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新たなレベルに拡張された VST で、
フラッシュ使用時のパフォーマンスとコストを最適化
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Jay White
(テクニカル マーケティング エンジニア)
Chittur Narayankumar
(テクニカル マーケティング エンジニア)

バーチャル ストレージ ティア(VST)は、ストレージの自動階層化(AST)に向けたネットアップのアプローチです。AST テクノロジは、コストと複雑性を最小限に抑え、フラッシュベース メディアがもたらすパフォーマンスの向上というメリットをデータセンターで実現します。ソリッド ステート ディスク(SSD)やコントローラベースのフラッシュをはじめ、フラッシュベースのデバイスでは、最速のハードディスクドライブ(HDD)に比べて、1 秒当たり 25~100 倍のランダム リード処理を実行できますが、このパフォーマンスを実現するには、容量単価において 15~20 倍のコストがかかります。

VST では、データセット全体を常に高価なフラッシュ メディアに配置するのではなく、アクセス頻度の高い「ホット」なデータブロックを自動的に識別してフラッシュに格納し、アクセス頻度の低いデータはより低速で低価格のメディアに保存します。ネットアップは、これまで最適なソリューションの設計を目指し、ASTで対応しなければならない課題の把握に多くの時間を費やし取り組んできました。

VST に新たに2製品が追加されたことにより、ネットアップでは、クライアント アプリケーションからディスク サブシステムに至るまで、エンドツーエンドのフラッシュ オプションを提供できるようになりました。

  • コントローラ レベル:NetApp® Flash Cache は、ストレージ コントローラベースのフラッシュで、アクセス頻度の高いランダム リード データを保持します (Flash Cache で使用されるアルゴリズムやその他の詳細については、最近のTech OnTap®の記事で詳しく紹介しています)。
  • ディスクサブシステム レベル:NetApp Flash Pool テクノロジは、1 つのネットアップ アグリゲート内に SSD と HDD を組み合わせたハイブリッドモデルを採用しています。アクセス頻度の高い「ホット」なランダム リード データをキャッシュし、繰り返し発生する書き込みデータについては自動的にSSDに保存します。
  • サーバ レベル:NetApp Flash Accel™テクノロジは、VST をサーバ レベルに拡張します。あらゆるサーバサイドのフラッシュ デバイス(PCI-e フラッシュ カードや SSD ドライブ)をローカル キャッシュとして使用することにより、サーバのCPUやメモリ リソースを解放して、I/O の負荷をネットワークやバックエンド ストレージからオフロードできるようにし、最も負荷の高いアプリケーションに最適な I/O 効率を提供します。

VSTの3つのレベルはすべて、VSTのメリットを最大限に引き出し、以下のメリットを実現できます。

  • アクセス頻度の高いホット データを細かい単位でリアルタイムに昇格:アクセス頻度の高いホット データを即座にVSTに配置し、4KBという細かい単位で対応するため、フラッシュベースのメディアを効率的に利用できます。
  • 導入や管理が容易:VST は、既存のデータ ボリュームや LUN に対応します。ストレージ環境の複雑な変更や中断を伴う変更は必要ありません。また、データの移動に関するポリシー、しきい値、タイム ウィンドウを設定する必要もありません。
  • 完全な統合:VST は NetApp ユニファイド ストレージ アーキテクチャと完全に統合されているため、NAS または SAN のいずれのストレージ プロトコルも変更せずに利用できます。

本稿では、NetApp Flash Pool を使用したディスク サブシステムレベルと、Flash Accel テクノロジを使用したサーバレベルの VST オプションについて説明し、3つのレベルを導入すべきタイミングや場所について、一般的なガイドラインを示します。Flash Cacheについてまだ詳しくないという読者の方は、Flash Cache に関する記事で詳細をご覧ください。

