NetApp Tech OnTap
ケーススタディ:National Semiconductor
NetApp Vシリーズを利用してストレージ効率を最大化

どの企業のストレージ担当チームもそうでしょうが、当社National Semiconductorでも、この数年間、効率性を最大限に高めるためにストレージの統合に取り組んできました。当社のように、導入済みのストレージが年間50%を超えるペースで成長を続けている状況では、統合は必要不可欠です。ところが、当社の場合、NASシステムとSANシステムを個別に使用しているため、別々の2つのストレージプールによる非効率性を完全に払拭することはできません。

しかし、NetApp® Vシリーズストレージ仮想化システムを使用して、EMC SANのストレージへのマルチプロトコルアクセスを可能にすれば、この制約を克服できることがわかりました。当社は最近、リースで使用していた古いNetApp FAS960システム2台を、Vシリーズシステム(既存のSANストレージのフロントエンドとして使用)に交換し、50%のコスト削減に成功しました

この記事では、次の項目について説明します。

  • NASゲートウェイの評価
  • Vシリーズを選択した理由
  • Vシリーズにデータを移すために実行した移行プロセス
  • シンプロビジョニングや重複排除などの、ストレージ効率に関するメリット
  • 今後の計画

NASゲートウェイの評価

我々は、高価なファイバチャネルディスクに全データを保存しなくてもいいのだと気付いてから、階層型ストレージの価値を認識するようになりました。National Semiconductorでは、EMC DMX-3ストレージシステムで稼働する大量のSATAストレージを購入し、ほとんどすべての場所にTier 3のLUNを展開してきました。このストレージを活用できるのはSANに限られていたため、このストレージプールをさらに活用するための手段として、NASゲートウェイの検討に着手しました。

手始めに他社製のNASゲートウェイの概念実証(POC)を行ったところ、多数の制約があることがすぐに判明しました。

  • このゲートウェイにはファイバチャネルポートが2つしかないため、テープライブラリに接続するためのポートの空きがありませんでした。
  • このデバイスは当社で使用しているバックアップ用ソフトウェア、Tivoli Storage Managerでは認定されていませんでした。
  • CIFS実装はサポートもされていませんでした。

そのころ、当社では2台のNetApp FAS960ストレージシステムをMetroClusterで接続し、CIFS用に構成していましたが、そのストレージスペースは不足しつつありました。NetAppに相談したところ、既存のFAS960の代わりに2台のV3040システムを導入し、すでに購入済みのSANストレージのフロントエンドとして使用すれば、ストレージ環境がシンプルになるだけでなく、コストの節約というメリットが得られることが判明しました。調達、導入、移行の全プロセスは、2カ月足らずで終了させることができました。

現在、当社では2台のVシリーズシステムを導入しています。カリフォルニア州サンタクララの拠点では、EMC DMX-3のフロントエンドとしてV3040クラスタを使用しています。また、カリフォルニア州サクラメントのDRサイトでは、別のEMC DMX-3のフロントエンドとしてシングルコントローラのV3040を使用しています。サンタクララのシステムは、42 TBのEMCストレージのフロントエンドとして動作しています。EMCシステムは従来どおり、SANに接続された他のシステムへの直接的なブロックアクセスも提供しています。

National Semiconductor社のVシリーズストレージインフラ

図1)National Semiconductor社のVシリーズストレージインフラ

NetApp Vシリーズを選択した理由

競合他社製品ではなく、また、単純に既存システムにストレージを追加する方法でもなく、当社が最終的にVシリーズを選んだのは、次のような理由からです。

  • 十分に利用されていなかったバックエンドのEMC SATAディスクを活用できるようになって、Vシリーズの実装コストはFAS960のリース費用の半額でした。
  • 既存のSANストレージのフロントエンドとしてVシリーズシステムを使用することで、単一のストレージプールが提供され、より機動力のあるストレージ環境を実現できました。
  • 当社はNetAppストレージを長年にわたって使用してきたため、NetAppとのつながりは強く、ストレージ効率を高めるNetAppのさまざまなメリットも含めて、Data ONTAP®オペレーティング環境について熟知しています(ストレージ効率の向上については、後のセクションで説明します)。NetAppなら確実であることがわかっていたので、決断に際して迷うことはほとんどありませんでした。
  • 移行プロセスはきわめて簡単であり、当社で使用していたArkivioアーカイブをそのまま残すことができたため、アーカイブ環境では特別な処置をする必要がありませんでした。

NetApp Vシリーズへの移行

移行には、NetApp SnapMirror®ソフトウェアを使用しました。その結果、エンドユーザに対して完全に透過的に移行を実施でき、ダウンタイムが最小限に抑えられました。他のベンダー製品を選んでいたら、長時間に及ぶサービス停止が必要だったでしょう。

移行の際には、既存のFAS960とV3040クラスタの間でSnapMirror関係を作成するだけです。データが完全にミラーリングされ、最新の状態になった時点で、スケジュールしていた2時間のダウンタイムで移行を完了しました。FAS960をシャットダウンしたあと、V3040クラスタ上のIPアドレスを旧システムに一致させ、再起動しました。クライアントシステムでの変更は不要であり、クライアントが切り替えを意識することもありませんでした。

FAS960に保存されていたデータには、Arkivioで作成されたデータアーカイブが多数含まれていました。他のベンダー製ゲートウェイを選んでいたら、その情報をすべてアーカイブストレージから複製元に戻す必要があったでしょう。しかし、NetAppで稼働するようにArkivioをセットアップしてあったので、この時間のかかるプロセスを回避することができました。

