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ケーススタディ:XenServerによる仮想化

Mine Safety Appliances(MSA)は、セーフティプロダクツの開発で世界的なリーダー企業です。工事現場や軍隊で使われているヘルメットから、消防士が危険な作業を安全に行えるよう支援する最新式の赤外線画像カメラやGPSデバイスまで、幅広い製品を取り扱っています。

技術開発、製造、ビジネス上のニーズに対応するため、当社はこの1年間、多くの企業と同じように、サーバの仮想化とストレージの統合を積極的に進めてきました。当社はこの目的を達成するために、Citrix XenServerとNetApp®ストレージ(NFSを使用)を組み合わせて導入しました。今までのところ、非常に満足のいく結果が得られています。

この記事では、MSAがこれらのソリューションを選んだ理由、現在の状況、そして近い将来計画している変更について説明します。

XenServerとNetAppを選んだ理由

ペンシルバニア州ピッツバーグにあるMSA本社とその近隣のいくつかの施設で、およそ1年半前から仮想化と統合のプロセスが開始されました。多くの企業と同様、当社でもサーバが無秩序に増えていくという問題に悩まされていました。各事業部で新しいアプリケーションが必要になるたびに、直接接続ストレージ(DAS)を備えた新しい物理サーバが必要となり、膨大なラックスペースが消費されると同時に、データセンターのキャパシティが膨れ上がりました。

この方式では、新しいサーバのプロビジョニングにも非常に時間がかかり、管理が煩雑であるばかりか、各サーバには未使用のストレージが大量に残ってしまいました。サーバとストレージリソースを仮想化すれば、大幅な効率化を図れることに気付いた当社は、使用可能なテクノロジについて検討を開始しました。

それと並行して、私たちはSAP®ストレージに使用していた容量約11 TBのHitachiストレージシステムを交換することも検討しました。SAPアプリケーションの開発とテスト用にはNetApp FlexClone®が有利だという理由もあり、容量50 TBのNetAppシステムを選択することになりました(この点については、事例(英語)で詳しく説明されています)。システム容量を以前よりも大幅に増やしたのは、今後の成長と統合のニーズを考慮した結果です。当社は、NetAppシステムに慣れるにつれて、CIFSでのWindows共有など、他のストレージニーズにもNetAppを利用するようになりました。その結果、2つのWindows®クラスタを廃止することができました。

XenServerによる仮想化を検討する段階になると、必要なものが着実に揃ってくるのが実感できました。XenServerではNetAppストレージがサポートされ、しかもXenの開発が実際にNetAppで行われたことを知って、信頼感が高まりました。そのほかに、AMDチップセットを使用するSun™ Microsystems 4100サーバプラットフォームを検討しました。XenSource(現在はCitrixの一部門)によると、AMDハードウェア仮想化機能を最もうまく処理できるのはXenServerだそうです。

こうして最終的に、XenServer、NetAppストレージ、そして(非常に経済的という理由から)Sun 4100の組み合わせを選択しました。XenServer 4.0.1には、さしあたって必要な機能がすべて備わっていました。2008年9月にリリースされた最新バージョン、XenServer 5には、私たちのニーズに合ったVMware® ESXにほぼ匹敵する拡張フィーチャセットが備わっています。

XenServerでは、すべてのVMが使用するバックエンドストレージにNFSで接続することができます。Fibre Channelは複雑性とコストの問題から手を出したくないため、この点は当社のニーズにうまく合致しています。NFSを使用することで、柔軟性と容易な管理が実現されるだけでなく、NetAppストレージのシンプロビジョニング機能を最大限に活用することができます。たとえば、仮想マシン用に80 GBのボリュームをプロビジョニングする場合、そのボリュームが最終的に平均約14 GBしか使用しないようにシンプロビジョニングすることが可能です。したがって、標準的な仮想マシンで使用するディスク容量は、シンプロビジョニングを使用しない場合と比べると20%未満になります。その結果、ディスク利用率が向上し、ストレージ所要量が削減され、すべての仮想マシンが1つのストレージプールから必要に応じて容量を引き出すことができます。