インフラ内のさまざまなレベルで動作するNetAppバーチャル ストレージ ティアにより、フラッシュの使用を最大限に最適化

図1)インフラ内のさまざまなレベルで動作するNetAppバーチャル ストレージ ティアにより、フラッシュの使用を最大限に最適化

Flash Pool

NetApp Flash Pool は、ネットアップのアグリゲート レベルで機能します (アグリゲートは RAID グループの集合です)。Flash Pool は、ソリッドステート ディスク(SSD)で構成された RAID グループを既存の 64 ビット アグリゲートに追加するだけで作成でき、ハイブリッド ディスク アレイを構築して、SSD と HDD の双方のテクノロジから最大のメリットを得ることができます。SSD は、アグリゲート内のボリュームに対するランダム リード データや繰り返し発生するランダム ライト(オーバーライト)データを格納するのに使用し、これによりハードディスクドライブ(HDD)の作業をオフロードします。その結果、少ないディスク スピンドル数で、またはパフォーマンス重視のディスクの代わりに大容量ディスクを使用して、同等のパフォーマンスを実現できます(全体の遅延時間は短縮されます)。Flash Pool では、遅延時間短縮とスループット向上という SSD の利点と、HDD の大容量ストレージを同時に活用することができます。

ディスク サブシステムレベルの Flash Pool アプローチには、次に挙げるような多くのメリットがあります。

  • 永続性:Flash Pool は、ディスク レイヤに実装されるため、テイクオーバー時にも動作が継続されます。HA 構成では、1 つのコントローラが計画的停止や計画外停止のためにオフラインになっても、もう一方のコントローラが Flash Poolを含むアグリゲートとボリュームを引き継ぎます。RAID は耐障害性を提供し、Flash Pool 内でデータを保護します。
  • ランダム リードとランダム オーバーライトのキャッシング:HDD の観点から、最も「コストの高い」アクティビティは、既存ブロックのランダム リードとランダム オーバーライトです。Flash Pool テクノロジは、このような処理を SSD にオフロードします。オーバーライトのキャッシングでは、読み取りが再度発生する可能性の高いブロックを Flash Pool に読み込み、HDD に対して一時的な書き込みが行われないようにします。
  • 重複排除対応:Flash Pool テクノロジは、完全に重複排除に対応しています。ほぼ同一の仮想マシンのインスタンスが数多く重複排除された場合などには、重複排除済みのブロックに多くの参照が含まれることがあります。重複排除済みのブロックは、複数の参照からアクセスされますが、SSD に保持されるインスタンスはブロックごとに 1 つだけです。このような優れた効率性によって、より少ないフラッシュで所定のワークロードに対応することができます。この効果はキャッシュ増強と呼ばれることもあります。
  • FAS2200 シリーズのサポート:NetApp FAS2200 シリーズのコントローラは、サイズがコンパクトであるため、コントローラレベルの VST には対応していませんが、Flash Pool テクノロジは使用できます。

Flash Pool の仕組み

Flash Pool テクノロジの仕組みを理解するには、Flash Pool がランダム リードとランダム オーバーライトを識別して SSD に格納するプロセスを理解する必要があります。ブロックの初回読み込み時、ブロックはまずディスクからストレージ コントローラのメモリに読み込まれ、ランダムかシーケンシャルのいずれかに分類されます。ランダムに分類されたブロックは、時間の経過とともにコントローラのメモリから削除されて SSD に書き込まれ、その後同一ブロックに対する読み込みは SSD から行われるようになります。

また、Data ONTAP の設計は、書き込みに最適化されています。受信する書き込み要求のジャーナルに、効率に優れた NVRAM を採用し、ライターが遅延なく要求を認識できるようにしています。可能なかぎり書き込みを収集し、フル ストライプをディスクに書き込むようにすることで、書き込みの集合体をシーケンシャル ライト アクティビティとして扱い、基盤にある RAID 実装と HDD から最適なパフォーマンスを引き出します。

