性を軽減し、ネットワーク管理を簡易化します。データセンターを簡易化するネットワーク統合の明らかな可能性と、FCoEテクノロジへの高い関心に着目したTech OnTapは、近年、この話題についての記事を多数掲載してきました(サイドバーを参照)。

Data ONTAP® 8.0.1を市場に投入したことによって、NetAppは完全なネットワーク統合を実現する最終ステップを完了しました。NetAppの新しいUnified Connectテクノロジを使用すると、サーバ、スイッチ、ストレージを繋ぐ1つの接続上ですべてのストレージプロトコルを実行できます。この記事では、Unified Connectについて、その概要、仕組み、パフォーマンスに関する考慮事項、ベストプラクティスなどを説明します。

従来のアプローチとUnified Connectの比較。Unified Connectは、ネットワークインフラを簡易化し、サーバ、スイッチ、ストレージ上のポート、スロットを解放します。

図1)従来のアプローチとUnified Connectの比較。Unified Connectは、ネットワークインフラを簡易化し、サーバ、スイッチ、ストレージ上のポート、スロットを解放します。

Unified Connectとは


Unified Connectは、Data ONTAP 8.0.1で導入された新しいソフトウェア機能です。Data ONTAP 8.0.1には、そのほかにも重要な拡張機能が各種導入されています。以下はその一部です。

  • データ圧縮
  • 64ビットアグリゲート
  • DataMotion for Volumes
  • 新しいハードウェアのサポート

最新リリースであるData ONTAP 8のすべての機能の詳細については、最近のTech OnTap®の記事をご覧ください。

NetAppは、1年半以上前に、エンドツーエンドのFCoEの提供を開始しました。これによって、古いFCインフラを10 GbEインフラに置き換えることが可能になりましたが、ブロックデータとファイルデータには別々の接続が引き続き必要でした。Unified Connectのリリースによって、完全な統合を実現するための、この最後の障壁が取り払われ、ストレージシステムとの間でやりとりするすべてのIPネットワーク・トラフィックとFCoEネットワーク・トラフィックで単一の接続を共有できるようになりました。

FCoEとUnified Connectを使用したネットワーク統合には、次のような数々のメリットがあります。

  • 配線が最大70%削減される
  • 一般的な構成の場合、ストレージシステムで必要なポート数が12個から4個に削減されるため、解放されたポートやPCIeスロットを他の目的に使用できる
  • 複数のGbE接続と2 / 4 G FC接続を単一の10 GbE接続に統合できる
  • 複数の種類のデータトラフィックで1つの接続を共有できるため、帯域幅利用率が改善される

表1)Unified Connectが一般的なストレージシステム構成にもたらす影響

  一般的な構成 UTAを使用した10 GbE構成 改善率
アダプタ総数 4 2 50%
サーバあたりの使用PCIスロット 4 2 50%
ポート総数 12 4 66%
総帯域幅 24 Gb 40 Gb 66%

 

独立したIPネットワークとFCネットワークを別々に維持するには、機器を冗長構成にする必要がありましたが、冗長構成は不要になりました。そのため、以下が実現します。

  • 冷却コストと電力コストを削減できると同時に、データセンターの貴重な不動産が解放される
  • 配線がシンプルになる
  • 管理を簡易化
  • データセンターのコストが削減される

NetAppは、1つの接続上でFCoEプロトコルとIPプロトコルをサポートする唯一のストレージプロバイダであり、Unified Connectは、既存のハードウェア・プラットフォーム上でサポートされます。Unified Connectは、Data ONTAP 8.0.1によって実現したソフトウェア・アップデートです。Unified Target Adapter(UTA;ユニファイド・ターゲット・アダプタ)をすで購入されている場合は、ハードウェアを変更したりアップグレードしたりする必要はありません。Unified Connect機能は、ソフトウェアをアップグレードするだけで入手可能です。

Unified Connectのパフォーマンス


1つの接続上で複数のプロトコルが同時に実行されている状況で、Unified Connectが実際どの程度のパフォーマンスを見せるかは、このテクノロジの採用を検討されている方であれば当然関心をお持ちでしょう。NetAppは先頃、Unified Connectをはじめとする機能のパフォーマンスを検証するために、Intelと共同で一連のテストを実施しました。テスト環境には、UTAを実装したNetApp® FAS6280ストレージシステム、Cisco Nexus® 5020スイッチ、Intel X520シリーズの10 GbEアダプタを取り付けたIntel® Xeon®サーバを使用しました。

LUNにアクセスするFCoEトラフィックと、マッピングされたドライブにアクセスするCIFSトラフィックが同時に存在する状況でさまざまなI / Oテストを実行するために、IOmeterを使用しました。いずれのトラフィックにも、サーバ上の同じネットワーク・インターフェイスと、FAS6280上の同じターゲットアダプタを使用しました。ベストプラクティスに従い、マッピングされたドライブとLUNは、ストレージシステム上の別々のフレキシブルボリュームに配置しました。