現在の状況

当社は現在、本社と近隣の2箇所の施設にCitrix XenServer 4.0.1とNetAppを実装しています。合計11台のXenServerは、すべてNetAppストレージシステム(未フォーマット時の総容量80.5 TB)に接続しています。当社で使用している仮想マシンは、すべてWindows 2003で稼働しています。

当社で最大のXen環境は、技術開発部門と製造部門のあるクランベリー事業所(アクティブユーザ650人)です。ここでは4台の実働XenServerで約36の仮想マシンを運用しています。これらの仮想マシンは、アクティブ・アクティブ構成のNetApp FAS2020にNFSで接続されています。そのほかにLotus NotesおよびLotus Domino用の物理サーバが2~3台あり、やはりNetAppストレージを使用しています。

本社のデータセンターでは、約560人のユーザと5台のXenServerを運用していますが、ここで使用しているアクティブ・アクティブ構成のFAS3070のストレージを増設するため、今のところ仮想マシンは15のみです。3番目の拠点であるマリーズヴィルでは、2台のXenServerホストを1台のFAS3070でサポートしています。

現在までの成果

当社ではXenServer、NetApp、およびSun 4100を導入した結果に非常に満足しています。XenServerを運用して1年余になりますが、サーバ自体をリブートする必要が生じたことはありません。MSAはここ数年で急成長していますが、テクニカルオペレーションチームは総勢わずか7人のままで運営されています。7人のうち主にストレージを担当しているのは2人です(ただし、両人ともその他に多くの業務を兼任しています)。そのほかに担当者が不在の場合に備えて補助スタッフを1人指名しています。

アプリケーションパフォーマンスの向上
アプリケーションに関しては、私たちが仮想化した最も重要なアプリケーションは、プロダクトライフサイクル管理(PLM)ソフトウェアの大手、PTC製の統合型3D CAD/CAM/CAEソリューション、Pro/ENGINEERです。あらゆる製品の開発作業がPro/ENGINEERで行われているため、Pro/ENGINEERデータは当社にとってクリティカルです。設計図はすべて、仮想マシンで動作するPro/ENGINEERで保存および管理しています。Pro/ENGINEER自体は、別の仮想マシンで動作するOracle®データベースを使用しています。

Pro/Eを仮想化した段階で、パフォーマンスは以前と同じ水準であれば可と考えていましたが、実際にはパフォーマンスは向上しました。従来の環境(RAID 5アレイを直接接続した専用のDellサーバ)と比べて、図面のチェックイン/チェックアウトが目に見えて速くなったとエンジニアが報告しています。もちろん、NFSストレージのパフォーマンスには非常に満足しています。同じストレージシステムで、多忙を極めるLotus Notes環境など、その他のストレージニーズにも対応していることを考えると尚更です。

統合:容量を80%以上削減
仮想化とストレージ統合の結果、クランベリーサイトでは合計3ラック分の機器を2分の1ラックに縮小することに成功しました。これには1 UのSunサーバ(XenServerおよび物理サーバ用)、クラスタ構成のFAS2020(仮想化環境のすべてのストレージを提供)、600人のLotus Notesユーザ、および3.5 TBのCIFS共有が含まれます。

平均94~95%だった無停電電源装置(UPS)の利用率が今では60~64%に下がり、統合と仮想化の結果、電力と冷却エネルギーの所要量が約30%削減されたと結論付けられます。

迅速なサーバプロビジョニングと高いストレージ利用率
プロビジョニングに関しては、新しいサーバをオンラインにするまでの所要時間が、現在では約10分に短縮されています。当社では32ビットと64ビットのWindows Server 2003テンプレートを使用しています。XenCenter内でマウスを数回クリックし、適切なテンプレートを選択して実装するだけで、新しいサーバをプロビジョニングできます。

