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Microsoft Hyper-VとNetAppを利用したサーバ仮想化

Microsoft® Hyper-V™は、Windows® Server 2008の重要なコンポーネントである新しい仮想化テクノロジです。サーバリソースを仮想化し、Windows管理フレームワーク内でこれらを管理する機能を提供します。Hyper-Vは、コアインフラの主な基盤としてWindows ServerなどのMicrosoftアプリケーションテクノロジを採用しているお客様にとって、有望な選択肢となります。

すべてのサーバ仮想化プラットフォームと同様に、Hyper-Vを使用する場合には、バックエンドストレージに信頼性、パフォーマンス、およびデータ管理機能の面で厳しい条件が求められます。NetApp®ストレージソリューションはHyper-V環境に適しており、Hyper-Vのコア機能を補足し拡張するストレージ仮想化機能を提供します。NetAppの各種テクノロジによって、データ保護、災害対策、重複排除、シンプロビジョニング、および効率的な仮想クローニングが可能となり、仮想サーバの迅速なプロビジョニングが実現されます。NetAppは今後もMicrosoftとの緊密なパートナーシップを通じて、Microsoft SQL Server™、SharePoint®、ExchangeなどのMicrosoftソリューションと同様、Hyper-Vについても高度な統合を実現するよう取り組んでいきます。

  サーバ仮想化前*
サーバ仮想化後
サーバあたりのアプリケーション数 1 10以上
物理サーバの台数 10以上 1
ストレージ障害時にダウンするアプリケーション数 1 10以上
二重ディスク障害によるデータ損失量 1倍 10倍
バックアップデータの量 1倍 10倍
バックアップウィンドウへの適合 実現可能 非現実的
プロビジョニング 低速/複雑 ストレージ≠サーバ

*標準構成:DAS、RAID 5、テープバックアップ

表1)ストレージインフラにおける仮想化の影響

この記事ではHyper-Vについて説明するとともに、NetApp環境でHyper-Vの使用を開始する際のガイドラインを示します。内容は次のとおりです。

  • Hyper-Vの概要
  • Hyper-Vのストレージに関する考慮事項
  • 重複排除とシンプロビジョニング
  • バックアップと災害対策

Hyper-Vの概要

Microsoft Hyper-V(旧製品名Microsoft Server Virtualization)は、Windows Server 2008の全エディション(2008年6月下旬のリリース時点)に組み込まれた、ハイパーバイザベースのサーバ仮想化テクノロジです。Hyper-Vでは、MicrosoftがMicrosoft Virtual Server製品(現在も引き続き出荷中)で提供してきた仮想化機能が大きく拡張されています。

Hyper-Vは、1台の物理サーバ上で複数の仮想マシン(VM)をそのまま実行可能にするとともに、パーティションを明確に分離します。サードパーティ製デバイスドライバを使用しないセキュアなアーキテクチャとなっているので、セキュリティ攻撃を受ける可能性が最小限に抑えられます。

Hyper-Vの注目すべき機能は、次のとおりです。

  • 32ビット(x86)および64ビット(x64)VMのサポート
  • WindowsおよびLinux®のゲストオペレーティングシステム両方をサポート(一覧:英語)
  • VMあたり最大64 GBのメモリ
  • VMあたり最大4つのコア(SMP)
  • VLANのサポート
  • VMあたり最大12のNIC(8つはSynthetic NIC、4つはレガシー)
  • 仮想マシンのSnapshot™コピー
  • 統合クラスタサポートによるHAおよびVMの移行(クイックマイグレーション)

Windows Server 2008のインストールには、フルインストールまたはServer Coreインストールのいずれかのオプションを使用できます。Server Coreは新たに導入された最小限のインストールオプションであり、必要最小限のサーバ機能を提供し、それ以外のコードは除外されています。これによって可用性とセキュリティが向上し、管理およびサービス提供におけるオーバーヘッドが削減されます。

Hyper-Vの管理は、Microsoft System Center Suite管理製品に含まれるSystem Center Virtual Machine Manager(SCVMM)を介して行います。SCVMMを使用すると、同じインターフェイスから仮想インフラ(Hyper-V、Microsoft Virtual Server、およびVMware® ESX)および物理インフラの両方を管理でき、VM管理、リソース最適化のほか、Physical-to-Virtual(P2V)およびVirtual-to-Virtual(V2V)変換が可能になります。

Hyper-Vの詳細については、Microsoft Hyper-V Webページ(英語)を参照してください。

VMware DRS

図1)Microsoft System Center Virtual Machine Manager(SCVMM)アーキテクチャ

Hyper-Vストレージのプロビジョニング

Hyper-Vがサポートするストレージインフラオプションは、直接接続型ストレージ(DAS)、Fibre Channel SAN、およびiSCSIの3つです。ただし、クイックマイグレーションをはじめとするHyper-Vの高度な機能の多くは、外付けディスクシステムの使用を前提としています。したがって、物理サーバ2~3台を超える規模が要求される環境には、DASよりもiSCSIまたはFC SANが適しています。

