NetApp Tech OnTap
株式会社MICメディカル
社内サーバ向けの新しい統合バックアップ基盤に
NetApp NearStore VTLシステムを採用

医薬品、医療機器開発をトータルにサポートする
CRO( 開発業務支援機関)の株式会社MICメディカル

株式会社MICメディカルは、新しい医薬品や医療機器が生まれるまでの業務をコーディネイトするCRO(開発業務支援機関)だ。22年前の創業時より国内の医療機器企業に加え、国内管理人として海外企業の日本進出を幅広くサポートし、着実に業務を拡大している。近年では、モニタリング業務支援、医薬品の画像解析支援、CRA(Clinical Research Associate)の教育研修支援など、医療品開発に関連する業務を多方面からサポートしている。優秀なスタッフの採用と充実した社員教育研修システムを特徴としており、それぞれのスタッフが持つ卓越したスキルが同社の大きな原動力となっている。2007年11月には、ジャスダック証券取引所で株式を公開した。

MICメディカルは、社内のサーバ群が持つあらゆるデータのバックアップと業務継続のための災害対策(DR)を実現する統合バックアップ基盤として、NetApp NearStore VTLシステムとテープライブラリを効果的に組み合わせている。

膨大な臨床試験データを取り扱うMICメディカル

間瀬正三様
株式会社MICメディカル
代表取締役社長
間瀬正三様

MICメディカルは、さまざまな医薬品・医療機器の開発支援業務でITシステムを本格的に活用しているが、同社の業務で取り扱っているデータの種類とその量は急増の一途をたどっている。同社代表取締役社長の間瀬様は、社内のデータが過去から現在に至るまでに急増してきた背景、そして今後も増え続けなければならない理由を次のように説明する。

「当社が、お客様の新しい医薬品や医療機器が生まれるまでの業務を支援する中で、DM(データ管理)や統計解析と呼ばれる工程があります。これは、GCP(医薬品の臨床試験の実施に関する基準)を遵守した形で、各施設の臨床試験で得られたデータをデータベース化し、それを長年蓄積された豊富なノウハウをもとに統計的に解析する作業を指しています。従来は、多くても数千人の臨床試験データを通じて市販化への本承認が得られていましたが、現在は仮承認までしか得られません。市販後には、何万人といった膨大な臨床データ収集が課され、多くの新薬であれば6年後に再審査、そして最終承認という流れをとります。臨床例数がきわめて多い市販後の工程では、強力なITシステムを使って大規模にDMおよび統計解析を実行しなければなりません。」

「また、新たな事業展開として医療画像の解析支援も始めています。各医療機関がデータとして持っているMRIやCTスキャンなどの画像データは、それぞれ仕様や画質が異なるケースがほとんどです。臨床試験では、さまざまな評価基準を揃えてから有効性や安全性を評価しなければなりません。当社の医療画像解析支援業務は、専門スタッフがこうした医療画像の仕様を揃え、臨床試験データの評価作業を支援します。さらに最近では、医療機関、製薬企業、医療機器企業、CRO間をオンライン回線で結び、電子カルテ情報を直接やり取りするEDC(Electronic Data Capture)のシステム導入も盛り上がりを見せています。当社が取り扱うデータが急増する背景には、ITシステムへの依存を強める業界全体の動きが大きなトリガーとなっているのです。(以上、間瀬様)」

システム管理の負担や長時間のリストア作業が問題となったテープストレージ

稲葉弥一郎様
株式会社MICメディカル
管理部 副部長
稲葉弥一郎様

当初、同社は社内データを保護するためにテープストレージによるバックアップを採用していた。当時のサーバにはDDS(Digital Data Storage)テープドライブが内蔵されており、サーバごとに個別のバックアップを実施していた。その後、複数のテープカートリッジを搭載できる大容量のDDSオートローダを導入したが、それでもシステム管理の負担はそれほど減らなかったという。