統合とシンプロビジョニングの結果、非常に高いストレージ利用率も達成されました。当社の技術開発データセンターでは現在、85~90%という利用率を達成しています。これはストレージの標準的な値よりも上であり、当社の従来の環境で目標とされていた値と比べればはるかに上です。以前はDASを使用していたので、ストレージ利用率の問題を解決するのが困難でした。容量が十分に使われていないサーバが多かった反面、慢性的にストレージ不足のサーバもいくつかありました。

MSA Xen Server

図1) MSAのXenServerおよびストレージインフラで、ローカルバックアップ用にSnapshot™、DR用にSnapMirror®を使用している状態。サイト間に新設予定の光ファイバリンクによって、これらの機能が実現されます。

次のステップ:バックアップとDR

当社は今後、2つの重要な拡張機能を実装する予定であり、現在その準備を進めています。第一に、既存の全サーバをXenServer 4.0.1からXenServer 5にアップグレードします。第二に、3つの拠点間に高速光ファイバネットワークを導入します。これらの変更を行えば、Citrix XenServer Adapter for NetAppによって提供されるNetAppとXenServerの統合能力をフルに活用し、バックアップと災害復旧ストラテジーの両方を強化できる見込みです。

1年前、既存のサーバを仮想化した時点では、従来のバックアップ方式をそのまま残しました。それぞれの仮想マシンでLegato NetWorkerエージェントを実行し、集中型のテープバックアップを実行しています。XenServer 5ではNetAppとXenServerの統合が容易になっているので、今後はテープを完全に廃止し、NetApp Snapshotコピーを使用する全面的なディスクベースアプローチを実現できるようになります。

マリーズヴィルの拠点は、DRサイトの役割も担っています。XenServer 5と高速ネットワークの組み合わせによってNetApp SnapMirrorソフトウェアを使用し、クリティカルな仮想マシンと物理サーバ用のストレージをこの拠点にミラーリングする計画です。たとえば、Pro/ENGINEER仮想マシンをミラーリングすることで、クランベリーサイトに障害が発生したら、仮想マシンをただちにリスタートできるようにします。それに加えて、クリティカルなSAPデータもミラーリングする計画です。そうすれば、現在のテープベースアプローチよりもはるかに迅速なリカバリが可能になります。

まとめ

当社は来年、本社を移転してクランベリーサイトと統合する予定です。XenServerとNetAppを使用して実現する優れた統合機能は、この計画には不可欠なものです。1箇所のデータセンターで全社的なニーズと技術開発のニーズに対応するには、さらに多くのサーバを仮想化し、統合を進める必要があります。今後は、スタンドアロンサーバをさらに減らしていく方針です。当社の現在のポリシーでは、アプリケーションのI/O要件から、エンドユーザ向けに物理サーバが必要な場合を除き、原則として仮想サーバだけを導入することになっています。

NetAppのデータ管理機能を使用すると、移転準備のためのデータ複製が比較的容易であり、ダウンタイムが最小限で済みます。最終的には、既存の技術開発部門および全社ストレージシステムを1つのFAS6000またはFAS3100シリーズストレージシステムに統合して、すべてのストレージニーズを満たす一方で、クリティカルなデータを災害対策用にマリーズヴィル拠点にミラーリングする予定です。2つのストレージプラットフォームを統合した段階で、重複排除機能の使用も検討することになっています。それによって、特にXenServer環境で、ストレージをさらに大きく節約できると考えられるからです。NetAppとCitrix XenServerによって、当社のニーズを経済的に満たすと同時に、要求される可用性、パフォーマンス、および運用効率も得られるものと確信しています。


Scott McCullough Scott McCullough
Mine Safety Appliances、テクニカルオペレーション担当マネージャー

Scottはサーバとストレージの管理者として15年以上のキャリアがあり、MSAでは勤続10年になります。彼はMSA社内でSAP、Lotus Domino、Blackberryサーバなど、さまざまな重要なアプリケーションを担当しています。これらの重要なアプリケーションのサーバとストレージインフラに関わるすべてを、彼が一手に引き受けています。


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