Exchange 2010 に関するベストプラクティス

NetAppは、Microsoft® Exchange 2010のリリースが昨年11月に発表されて以来、Exchange 2010に高い関心を持っています。この理由の1つに、Exchange 2003ユーザの動向があります。Exchange 2003の生産終了が近づき、Exchange 2003ユーザの多くは、Exchange 2010に直接アップグレードすることを検討しています。

また、Exchange 2010は以下のような重要な新機能を提供しています。以下の機能も確実に、Exchange 2010へのNetAppの関心を高めています。

  • アーキテクチャや構造の変更
  • I / Oパフォーマンスの向上
  • データベースキャッシュ機能の向上
  • スペース拡張とスペース効率のために最適化された新しいストレージスキーマ
  • オンラインのメンテナンス機能
  • High Availability(HA;高可用性)に関する重要な変更

もちろん、ほかにもいろいろな新機能がありますが(Exchange 2010の新機能について詳しくは、こちらのTechNet記事(英語)をご覧ください)、上記の機能の多くは、ストレージに直接関係しています。NetApp®のExchangeに関するベストプラクティスは、この新機能の導入の結果、大幅に更新されました。この記事では、Exchange 2010をNetAppストレージとともに導入するために重要な3つの問題を論じます。

  • 高可用性
  • Exchange Serverの仮想化
  • ストレージ効率化の達成

上記のトピックやその他のトピック(ストレージレイアウト、サイジング、キャパシティ・プランニングなど)について詳しくは、最近公開されたテクニカルレポート『Storage Efficiency and Best Practices for Microsoft Exchange Server 2010』(英語)をご覧ください。

高可用性

Microsoftは、Exchange 2010のHAアーキテクチャに重要な変更を加えました。Exchange 2007のLocal Continuous Replication(LCR;ローカル連続レプリケーション)、Cluster Continuous Replication(CCR;クラスタ連続レプリケーション)、Standby Continuous Replication(SCR;スタンバイ連続レプリケーション)、Single Copy Cluster(SCC;シングルコピークラスタ)は利用できなくなりました (Exchange 2007ユーザの方は、NetAppでの上記の機能の使用について説明している過去のTech OnTap記事をご覧ください)。

Microsoftは、以前のバージョンのExchangeに備わっていたサーバとデータの耐障害性オプションの代わりに、Database Availability Group(DAG;データベース可用性グループ)を実装しました。DAGは、CCRで使用されていたのと同じログ配布機能を使用しています。DAGは2~16のメールボックスサーバから構成されています。メールボックスサーバはそれぞれ、データベースのアクティブコピーまたはパッシブコピーを1つ以上保持できます。データベースは、それぞれ個別のステータスを持っています。このため、1つのサーバは複数のデータベースのコピーをホストし、1回にそれらのコピーの一部のみをアクティブにできます。

DAGは、アクティブマネージャーと呼ばれる、Exchangeの新しいコンポーネントを使用しています。アクティブマネージャーは、フェイルオーバーやフェイルバックを実現します。障害(基盤となるストレージやストレージ接続に関する障害などを含む)が発生した場合、Exchange 2010は、データベースのコピーの1つをアクティブステータスに「昇格」させます。次にメールボックスロールが、このデータベース上でメールボックスを提供するタスクを開始します。フェイルオーバーは30秒以内に実行されます。

NetAppは、DAGの導入に関連して、多くのベストプラクティスを確立しました。

  • Microsoftは、メールボックス・データベースのそれぞれについて最低3つのコピーを推奨しています。これは、二重ディスク障害などのストレージ障害によるデータ損失を最小限に抑えるためです。NetAppは、RAID-DP®を使用してExchange 2010をNetAppストレージに導入することを推奨しています。RAID-DP®を使用することで、メールボックス・データベースのコピーの数を抑えながら、二重ディスク障害を防止できます。NetAppは、コピーがRAID-DPにあるときは、それぞれのメールボックス・データベースについて2つずつのコピーを推奨します。
  • それぞれのDAGコピーは最新の状態になっています。Microsoftは、ポイントインタイム・リストアを可能にするため、14日間までさかのぼってポイントインタイム・リストアを実行できるようにする「ラグ」データベースのコピーを追加することを推奨しています。NetAppは、この代わりに、SnapManager® for Exchangeを提供しています。 SnapManager® for Exchangeは、スペース効率に優れたSnapshot™コピーの作成と、どのポイントにもラグコピーなしでリストアできるポイントインタイム・リストアを可能にします。
  • アクティブコピーとパッシブコピーのためのストレージの容量とパフォーマンスは同じである必要があります。
  • アクティブコピーとパッシブコピーは別のボリュームに配置する必要があります。
  • パッシブノードの1つでバックアップを実行してください。