いずれのプロトコルも、10 GbE接続の容量の80%をFCトラフィックに、20%をイーサネット・トラフィックに割り当てるClass of Service(CoS;クラスオブサービス)で制約しました。ブロック・ストレージ・プロトコルとファイル・ストレージ・プロトコルが同じ接続にアクセスしているにもかかわらず、FAS6280とX520イーサネットアダプタは、単一プロトコルによるテストの場合と同じラインレートを難なく維持しました。CoSでブロックトラフィックとファイルトラフィックの比率を80対20に維持したため、ネットワークのパフォーマンスにも変化はありませんでした。

図2に典型的な結果を示します。このテストの詳細と、その他のパフォーマンステストの結果については、調査全体を参照してください(英語)。

Unified Connectのパフォーマンス。IOmeterを使用して、FCoEトラフィックとCIFSトラフィックを1つの接続上に同時に生成。CoSを使用して、使用可能な帯域幅のうち80%をFCoEに、20%をCIFSに割り当て

図2)Unified Connectのパフォーマンス。IOmeterを使用して、FCoEトラフィックとCIFSトラフィックを1つの接続上に同時に生成。CoSを使用して、使用可能な帯域幅のうち80%をFCoEに、20%をCIFSに割り当て

Unified Connectの仕組み


FCoE、統合イーサネット、Unified Connectを可能にしているのは、イーサネットプロトコルに加えられた機能拡張であるData Center Bridging(DCB;データ・センター・ブリッジング)です。DCBによる拡張機能には、トラフィックの分類とエンドツーエンドの輻輳通知に基づく帯域幅の割り当てとフロー制御などがあります。DCB機能の検出と設定は、LLDP上でData Center Bridging Exchange(DCBX)を使用することで行います。

DCBを実装するイーサネット上では、Enhanced Transmission Selection(ETS;拡張伝送選択)によって帯域幅が割り当てられます。ETSはIEEE 802.1Qaz標準で規定された機能です。トラフィックは、イーサネット・フレーム・ヘッダー内のフィールドを使用して、8つのグループ(0~7)のいずれかに分類されます。各クラスには、最小限使用可能な帯域幅が割り当てられています。リンク上で競合またはオーバーサブスクリプションが発生しても、各トラフィッククラスには、少なくとも設定済みの帯域幅だけは割り当てられます。リンク上で競合が発生していない場合は、どのクラスも割り当て以上の帯域幅を使用できますが、割り当て量に満たなくても問題はありません。

NetAppでは、Unified Connectに初めてETSを実装するにあたって、使用する分類を2つに限定しました。1つ目の分類は1番目の優先キュー上のFCoEに対応し、すべてのIPトラフィックはもう1つの優先キューで対応します。次世代のUnified Connectでは、最大8つの優先キューを使用して、よりきめ細かな制御が行えるようにする予定です。

Priority-Based Flow Control(PFC;優先度ベースフロー制御)は、優先順位に基づいて動作する、リンクレベルのフロー制御を実現します。802.3xのPAUSEに似ていますが、個々のトラフィッククラスをポーズできる点が異なります。このため、PFCを使用するトラフィッククラスでは、輻輳によるロスのないネットワークを実現できます。ただし、すべてのトラフィックでPFCが必要なわけではありません。通常のTCPトラフィックは、ウィンドウサイズに基づく独自のフロー制御メカニズムを備えています。Fibre Channelプロトコルは、前提としてロスレスを実現する手段であるため、FCoEにはフロー制御のメカニズムは組み込まれておらず、ロスレスリンクレイヤを実現するにはPFCが必要です。PFCは、802.1Qbb標準で規定されています。

ETSとPFCの値は、一般にDCBに対応するスイッチ上で設定します。値はエンドノードにまで伝えられます。ETSの場合、送信側ポートがリンクセグメント(イニシエータとスイッチ間、スイッチ間、スイッチとターゲット間)の帯域幅割り当てを制御します。PFCでは、受信側ポートが優先度に基づいたPAUSEを送信します。送信側ポートでは、PAUSEを受信したポートから、そのトラフィッククラスのトラフィックを送信しないようにして対応します。

ベストプラクティス


データセンターにFCoEを導入する際には、過去のTech OnTapの記事で最良の方法を参照してください。

また、FCoEの導入方法にかかわらず、『Fibre Channel over Ethernet (FCoE) End-to-End Deployment Guide』(TR-3800)(英語)と『Ethernet Storage Best Practices』(TR-3802)(英語)にまとめられているガイドラインに従ってください。