ストレージ効率の向上

NetApp Vシリーズを選択した結果、バックエンドストレージがEMC DMXシステムであっても、NetApp FlexVol®、Snapshot™テクノロジ、シンプロビジョニング、重複排除など、NetAppのストレージ効率性テクノロジを活用できるようになりました。

NetAppフレキシブルボリュームを使用することで、利用可能な全スピンドルにデータを分散して、ホットスポットを自動的に回避し、基盤となるストレージスペースを最大限に活用することができます。結果的に、当社におけるVシリーズファイルシステムの現在の利用率は約80%となっており、業界平均(25~40%)と比べて非常に高いレベルです。

当社では、CadenceおよびSynopsysアプリケーションで作成する技術開発データや、ビジネスユーザのホームディレクトリおよびグループディレクトリのファイルストレージなど、Vシリーズシステムをさまざまな用途に使用しています。最近では、いくつかの技術開発用アーカイブボリュームで、NetApp重複排除機能の運用を開始しました。この機能(EMCバックエンドストレージのネイティブな機能としては提供されない)によって、合計1.8 TBのスペースを節約しボリューム単位の平均節約率は34%に上っています。これらの重複排除ボリュームでは、112%の利用率を達成しています(1つを除くすべてのボリュームで、使用中のキャパシティと重複排除によって節約されたキャパシティを加算すると、ボリュームの総容量を超過します)。その他のストレージボリュームについても、合理性が認められれば重複排除の適用範囲を広げていく予定です。

重複排除による節約効果を示す出力

図2)重複排除による削減効果を示す出力

効率性に関するもう1つのメリットは災害対策であり、これはVシリーズシステムを追加することで、ほぼ無料で実現できました。当社ではすでに、DR施設にEMC DMX-3ストレージシステムを配置し、クリティカルなシステム向けにDRストレージを用意しています。この施設にV3040を配置した結果、クリティカルなNASデータに対して、NetApp SnapMirrorを使用したオンラインDRを実行できるようになりました。当社には、今までなかった機能です。

今後の計画:SnapVaultおよびFlexClone

Vシリーズシステムを導入して、バックエンドストレージを1つの大容量プールとして配備してからというもの、当社ではこれらを利用したさまざまな用途を考案しています。たとえば、National Semiconductorは米国、ヨーロッパ、およびアジアに約20箇所のリモートデザインセンター(RDC)を所有しています。当社は、この膨大な量の情報資産を、より効果的に保護したいと考えています。

RDCはすべてNetAppストレージで標準化しているので、これらの各システムにNetApp SnapVault®ソフトウェアを追加することで、企業ネットワークを介してVシリーズシステムにバックアップを実行することを計画しています。SnapVaultを使用すると、変更されたデータブロックだけが転送されるため、このプロセスが効率化されます。ネットワーク帯域幅は節約され、各バックアップで消費されるストレージ容量が大幅に減少します。すでに5、6箇所のRDCでこのプロセスを実装していますが、結果はきわめて良好です。

我々が最終的に検討しているプロジェクトは、VMware®環境におけるNetApp FlexClone®の運用です。FlexCloneボリュームを作成すると、クローンボリュームに変更がないかぎり、新たにスペースが消費されることはありません。クローンはきわめて迅速に作成することができ、スペース効率にも優れています。当社では現在、数百のMicrosoft® Windows®オペレーティング環境のインスタンスを仮想マシンで稼働しています。これらの環境はいずれもほぼ同一であり、膨大なストレージを消費しています。新しい仮想マシンのプロビジョニングに要する時間は、完全なオペレーティング環境のコピーを作成する時間によって制約されています。

当社では最近、VMware VDI(Virtual Desktop Infrastructure)と数台のデスクトップシステムを使用したパイロットプロジェクトを実施し、システムごとにコピーを作成するのではなく、FlexCloneを使用して仮想オペレーティング環境のクローンを作成する方法について検証を開始しました。この小規模な環境に関するかぎり、問題はまったくありませんでした。クローニングされた各ボリュームで稼働できる仮想マシンの個数については、もう少し検討してみる必要がありますが、このプロジェクトの続行は確定しています。[Tech OnTapには、このアプローチについて詳しく解説した過去記事がいくつかあります。NetApp Kilo-Clientの事例や、North Carolina State Universityでの導入事例を参照してください。]

まとめ

今回のVシリーズの導入は全体的に大成功でした。2カ月未満の移行期間を終えた今、当社ではスケーラブルなSANインフラストレージユニットの利点を活かした、NASおよびSAN用の1つのストレージプールを使用して、従来よりも機動力に富む環境を活用できるようになりました。実際、この変更によってストレージの推定稼働コストが50%下がったので、経営陣も我々が変更を行ったことに気付きました。言うまでもなく、経営陣は結果に満足しています。


Anthony M. Villegas, Tien Tran Anthony M. Villegas
National Semiconductor、エンタープライズストレージチーム管理責任者

Anthony(左)はNational Semiconductor生え抜きの技術者であり、同社のIT部門で30年のキャリアを築いてきました。IBMメインフレームでのシステムプログラミングを出発点とし、のちにオープンシステムとストレージ管理を手掛けるようになりました。現在は、SAN、NAS、バックアップ、DR、プロビジョニングなど、エンタープライズストレージの設計、実装、管理を担当しています。

Tien Tran
National Semiconductor、エンタープライズストレージ管理者

Tien(右)はNational Semiconductor社のIT部門に11年前から勤務しています(どちらかといえば新人です)。VTLをはじめとするストレージ管理業務に加えて、Cadence、SynopsysなどのEDAツールも担当しています。IT業界で15年のキャリアのあるTienは、以前はLSI、Sun Microsystems、Pacific Bellに在籍していました。


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