Flash Pool の目的は、読み取りや書き込みが再度発生する可能性の高いブロックをSSDに格納し、I/O を HDD からオフロードすることです。大量のシーケンシャル ライトは、HDD で効率的に処理されます。こうしたデータを SSD に格納しておくことは、リソースの最適な使用方法とは言えません。ランダム ライト、特に繰り返し上書きされる書き込みは、Flash Pool SSD に格納する対象としては理想的です。Flash Pool では、読み取りが再度発生する可能性の高いブロックや繰り返し書き込みが行われるブロックをSSDに格納します。

Data ONTAP は書き込み要求を受信すると、その書き込みを検証し、それがシーケンシャルではなくランダムであり、かつそのブロックに対する前回の書き込みもランダムであったかどうかを検証し、そうであった場合は、SSD に対して書き込みを行います。

Flash Pool からブロックを削除する方法

Data ONTAP®テクノロジでは、各ブロックのアクセス頻度を記録しておくヒート マップを維持しています(SSD に永続的に格納されます)。読み取りはまず「ニュートラル」としてFlash Pool に取り込まれます。その後読み取りが発生すると、ブロックの温度(キャッシュヒット率が高い=温度が高い状況と表現しています)が「ウォーム」に、さらには「ホット」へと順に引き上げられます。書き込みの場合も同様に「ニュートラル」としてFlash Poolに取り込まれますが、その後上書きが発生してもブロックの温度は変わりません。

利用可能な SSD の領域が不足してきた場合、Data ONTAP は、削除スキャンを実行し、実行毎に各ブロックの温度を引き下げます。たとえば、「ホット」ブロックは「ウォーム」に、「ウォーム」ブロックは「ニュートラル」に、「ニュートラル」ブロックは「コールド」になります。スキャン実行の合間にブロックの読み取りか上書きが発生すると、その温度は再び引き上げられます。ただし、読み取りの「ホット」ブロックについては、最高温度のまま変更されず、書き込みの最高温度である「ニュートラル」についても同様に変更されません。「コールド」ブロックに対して読み込みも上書きも発生しなかった場合、次のスキャン実行時に温度が「削除」に引き下げられます。この時点で、「リード」ブロックは削除され、オーバーライト ブロックについては HDD に書き込まれるようスケジュールされます。

このメカニズムにより、Flash Pool の容量がいっぱいになった際には、「ホット」データのみが Flash Pool に残されます。Flash Pool は調整を動的に行って、「ホット」データを保持します。1つの Flash Pool で読み取りと書き込み専用に用意される量は、もっぱらそのプールを使用するワークロードの詳細に依存します。

ブロックはヒート マップに基づいてFlash Poolから削除されます。プールがいっぱいになると、削除スキャンが実行され、実行毎に各ブロックの温度が引き下げられます。ブロックの温度が「削除」に到達すると、ブロックは削除されます。スキャン実行の合間にアクセスがあると、ブロックの温度が引き上げられ、結果としてFlash Poolには「ホット」データが残されます。

図2)ブロックはヒート マップに基づいてFlash Pool から削除されます。プールがいっぱいになると、削除スキャンが実行され、実行毎に各ブロックの「温度」が引き下げられます。ブロックの温度が「削除」に到達すると、ブロックは削除されます。スキャン実行の合間にアクセスがあると、ブロックの温度が引き上げられ、結果として Flash Pool には「ホット」データが残ります。

Flash Pool のパフォーマンス

Flash Pool テクノロジを使用したベンチマークはまだ未公開ですが、ネットアップは潜在的効果を示すために、OLTP ワークロードを使用して Flash Pool の適用前と適用後を比較した調査を実施しました。FAS6210 を基盤とした同じ構成を用意して Flash Pool を実装し、一方のケースでは IOPS あたりのコストを最適化し、もう一方のケースではストレージの GB あたりのコストを最適化しました。その調査結果を図3に示します。両ケースで全体の遅延時間に大幅な改善が見られたことに注目してください。このよう改善は、多くの場合、IOPS全体のパフォーマンスよりも、認識できるパフォーマンスにより大きな効果が現れる可能性があります。