Hyper-Vには、仮想マシンにストレージを提供するオプションとして、仮想ハードディスクおよびパススルーディスクの2種類があります。3番目のオプションとしては、子OSにiSCSIソフトウェアイニシエータをインストールし、Hyper-Vメカニズムをバイパスして直接iSCSI LUNにアクセスする方式があります。VMはNAS(CIFSおよびNFS)ファイルシステムにも直接アクセスできます。

仮想ハードディスク(VHD)を使用してVMにストレージを割り当てる場合、実際のストレージは、Hyper-V親パーティションに接続されたディスク上に存在するVHDファイルで維持されます。VHDの利点は、VMストレージを1つのファイルにカプセル化することによって管理性とポータビリティが向上することです。次の3タイプのVHDがあります。

  • 容量固定VHD:VHD用のすべてのストレージを事前に割り当てます。事前に必要となるストレージ容量は大きいかもしれませんが、シンプロビジョニングや重複排除などのNetAppテクノロジによって、このストレージの大半を取り戻すことができます(次項を参照)。NetAppは容量固定VHDの利用を推奨します。
  • 容量可変VHD:データを追加するたびにVHDファイルのサイズが増加します。この方式はスペース効率がきわめて高いものの、パフォーマンス、子ファイルシステムのフラグメンテーション、およびアラインメントという点で、問題を引き起こす可能性があります。このような理由から、NetAppはこのタイプのVHDは限定的に使用することを推奨します。
  • 差分VHD:VMの作成時ではなく、たとえば既存VMのHyper-V Snapshotの作成時にVHDが作成されます。差分VHDは親VHDファイルをポイントし、容量可変VHDと同様の方法でサイズが増加します。したがって、パフォーマンスの面で容量可変VHDと同じ懸念事項があります。

パススルーディスクは、Hyper-Vの親に直接接続されたディスクですが、仮想マシンに直接割り当てられ、子OSファイルシステムでフォーマットされます。パススルーディスクの制約事項の1つとして、Hyper-V Snapshotコピーがサポートされないという点が挙げられます。そのためNetAppでは、パススルーディスクが必要な場合を除き、Hyper-V環境ではこれを限定的に使用することを推奨します。
VHDおよびパススルーディスクのパフォーマンス特性の詳細については、Microsoft『Performance Tuning Guidelines for Windows Server 2008(英語)』の「Storage I/O Performance」の項(p.65~67)を参照してください。

VHDおよびパススルーディスクには、子OSに対してこれらのディスクを「IDE」または「SCSI」のどちらのタイプのデバイスとして提供するかというオプションがあります。次の表に、iSCSIによる直接アクセスと比較した場合の各オプションの制約事項を示します。

  ホスト上のDASまたはSAN、ホスト上のVHDまたはパススルーディスク、ゲストに対してIDEとして接続
ホスト上のDASまたはSAN、ホスト上のVHDまたはパススルーディスク、ゲストに対してSCSIとして接続 ホストに対しては接続されず、子OSに対してiSCSI LUNとして接続
ディスクからの
子OSのブート
不可 不可
子OSの追加SW 統合コンポーネント
(オプション)
統合コンポーネント iSCSI SWイニシエータ
子OSによる
ディスクの認識
仮想HS ATAデバイス Microsoft仮想ディスクSCSIディスクデバイス Microsoft仮想ディスクSCSIディスクデバイス
子OSの
最大ディスク数
2×2 = 4ディスク 4×64 = 256ディスク Hyper-Vによって制限されることはない
子OSのディスク
活性増設
不可 不可

表2)Hyper-Vストレージの比較(統合コンポーネントによって、VMのパフォーマンスを最適化するドライバがインストールされます。これらのドライバがサポートする統合I/Oデバイスでは、エミュレートされたI/Oデバイスと比べてCPUオーバーヘッドが大幅に削減されます。)

Hyper-Vサーバは、Fibre ChannelまたはiSCSIを使用してNetApp FASストレージ上のLUNにアクセスできます。LUNをマスクして、Hyper-Vの適切な親および子パーティションがこれらに接続できるようにする必要があります。NetApp FASシステムでは、LUNマスキングはイニシエータグループ(igroup)の作成によって処理されます。NetAppでは、Hyper-Vサーバ、クラスタ、または子VMごとにigroupを作成することを推奨します(子OSがiSCSIソフトウェアイニシエータによる直接LUNアクセスを使用する場合)。さらにNetAppでは、Hyper-Vサーバ、クラスタ、または子VMの名前に、igroup名およびプロトコルタイプを明示することを推奨します。Hyper-VサーバまたはクラスタがFibre ChannelプロトコルおよびiSCSIプロトコルを両方とも使用する場合、Fibre Channel用およびiSCSI用にそれぞれ個別のigroupを作成する必要があります。

Hyper-Vで使用するNetAppアグリゲート、FlexVol®、およびLUNの設定に関する推奨事項および手順については、『NetApp and Microsoft Virtualization Storage Best Practices(英語)』を参照してください。

Hyper-VでのNetApp重複排除とシンプロビジョニングの使用

NetAppが提供するシンプロビジョニングおよび重複排除機能を使用すると、Hyper-Vのストレージ仮想化機能が強化され、ストレージの大幅な節約が可能になります。いずれのテクノロジもNetApp Data ONTAP®オペレーティング環境のネイティブな機能であり、Hyper-V用の特殊な設定オプションは必要ありません。