「当時、当社にはまだシステムグループが存在せず、社員がCRAの業務をこなしながら、システム管理も兼任しているような状態でした。テープバックアップは、あらかじめ決められたスケジュールに従って自動的に実行できるようにはしていましたが、それでもテープカートリッジの管理や社員からのファイルリストア要求などはたびたび発生していましたので、システム管理の負担がゼロになるわけではありません。このような流れから、二足のわらじでCRA業務とシステム管理を同時にこなすのが困難となってきたのです。社内ITシステムの運用管理を専門的に担うシステムグループができたのは、それがきっかけです。(稲葉様)」

遠藤明邦様
株式会社MICメディカル
管理部 情報システム
グループ グループ長
遠藤明邦様

「テープストレージの運用で特に問題だったのは、ファイルのリストアに要する時間でした。社員からたびたび特定のファイルを取り戻して欲しいという要求があるのですが、たった数個のファイルであってもリストアに30分以上もかかっていました。そこで着目したのがD2D(Disk to Disk)バックアップでした。ここでは、すでに使い慣れているテープストレージとまったく同じ運用方法でデータのバックアップとリストアが可能なディスクベースの仮想テープライブラリ(VTL)に注目しました。(遠藤様)」

ディスクベースの仮想テープライブラリをいち早く採用

2003年には、D2Dバックアップ環境として日商エレクトロニクスの仮想テープライブラリ『VTLA-2000』を導入した。VTLA-2000は、大容量のディスクストレージにAlacritus SoftwareのVTLソフトウェアを組み込んだ日商エレクトロニクスのオリジナル商品だ。VTLソフトウェアは、テープライブラリの動作をエミュレートするもので、バックアップソフトウェアからはディスクストレージがあたかもテープライブラリのように見える。こうすることで、毎日の運用形態をまったく変更することなく、既存のテープバックアップ環境から仮想テープライブラリ環境へとスムーズに移行できる。

同社は、サーバ個別のテープバックアップから仮想テープライブラリに移行するために、既存のサーバとは別にバックアップ専用サーバを独立して配備し、このバックアップサーバを経由して全サーバのデータバックアップを集中的に行う形に切り替えた。このD2Dバックアップ環境は、構築してから4年ほど同社のデータ保護に役立てられていたが、リース契約の終了をきっかけとして、さらにパフォーマンスの高いバックアップ環境を構築することになった。それが、2008年に導入したNetApp NearStoreVTL300とLTO-4テープライブラリによる次世代の統合バックアップ基盤だ。

「サーバの増設にあわせて、VTLA-2000の容量を追加しながらバックアップ環境の増強を図ってきました。リース契約をさらに更新して、もう少し先まで使い続けることも検討しましたが、VTLA-2000に搭載されているVTLソフトウェアのベンダー(Alacritus Software)がNetAppに買収されたため、この機会に仮想テープライブラリも刷新することにしたのです。NetApp NearStore VTLシステムを支えるVTLソフトウェアは、VTLA-2000に搭載されているものと基本的に同一ですし、NetApp NearStore VTLシステム自体は、汎用サーバにVTLソフトウェアを導入する一般的なソリューションと異なり、専用設計のハードウェアとVTLソフトウェアがはじめからセットになった製品です。このため、仮想テープライブラリとしての性能や信頼性が極めて高く、VTLA-2000から安心して移行することができました。(遠藤様)」

システム概要図
システム概要図

システム概要図
システム概要図

NetApp NearStore VTLシステムによってバックアップ速度が10倍近くに

今回、NetApp NearStore VTLシステムを導入するにあたって重要視したポイントがFibre Channelでの接続だ。同社は、ディスクストレージを内蔵した既存のサーバに加え、ブレードサーバや外付けのディスクサブシステムもすでに配備している。これらの新しいブレードサーバとディスクサブシステム間は、4Gbps仕様のFibre Channelスイッチを通じて接続され、SAN(Storage Area Network)を構成している。

「当社では、業務を支えるITシステムが急ピッチで増大していきましたが、そのような中でシステム全体の拡張性や安定性にも配慮しなければならない時期に来ていました。そこで、近年ではブレードサーバに着目し、既存のサーバで稼働していた業務をブレードサーバに移行したり、新規の業務を最初からブレードサーバで立ち上げたりしています。当社のブレードサーバはディスクレス構成をとっており、すべてのデータは外部のディスクサブシステムに保管されています。OS の起動もSAN Bootを採用しています。(稲葉様)」