Flash Poolがコストと効率、パフォーマンスにもたらす効果

図3)Flash Pool がコスト効率、パフォーマンスにもたらす効果

表1)Flash Pool の要件とオプション

Flash Pool の要件とオプション
Data ONTAP バージョンData ONTAP 8.1.1 以降、7-Mode と Cluster-Mode
チューニング オプション
(ボリューム単位)
 
読み取りランダムリード(デフォルト)
メタ:メタデータのみ
ランダムリード / ライト:読み取り用プールにランダム リード / ライトの両方を格納
なし:ボリュームの読み取りキャッシングを無効化
書き込みランダムライト(デフォルト)
なし:ボリュームの書き込みキャッシングを無効化
サポート対象のプラットフォームFAS22x0、FAS3240 / 3270、FAS3160 / 3170、FAS60x0、FAS62x0、ネットアップのディスクと SSD のみを使用している V シリーズ

NetApp Flash Pool テクノロジの導入と使用に関する詳細については、ネットアップの TR-4070:『Flash Pool Design and Implementation Guide 』を参照してください。

Flash Accel

NetApp Flash Accel ソフトウェアは、2012 年 8 月に発表され、2012 年末にリリースの予定です。Flash Accel は、サーバ自体を含め、ネットワーク全体に NetApp VST のメリットを拡張できるように設計されました。サーバ上にローカルのフラッシュ デバイスを保持することは、管理が必要な直接接続型ストレージを抱えることを意味します。これは、データ保護の問題を起こす可能性があり、データをサイロ化し孤立させます。Flash Accel によるサーバ キャッシングは、こうした問題をなくし、数多くのメリットをもたらします。

  • 個々のアプリケーションのパフォーマンス強化をフラッシュに一任:Flash Accel では、1つまたは少数のアプリケーションにフラッシュの使用を限定し、ローカル ストレージのデメリットを排除することで、スループットを最大80%向上し、トランザクションの遅延時間を最大90%短縮します。
  • ハードウェアに依存しない:Flash Accel は、使用しているサーバ上のあらゆるエンタープライズクラスのフラッシュ デバイス(PCI-e カードや SSD)で使用できます。また、ネットアップは、既存のデバイスを持たないお客様のために Fusion-io の ioMemory 製品を再販できるよう、Fusion-io とも契約を結びました。さらに、アライアンス パートナー エコシステムを拡張し、サーバキャッシュ テクノロジを有する多様なパートナーとも提携しました (詳細については、最近のプレスリリースをご覧ください)。
  • 永続性と耐久性:Flash Accel キャッシュに格納されたデータは、サーバのリブート時にも維持されます。障害発生時やブルー スクリーン エラーのような異常時にも、キャッシュは保持されます。
  • 独自のキャッシュ一貫性:リストアの実行時などに、バックエンド ストレージのデータが変更された場合、他のキャッシング ソリューションでは、サーバ キャッシュ全体をダンプするという手段が取られるため、データを投入し直している間、長時間パフォーマンスが低下することになります。NetApp Flash Accelでは、変更されたブロックを特定し、そのブロックのみを削除対象とするため、パフォーマンスが維持されます。
  • VMの密度を向上:VMやアプリケーションがよりスムーズに動作し、リソース待ちのためにブロックされる時間が少なくなるため、サーバごとのVMの数を、通常5~10台増やすことができます。
  • バックエンド ストレージの効率を向上:テストの結果、同じ設定とワークロードを使用し、Flash Accel が無効の場合と比べて、Flash Accel はバックエンド ストレージの効率を 40% 向上することがわかりました。このため、バックエンド ストレージで必要なリソースを削減し、解放されたリソースを他のワークロードのサポートにまわすことができます。
  • オーバーヘッドが低い:Flash Accel は、ESX ホストのメモリ リソースを約0.5%しか必要としません。
  • データ保護:サーバサイド キャッシュに保存されたデータは、ネットアップ ストレージにも保存され、ネットアップの標準メソッドを使用して保護されます。