HA導入シナリオ

企業に導入場所が1つしかないか、Exchange 2010を単一サイトで導入している場合、2ノードのDAGと、メールボックス・データベースそれぞれにつき最低2つのコピーを推奨します。これにより、単一サイトでHAが実現されます。

複数のサイトにDAGを拡張するときは、最低3つのメールボックスサーバと、メールボックス・データベースそれぞれにつき3つのコピー(プライマリサイトに2つ、セカンダリサイトに1つ)を推奨します。これにより、プライマリサイト内でHAが実現され、ディザスタリカバリ([災害復旧])が実行できるようになります。これは、3ノードのDAGまたは2ノードのローカルDAG、さらにNetApp SnapMirror®(Exchangeデータをリモートに複製)を使用することで設定できます。SnapMirrorには、シンプロビジョニング・テクノロジとネットワーク圧縮機能があるため、ネットワーク帯域幅が限られているか、遅延時間が長い場合に好ましい選択肢でしょう (DAGの場合、遅延時間は250ミリ秒未満である必要があります)。

図1) 2ノードのExchange 2010 DAGとNetApp SnapMirrorを組み合わせて使用することで、HAとDRを実現

Exchangeの仮想化

Exchange環境の仮想化は、サーバハードウェアのコスト、消費電力、スペースを削減し、サーバの利用効率を向上させ、サーバプロビジョニングにかかる時間を短縮し、可用性と効率性を向上させるなど、大きなメリットをもたらすでしょう。Exchange 2010のロールを仮想化するときは、それぞれのロールを異なる物理サーバに分離することで、ホストサーバの障害が発生した場合にどのロールにも障害が発生しないようにすることを推奨します。たとえば、ホストサーバごとに1つのCAS、1つのハブ、2つのメールボックスサーバの導入は、ロールの分配という観点から見ると、好ましい組み合わせです。

最近のTech OnTap記事で、Microsoft ExchangeなどのMicrosoftアプリケーションを仮想化するための設計ガイドラインが提供されています。Exchange 2010サービスの仮想化についての詳細や推奨事項については、こちらの最近のMicrosoft TechNet記事(英語)をご覧ください。

Exchange環境の仮想化は、Exchangeの可用性を保護するためのオプションを、これ以外にも提供できます。さらに、Exchange環境の仮想化は、サーバの導入コストを削減するため、さらに手ごろな価格でHAを実現できます。仮想Exchange環境のNetAppストレージは、実証済みのStorage Efficiencyテクノロジにより、さらにコストを削減できます。

ストレージ効率の向上とコストの削減

ストレージを最適化した状態で使用することは常に重要です。Exchange 2010は、HAとディザスタリカバリ(DR)のためにExchangeデータベースのコピーを複数必要とします。このため、このコピーを確実に、できるだけ効率的に保存する必要があります。

NetAppストレージは、多くのStorage Efficiencyテクノロジを提供しています。このテクノロジは、Exchange 2010が実装されているのが物理サーバ・仮想サーバのどちらであっても、Exchange環境が必要とするストレージ容量を大幅に削減できます。使用するテクノロジの数を増やすほど、ストレージ容量の削減という観点から見た全体的なメリットは大きくなります。

  • RAID-DP 上記の通り、RAID-DPは、ミラーリング(RAID 10)と比較して、ディスク障害からの保護機能が優れています。また、RAID-DPはNetApp Write Anywhere File Layout(WAFL®)と緊密に統合されているため、他のRAID 6を実装する際のパフォーマンスの問題は発生しません (RAIDの種類の比較については表1をご覧ください)。RAID-DPをExchangeとともに使用する方法について詳しくは、こちらのテクニカルレポートをご覧ください。
  • SATAディスク SATAディスクは厳密にいえばStorage Efficiencyテクノロジではありませんが、SATAディスクが適切なアプリケーションの経済性を大幅に向上させることには、疑いの余地がありません。SATAドライブの速度は通常Fibre ChannelやSASディスクより遅くなりますが、SATAドライブとNetApp Flash Cacheを組み合わせると、ワーキングセットのサイズが大きい場合のパフォーマンスが大幅に向上し、大容量のドライブに関連する読み出し遅延が削減できます。