従来のVTLA-2000は、バックアップサーバとの接続にGigabit Ethernetを使用していました。バックアップ対象となるサーバとバックアップサーバ間もGigabit Ethernetで接続されていましたので、基本的にすべてのサーバとVTLA-2000間がGigabit Ethernetで接続されていたことになります。現在は、ブレードサーバを中心にFibre ChannelベースのSANが構成されていますので、NetApp NearStoreVTLシステムも同じくFibre ChannelでSANに接続しました。また、既存のバックアップサーバにFibre Channelポートを追加し、こちらもFibre Channel経由でNetApp NearStoreVTLシステムにアクセスできるように改良しています。こうすることで、あらゆるサーバのデータバックアップを最大限に高速化できます。実際、NetApp NearStore VTLシステムは、VTLA-2000と比較して10倍近くのバックアップ速度を実現しています。(遠藤様)」

テープライブラリやオフサイト保管を併用してBCPを実現

同社は、NetApp NearStore VTLシステムとともに、最新のLTO Ultrium4を搭載したテープライブラリも追加している。テープライブラリは、NetApp NearStore VTLシステムのバックアップデータを完全に複製するために用いられるものだ。2008年3月時点で同社のNetAppNearStore VTLシステムは5TB弱ほどの容量があり、このNetApp NearStore VTLシステムに保管されているバックアップデータを複数世代にわたって保管できるテープストレージとして、24本のLTO Ultrium4テープカートリッジ(1本あたり800GBの非圧縮容量)を搭載可能なテープライブラリを選択した。

「データのバックアップや長期保管という観点だけでなく、万が一大きな障害が発生したとしてもいかに短時間で復旧し、業務を継続するかという、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の観点からもデータを確実に保護する必要がありました。そこで、今回はディスクベースの仮想テープライブラリであるNetApp NearStore VTLシステムと大容量のLTO Ultrium4テープライブラリを併用するD2D2T(Disk to Disk to Tape)形式のバックアップ手法を採用しました。(稲葉様)」

「NetApp NearStore VTLシステムは、テープストレージとの親和性にたいへん優れています。当社は、NetApp NearStore VTLシステムでバックアップを完了すると同時にテープライブラリにそのデータを複製しています。このとき、フロントエンドの業務サーバやNetApp NearStore VTLシステムを止めることなく自動的にテープへと複製されます。また、NetApp NearStore VTLシステムからテープライブラリに流れるデータトラフィックがフロントエンドの業務に影響を与えないように、NetAppNearStore VTLシステムとテープライブラリ間はSANを介さずあえてFibre Channelで直結しています。(遠藤様)」

「当社のITシステムは本社ビル内に設置されているため、本社ビルが地震や火災などの被害にあったときにも業務を復旧できる体制を築く必要があります。このため、フルバックアップ用のテープカートリッジを、週に1回、外部の業者を通じて安全な場所にオフサイト保管しています。NetApp NearStore VTLシステムが故障した場合にはテープライブラリから直接データをリストアできますし、本社ビル自体が被災した場合にはオフサイト保管されたテープカートリッジを用いて業務を復旧できます。当社は、お客様の大事な臨床試験データなどを取り扱っていますので、お客様から医療開発業務を全面的に委託された以上は、『お客様のデータを確実に保護しています』と胸を張っていえるレベルの強固なデータ保護環境を構築する必要があったのです。(稲葉様)」

同社は、2009年初頭にほとんどの業務をブレードサーバに移行する計画を立てている。新規業務も同時に増えることから、データ量はこれからさらに増えていく。このため、ディスクサブシステムの容量を増やすと同時に、NetApp NearStore VTLシステムの容量も倍増させる予定だという。長期的に見ればブレードサーバで動作する業務は増加の一途をたどり、今回構築したNetApp NearStore VTLシステムとLTO-4テープライブラリによるD2D2Tバックアップ環境がさらに重要な役割を果たすことは間違いない。


関連情報