Flash Accel の初期リリースでは、VMware® vSphere® 5.0 以降と Windows® VM でのみ動作します。今後のリリースでは、追加の VM、その他のハイパーバイザー、ベアメタルにまでサポートが拡張される予定です。

Flash Accel の仕組み

Flash Accel は、3 つのコンポーネントで構成されます。

NetApp vCenter VSC プラグイン:Flash Accel の設定と管理は、VMware vCenter ™ で実行されるNetApp Virtual Storage Console(VSC)プラグインを使用して行われます。このプラグインでは、次のことを実行できます。

  • ESX ハイパーバイザー プラグイン ドライバのインストールと設定
  • ゲストFlash Accel エージェントのインストールと設定
  • ESXホストでの Flash SSD デバイスの検出
  • ESXホスト上の1つ以上の SSD またはその他の Flash デバイスを Flash Accel で使用できるように設定
  • ホスト上のキャッシングの有効化 / 無効化
  • ゲストVM上のキャッシュ サイズ変更
  • 現在のキャッシュの状況とパフォーマンス指標値のレポート

Flash Accel ハイパーバイザー プラグイン(ESX ホストにインストール):ハイパーバイザー プラグインは、ESX ホストにインストールされ、VSC を使用して定義された設定に従って、ローカルで接続されたデバイス(SSD など)やストレージ アレイのパスの制御を確立します。また、論理デバイスを作成し、ESX ストレージ スタックに SCSI デバイスとして提供します。同じ WWN を使用する複数の ESX ホスト上で作成された論理デバイスによって、ESX は 1 つのデバイスを共有デバイスとして扱うことができ、VMはこのデバイスを使用して、vMotion® と VMware HA の操作を行えるようになります。ハイパーバイザー プラグインでは、VM の移行のほか、Flashデバイスの管理や、動的なリソース共有とキャッシュ ブロックの重複排除も可能です。

Windows VM での Flash Accel エージェント:Windows ゲスト VM にユーザレベルのエージェントが実装され、このエージェントが以下の機能を果たします。

  • フィルタ ドライバに設定を適用
  • 1つ以上のデバイスまたは VM 全体のキャッシュを有効化/無効化
  • VSC へパフォーマンス指標を伝達
  • SnapDrive® や SnapManager® など、他のデータ管理ソフトウェア テクノロジと統合

このサービス エージェントは VSC へ Web サービスをエクスポートし、Windows PowerShell™ コマンドレットを介してドライブと通信します。

Flash Accelには、各VMで実行されるエージェントとVMware vSphere用プラグインが含まれています。Flash Accelは、vCenterで実行されるNetApp VSCから制御でき、ESXホスト上で利用可能な任意のPCI-e FlashカードまたはSSDを使用できます。

図4)Flash Accel には、各 VM で実行されるエージェントと VMware vSphere 用 プラグインが含まれています。Flash Accel は、vCenter で実行される NetApp VSC から制御でき、ESX ホスト上で利用可能な任意のPCI-e FlashカードやSSDを使用できます。

図4で示したように、Flash Accel は ESX サーバ上のローカル Flash リソースを使用して、Windows 仮想マシンにキャッシュ レイヤを提供します。この Flash デバイスを ESX ホスト上の複数の VM で共有して、各 VM が独自のローカル キャッシュを作成できます。

VMがデータを読み取ると、読み取られたデータはすべてローカルにキャッシュされ、その後の読み取りは、キャッシュを再利用することでバックエンド ストレージからオフロードされます。書き込みの場合、データはバックエンド ストレージに書き込まれますが、書き込まれたデータをキャッシュから再度読み取ることができます。