メールボックスのサイズが大きくなる傾向にあり、Exchange Server 2010のI / Oプロファイルが減少している状況にあって、SATAは多くのExchange環境において魅力のあるソリューションであるといえるでしょう。SATAディスクがパフォーマンスや容量に適合する場合であっても、SATAディスクをExchangeの導入に使用するときは、Flash Cacheと組み合わせて、DS4243ディスクシェルフで使用することを推奨します。

表1) SATAディスクとさまざまな種類のRAIDを使用したときのデータ損失の可能性

RAIDの種類

5年間でのデータ損失の可能性

RAID-DPと比較した場合のデータ損失の相対リスク

RAID 10(1つのデータディスク) 0.33% 163
RAID 5(7つのデータディスク) 6.0% 3955
RAID 6(7つのデータディスク) 0.002% 1.0
RAID-DP(7つのデータディスク) 0.002% 1.0


  • シンプロビジョニング NetApp のシンプロビジョニング機能を使用すると、ストレージスペースはプロビジョニングされますが、データがスペースに書き込まれるまでは消費されません(ジャストインタイムのストレージ)。ストレージを作成する時点では、ストレージボリュームがどれくらいのスペースを必要とするか判断するのが難しい、または不可能な場合もあり、従来のプロビジョニングモデルでは、LUNをオーバープロビジョニングするのが一般的です。未使用のスペースは、アプリケーションがスペースを使用するまで(使用されなければおそらくずっと)、アイドル状態のままになります。シンプロビジョニングを使用すれば、複数のアプリケーションLUNで、同じ空きスペースのプールを共有できるため、効率性が大きく向上します。
  • 重複排除 NetAppの重複排除機能を使用すれば、あらゆるメッセージング環境でよく起こる重複の多くを排除できます。重複排除機能は、Exchangeが必要とするストレージ容量を、メッセージング・プロファイルに応じて10~30%削減できます。Exchange 2010には、Exchangeのシングルインスタンス・ストレージ機能がありません。このため、Exchangeストアのサイズを増やすことができます。このExchangeの変更により、NetAppの重複排除機能は、さらに多くの重複を排除できます。

    仮想Exchange環境では、メリットはさらに大きくなります。仮想サーバ環境には、同じオペレーティング・システム、アプリケーションなどの同一のコピーが数多く存在しているため、常に重複度が高くなっています。NetAppストレージは、NetApp FlexClone®テクノロジによるシンクローニングや重複排除機能を利用して、この冗長性を大幅に排除できます。実際、NetAppストレージを使用すれば、従来のストレージのベースラインと比較して、仮想環境で消費されるストレージ容量を50%削減できることを、NetAppは保証しています。
  • Snapshot Exchange環境のバックアップは、迅速で、効率的である必要があります。NetApp Snapshotテクノロジは、WAFL整合ポイント(CP)を作成することで、ボリュームやLUNのバックアップやポイントインタイム・コピーを、ストレージを消費することなくほぼ瞬時に作成します。Snapshotを使用すると、バックアップやリストアのためのストレージコストを削減し、数多くの効率的なデータ管理機能を使用できるようになります。

NetAppは、Exchange環境の管理とデータ保護を合理化する目的で、SnapManager for Exchangeソフトウェアを開発しました。SnapManager for Exchangeを使用すると、Exchange Serverデータベースのバックアップ、リカバリ、検証に伴う、複雑で時間のかかる手作業のプロセスを自動化できます。また、SnapManager for Exchangeは、Snapshopテクノロジを利用して、バックアップ時間を数秒に、リストア時間を数分に短縮します。NetApp Single Mailbox Recoveryソフトウェアにより、他のExchangeユーザの作業を中断することなく、個々のメールボックス、メッセージ、添付ファイルを迅速にリカバリ / リストアできるようになります。SnapManager for Exchangeは、異なるポイントでのリストアを迅速かつ容易に実行する機能を提供します。これにより、データベースの「ラグ」コピーを取っておく必要がなくなり、追加のストレージが不要となります。

まとめ

Exchange 2010への移行を検討されている場合、ベストプラクティスに少し目を向けていただくだけで、導入の成功度合いが大幅に変わるでしょう。HA、仮想化、ストレージ効率化は、すべて重要な検討事項です。この記事は、適切な方向への最初のステップをご案内しているにすぎません。このトピックや、レイアウト、サイジング、キャパシティ・プランニングの詳細についてはTR-3824をご覧ください。


Brad Garvey

Brad Garvey
Microsoftアライアンスエンジニア
NetApp

Bradは、過去4年間、NetAppのMicrosoftアライアンス・エンジニアリング・チームに所属し、Exchange Serverに特化した業務に取り組み続けてきました。


 
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