Unified Connectの導入を確実に成功させるためには、そのほかに次のベストプラクティスにも従ってください。

  • 統合ネットワークを共有するすべてのトラフィックに必要な帯域幅を見積もり、FCoEトラフィックに必要な量と、他の種類のイーサネット・トラフィックに必要な量を割り出す
  • ETSとPFCをスイッチ上で設定して、すべてのノードが同じ設定を共有するようにする
  • 複数のDCB対応スイッチを接続する場合は、すべてのスイッチを同じDCB設定にする
  • FCoEにETS帯域幅割り当てを設定して、リンクを使用するすべてのSANトラフィックに最小許容スループットが保証されるようにする。たとえば、10台のホストが1つのFCoEスイッチに接続し、そのスイッチからさらにストレージシステムに接続している場合は、10台すべてのホスト分を合わせた最小許容スループットを割り出し、これをFCoEトラフィッククラスのETS設定とする。ETS割り当て値が設定するのは、最小限使用可能な帯域幅のみ。そのため、トラフィックが急増してより多くのスループットが必要になっても、割り当てられた帯域幅があるかぎりはそれを使用できる。同様に、FCoEトラフィックが割り当てられた量を使用していない場合は、他のイーサネット・トラフィックが余っている分を使用できる
  • FCoE対応スイッチ内の各VSANには、専用のVLANを構成すること
  • 各VSANには、別々のMultiple Spanning Tree(MST;多重スパニングツリー)インスタンスを設定する
  • DCB対応スイッチ上で、ユニファイドポートをIEEE 802.1Qインターフェイスとして設定すること
  • 現在Data ONTAP 8.0.1は、FCoE用のポート上ではインターフェイス・バンドリング(IFGRP)をサポートしていない

拡大する統合ネットワークのエコシステム


Unified Connectの提供によって、NetAppは、FCoEの可能性をデータセンター環境にすべてもたらしました。統合ネットワークにエンドツーエンドでFCoEを導入すると、配線がシンプルになり、管理が簡易化されるほか、パフォーマンスを犠牲にすることなくデータセンターのコスト全体を大幅に削減することもできます。

さらに、拡大を続けるソリューション・プロバイダとサービスプロバイダのエコシステムが、御社の成功をさらに確実なものとします。主要なホスト・オペレーティング・システムの大部分がすでにFCoEをサポートしています。未サポートの場合も、近い将来にサポートされる予定です。Intel、Broadcom、Emulex、QLogic、Brocade、Ciscoは、FCoEをサポートするアダプタを提供しています。また、CiscoとBrocadeは、FCoEとDCBをサポートするスイッチを提供しています。

加えて、このエコシステムをさらに強化する新しい標準が登場しつつあります。Open-FCoE標準は、オープンソースのFCoEソフトウェアスタックをLinux®に提供する機能です。Open-FCoEには、今よりも多様なネットワーク・インターフェイスでFCoEを使用できるようになるソフトウェア・イニシエータが含まれます。IntelとBroadcomは、この標準のサポートをすでに表明しています。FCoEでサポートされる構成数を増やすために、現在、FC-BB-6標準が作成されています。一般的なイーサネットスイッチ(DCB未実装)をトポロジに含めることができる構成もサポートされる予定です。

新しいFAS6200モデルを既存プラットフォームと比較した場合の、相対的なシーケンシャル・リード・パフォーマンス

図3)拡大を続けるNetAppのFCoEエコシステム

NetAppコミュニティ
 Unified Connectに関するご意見をお寄せください。

ご質問、意見交換、情報提供は、NetAppのコミュニティサイトまでお願いいたします。

Jason Blosil

Jason Blosil
プロダクト・マーケティング・マネージャー
NetApp

Jasonは、IT業界で15年以上の経験を積んでいます。そのうちの十数年をデータストレージ業界で過ごし、サーバベースのRAIDストレージ製品や外部ストレージシステムの管理とマーケティングに携わってきました。現在は、NetAppでイーサネットSAN(iSCSI、FCoE)ストレージ・ソリューションのスペシャリストとして活躍し、Ethernet Alliance、SNIA ESFなどの業界団体で積極的に活動しています。SNIA ESFにおいては、iSCSI SIGの共同議長を務めています。

Mike McNamara

Mike McNamara
プロダクト・マーケティング担当シニアマネージャー
NetApp

Mikeはコンピュータ業界で22年を超えるマーケティング経験があり、うち16年は、特にストレージを中心に扱ってきました。Adaptec、EMC、Hewlett Packardに在職後、NetAppに入社し、以来5年以上当社で勤務しています。Fibre Channel Industry Association(FCIA)のマーケティングに関する議長を務め、Ethernet Allianceのメンバーでもあります。

 
関連情報
 
TRUSTe
お問い合わせ  |  購入方法  |  フィードバック  |  採用情報  |  登録  |  プライバシーポリシー  |  © 2011 NetApp