Flash Accelのキャッシュは、主にキャッシュ処理とストレージ マネージャという 2 つのレイヤに分かれています。

  • キャッシュ処理レイヤは、キャッシュを介してI/O 要求を送信するインターフェイスの実装を担っています。このインターフェイスでは、受信したI/O要求をいくつかの 4KB I/O 要求に変換し、キャッシュやプライマリ ストレージ サーバとの間でやり取りする処理が行われます。キャッシュ処理レイヤ全体はWindowsフィルタ ドライバに実装されます。
  • ストレージ マネージャは、メタデータとキャッシュされたデータ ブロックを Flash 上にレイアウトし、永続的に利用可能にする役割を担っています。このモジュールは、キャッシュ処理レイヤのみから呼び出されます。ストレージ マネージャはフィルタ ドライバ内に常駐し、ハイパーバイザーがFlashデバイスの初期化、設定、管理を行います。

Flash Accel の最も重要な特徴は、データの一貫性です。バックエンドのデータが変更されても、Flash Accelへの通知がなければ、キャッシュのデータとバックエンド ストレージのデータが同期していない可能性があります。このような問題が生じると、キャッシュからアプリケーションやエンドユーザに正しくないデータが返される結果となり、データが破損することもあります。データの一貫性が問題となる状況には、次の 2 種類があります。

  • オンラインでのデータ変更で、インバンド方式でデータを変更する場合:デバイスのマウント、アンマウント、ブートなどのイベントが発生すると、Flash Accel はキャッシュのメタデータとストレージ システムのメタデータを比較してデータの一貫性をチェックし、一貫性のないデータを検出して、必要に応じてブロックを無効にします。たとえば、ネットアップ ストレージ上のアプリケーション データに対してSnapRestore® 処理を行う場合が、このような変更にあたります。チェックが行われていない間に一貫性の問題が生じることはありません。VM がデータをアクティブに使用している場合、Data ONTAP はデータに変更を加えないからです。アウトオブバンド方式の変更(ストレージに認識されない方法で実行中のVMを更新する)はサポートされていません。
  • オフラインでのデータ変更(VMDK / LUN リストアなど):オンラインでのデータ変更と同様、Flash Accel はキャッシュのメタデータとバックエンド ストレージのデータを比較して、必要に応じてブロックを無効にします。たとえば、SnapRestore によって VM 全体をリストアする場合が、このような変更にあたります。

このような状況でFlash Accelを使用すると、変更されていないブロックはすべて維持しながら、異なるブロックのみを無効にできるというメリットがあります。同様の状況が起こった場合、ほかの解決策ではキャッシュされたデータをすべて消去して、ストレージのデータでキャッシュ全体を暖めなおす結果となります。この方法では、データ量によっては数時間から数日かかる場合があり、その間は速度パフォーマンスが低下します。

Flash Accel のパフォーマンス

ネットアップでは、同一の構成に Flash Accel を追加した場合と追加しない場合のパフォーマンスを比較しました。テストには、Microsoft® Exchange で生成されるディスク I/O をシミュレートする Jetstress を使用しました。その結果、Flash Accel を追加すると、読み取りと書き込みの両方で I/O パフォーマンスが約 77% 向上することが分かりました。Flash Accel は、まずアプリケーションの読み取りパフォーマンスを向上し、それに応じてバックエンド ストレージが読み取り処理によってビジー状態になることが少なくなり、書き込みのパフォーマンスも向上しました。結果として、アプリケーションのパフォーマンスは全体的に向上しました。テストの結果は図5をご覧ください。

JetstressによるExchangeワークロードのシミュレーションで、Flash Accelは読み書きI/Oを約77%向上

図 5)Jetstress による Exchangeワークロードのシミュレーションで、Flash Accel は読み書き I/O を約 77% 向上

VST オプションの選択

スピードアップが求められるすべてのワークロードを最小限のコストで高速化して、Flash への投資から最大限の効果を上げるには、最適なレベルの VST を選択することが非常に大切です。

  • サーバ レベル(Flash Accel):特定のESX ホストで実行する 1 つ以上の VM を高速化します。
  • ディスク サブシステム レベル(Flash Pool):アグリゲート単位のワークロードで高速化を実現します。
  • コントローラ レベル(Flash Cache):ストレージ コントローラに関連付けられているすべてのワークロードを高速化します。