仮想サーバ環境では、各種VM用にほぼ同一のOSコピーやアプリケーションコードコピーが大量に使用されるため、データの重複率が非常に高いのが一般的です。NetApp重複排除機能を使用すると、この重複が排除されて、通常では50%以上のストレージ節約効果を得ることができます。仮想環境でのストレージ消費量を削減することで、レプリケーションに必要な帯域幅とコストも大幅に削減され、より経済的な災害対策構成が可能になります。

LUNにおける重複排除のストレージ節約効果を実現するには、NetApp LUNシンプロビジョニングを有効にする必要があります。シンプロビジョニングの価値は、ストレージが共有リソースプールとして扱われ、個々のVMが要求した場合に限ってストレージが余分に消費されるという点にあります。これにより、ストレージの全体的な利用率が高まります。

NetAppのシンプロビジョニングを使用すると、LUNおよびVHDを総キャパシティまでプロビジョニングしても(容量固定VHD)、実際にVHDファイルを保存するために必要なストレージ容量しか消費されません。パススルーディスクも、シンプロビジョニングが可能です。詳細については、『NetApp and Microsoft Virtualization Storage Best Practices(英語)』を参照してください。

VMware DRS

図2)シンプロビジョニングの利点

データ保護と災害対策

多数のサーバを1台の物理サーバで仮想化する場合、データ保護や災害対策の重要性が高まります。従来なら1つのアプリケーションにしか影響しなかった問題が、何十ものアプリケーションに影響を及ぼす可能性があるからです。リスクが大きい分、データ保護対策も強化する必要があります。

高いサーバ利用率やI/O帯域幅の制限によって、これらの問題がさらに複雑化する可能性もあります。1台のマルチプロセッササーバが、複数アプリケーションによる通常運用中のニーズに対応できる十分すぎるほどのI/O帯域幅を備えている場合でも、マルチプロセッササーバの導入以前に使用されていた複数の物理サーバに相当するI/O帯域幅を備えているとは限りません。この点が、バックアップ中に表面化する可能性があります。

解決策は、バックアップおよび災害復旧プロセスで発生するI/Oを、サーバからストレージシステムにできるだけ多くオフロードし、サーバのCPUとI/OチャネルをVMおよび関連アプリケーションが使用できるように解放することです。

NetApp Snapshot、SnapVault®、SnapManager®、およびSnapMirror®テクノロジを使用すると、これらのワークロードをHyper-Vサーバから容易にオフロードすることができます。

  • NetApp Snapshotコピーは、VMデータを保存するボリュームのpoint-in-timeイメージを提供します。データが変更された場合にしか余分のストレージを消費しないため、優れたスペース効率を実現します。

    VMware DRS

    図3)仮想環境における従来のバックアップとNetApp Snapshotの比較

  • NetApp SnapVaultを使用すると、保存したSnapshotコピーを長期保存用のセカンダリストレージにバックアップすることができます。
  • NetApp SnapManagerスイート製品を使用すると、VMで動作する一般的なアプリケーション(Microsoft SQL Server、Exchange、Oracle、SharePoint Server、およびSAP®)の高速で一貫性のあるアプリケーションバックアップを容易に作成できます。
  • NetApp FlexClone®を使用すると、テストなどの目的で1つまたは複数のVMのクローンを作成できます。また、きわめてスペース効率の高い仮想サーバプロビジョニングの基盤も提供できます。
  • NetApp SnapMirrorを使用すると、災害対策用として重要なVMおよびアプリケーションデータをリモートサイトへ容易に複製できます。
VMware DRS

図4)NetApp SnapMirrorによるDRサイトへのクリティカルなHyper-V VMのレプリケーション

まとめ

Microsoftの新しいHyper-Vテクノロジは、あらゆる機能を備えたサーバ仮想化環境を実現します。中核となる業務の主要基盤としてWindowsインフラに依存しているサイトでは、特に大きなメリットがあります。NetAppでは、Hyper-Vの完全な統合に取り組んでいます。NetAppソリューションは導入が容易であり、Hyper-V用のバックエンドストレージ(iSCSIまたはFC SAN)を提供します。また、Snapshot、SnapMirror、FlexCloneなどのNetAppテクノロジを利用して、Hyper-V環境のデータ管理を簡易化することも可能となっています。NetAppは今後もHyper-Vや関連する管理ツールとNetApp製品との統合を深め、Hyper-V環境の運用をさらに簡易化し、機能拡張していく予定です


Brian Gracely Brian Gracely
NetApp、リファレンスアーキテクチャ担当マネージャー

BrianはNetAppの仮想化およびグリッドインフラビジネスユニット(VGIBU)に所属する仮想化リファレンスアーキテクチャチームのマネージャーです。Microsoft Hyper-Vのエキスパート集団である彼のチームは、シアトルのResearch Triangle Park(RTP)およびバンガロールを拠点とし、NetAppストレージを使用したHyper-V環境の設計、実装、およびトレーニングを担当しています。


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