つまり、共有ストレージ インフラでは、特定のワークロードを高速化するにはサーバ レベルを選択するのが最も効果が高く、コントローラ レベルを選択するのが最も効果が低いと言えます。1つのワークロードの高速化が必要な場合、優れた選択肢はサーバ レベルのVSTを選ぶことです。すべてのワークロードを高速化する必要があり、場合によってはパフォーマンス重視のディスクから容量重視のディスクへ切り替えることも想定しているときは、ディスク サブシステム レベルまたはコントローラ レベルを選択します。

新規導入の場合は、まず Flash Cache または Flash Pool テクノロジを導入して、その後、大部分の遅延の影響を受けやすいアプリケーションのパフォーマンスをさらに強化する必要がある場合は、Flash Accelを追加します。

Flash Cache と Flash Pool のどちらかを選択する場合は、次の箇条書きに示した類似点と相違点を見て判断してください。

  • Flash Pool と Flash Cache は、どちらもランダム リード処理に対してキャッシュ機能を提供し、最大限のスペース効率を実現する重複排除機能に完全に対応しています。
  • Flash Pool はアグリゲートごとにインストールされ、アグリゲート単位のワークロードをサポートします。Flash Cache はコントローラ上のすべてのワークロードに適用されます。
  • Flash Cache はプラグアンドプレイ方式ですぐに利用できますが、Flash Pool は簡単な設定が必要で、その後は自己管理型で運用できます。
  • Flash Pool には以下の特徴があります。
    • SSD へのランダム ライトの繰り返しで I/O をオフロード
    • RAID により保護
    • テイクオーバー後も安定したパフォーマンスを提供
    • FAS2200 シリーズなど FAS 製品のラインナップ全体をサポート

一般的に、Flash Pool はテイクオーバー後もパフォーマンスのメリットが失われないため、ミッションクリティカルなアプリケーション向けの選択肢として適しています。ストレージへの上書き頻度が高いアプリケーションにも、Flash Pool をお勧めします。また、Flash Pool は FAS2200 シリーズで選べる唯一のオプションです。Flash Cache はメイン メモリに近い位置に導入されるため、ハイ パフォーマンスなファイルサービスでの使用に適しています。

Flash Pool と Flash Cache は、1 つのストレージ システムに両方インストールすることもできますが、両方をインストールしても、通常はそれほど大きなメリットはありません。Flash Pool が有効のアグリゲートから読み取ったデータ ブロックは、Flash Cache にキャッシュされることはありません。

まとめ

バーチャル ストレージ ティアに Flash Pool と Flash Accel という 2 つのオプションが登場したことで、Flash を使用して I/O パフォーマンスを最適化する新たな方法が加わりました。一般的なガイドラインとして、以下の点に注意してください。

  • Flash Cache はあらゆる処理を高速化
  • Flash Pool はアグリゲートを高速化
  • Flash Accel はアプリケーションを高速化

上記のレベルを組み合わせて、パフォーマンス全体を最適化し、同時に投資を最小限に抑えることができます。どのオプションを選択する場合も、VSTの導入により、管理すべき対象がほとんどなくなります。必要に応じて、導入を調整できますが、ほとんどの場合はデフォルトで十分な機能を発揮し、目に見える大きな効果が得られます。

VSTに関するご意見をお寄せください。

ご質問、意見交換、情報提供は、ネットアップのコミュニティ サイトまでお願いいたします。

著者紹介:Jay White および Chittur Narayankumar(テクニカル マーケティング エンジニア)

Kumar はネットアップに11年以上勤務し、現在は Flash Accel グループの一員です。ネットアップ ストレージにおけるメッセージングとコラボレーションに関して、テクニカル レポートや Solution Builder のドキュメントも多数執筆しています。

Jay は Data ONTAP グループに属するテクニカル マーケティング エンジニアで、Flash Pool 、システム パフォーマンス、high file count(HFC)環境を担当しています。ネットアップ ストレージのサブシステム、耐障害性、 RAID などに関して、テクニカル レポートやFAQも多数執筆しています。

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