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FCストレージからSASストレージへの移行

Tech OnTapの定期購読者である皆様なら、ストレージ業界では現在、ストレージ・アーキテクチャやディスクドライブがFC-ALからSerial-Attached SCSI(SAS)に移行しようとしていることをご存知でしょう。実際、Gartner Dataquestの予想によると、 2013年にはFC-ALが全面的にSASに置き換わっているだろうということです。

その理由は、SASを使用すると優れた信頼性と耐障害性がもたらされ、帯域幅が拡張し、接続性も大幅に向上するからです。SASにはまだ詳しくないという読者の方は、これらのメリットを詳細に解説した最近のTech OnTap®の記事をお読みください。SASテクノロジの概要も併せて紹介しております。

NetAppソリューションは、今回のテクノロジ移行に最適です。SAS接続ディスクシェルフは、現在NetAppのインストールベースの約10%を占めており、新しいNetApp®システムに搭載して出荷されるストレージの50%以上に上ります。NetAppのDS4243 SASディスクシェルフは、弊社の歴史上最高の信頼性を誇るディスクシェルフで、シェルフに起因する障害は2011年1月現在、一切報告されておりません。NetAppは先日、DS2246ディスクシェルフを発表しました。DS4243のアーキテクチャを生かして、より高密度の筐体を実現しています。DS2246はDS4243の成功をベースに開発された製品で、信頼性と耐障害性はそのままで、高密度化と省電力化を実現しています。

本稿ではNetAppのSAS製品について、選択と実装の際に参考となるベストプラクティスも含めて解説します。

NetApp SASテクノロジ


NetAppは、SASに移行するお客様の成功を支援するべく、適切なテクノロジとSASに関する専門知識の提供に全力で取り組んでいます。2007年以降、NetAppでは3世代にわたるSAS製品を提供してきました(第1世代は、エントリレベルのFAS2040とFAS2050におけるSASのサポート)。先日発表したFAS6200シリーズFAS3200シリーズ(英語)・ストレージ・システムには、オンボードのSASポートが装備されているため、SASへの移行が簡単に行えます。

ディスクシェルフ

NetAppのSASディスクシェルフには、冗長コンポーネントやクロスバースイッチ、Alternate Control Path(ACP)、無停止のファームウェア・アップグレードによって、優れた信頼性と耐障害性を実現する設計が採用されています。先日投入した新製品DS2246ディスクシェルフは、密度を高めることで、2.5インチ・スモール・フォーム・ファクタ・ドライブの使用を可能にしています。既存のDS4243ディスクシェルフと比べると、DS2246はストレージ密度が倍増し、パフォーマンス密度も向上していますが、必要な電力は大幅に削減されています。エンジニアリング面での拡張には、SASポートあたり24 Gb / 秒の帯域幅を提供する新しいI / Oモジュールも挙げられます。

新しいFAS6200モデルを既存プラットフォームと比較した場合の、相対的なシーケンシャル・リード・パフォーマンス

図1)DS2246ディスクシェルフは、2Uのエンクロージャに2.5インチドライブを最大24本搭載可能。6 Gb / 秒のSAS接続(SASポートあたり24 Gb / 秒に集約)を実現

DS2246の仕様の多くは、次のように製品名内にコード化して記されています。

DSxxxx:ディスクシェルフ
DS2xxx:2U
DSx24x:24ドライブ
DSxxx6:6 Gbps SAS(集約帯域幅24 Gb / 秒)

つまり、DS2246は、2Uのエンクロージャに24本のSASディスクドライブを搭載でき、6 GbのSAS接続を提供するディスクシェルフということです。DS2246が提供する容量は、SASドライブをフル実装したDS4243ディスクシェルフと同量ですが、密度は2倍になっています。

パフォーマンス密度の点では、NetAppのラボテストから、DS2246はラックユニットあたり最大で60%以上のIOPSを提供し、OLTPワークロードに対応することが分かっています。また、2.5インチのスモール・フォーム・ファクタ(SFF)ディスク・ドライブを利用できるため、同様に構成したDS4243と比べて30~50%の消費電力削減を実現できます。DS4243はシェルフごとに4つの電源装置(PSU)が必要ですが、DS2246は2つで済みます (どちらのシェルフも使用するPSUは同じ)。

DS2246では現在、次の2種類の容量のSASディスクドライブが利用可能です。

  • 450 GB、2.5インチ、10k rpm SASドライブ
  • 600 GB、2.5インチ、10k rpm SASドライブ

DS2246は、帯域幅6 Gb / 秒のSAS 2.0を完全にサポートしています。新たに実装されたI / Oモジュール、IOM6は、SAS 2.0準拠です。NetAppストレージシステムは、このIOM6への接続に標準のワイドポートを使用し、4つのSASレーンを束ねて24 Gb / 秒の集約帯域幅を実現します。

2009年にリリースされたDS4243ディスクシェルフは、4Uのフォームファクタで最大24本のSASディスクをサポートし、3 Gb / 秒のSAS接続(ワイドポートあたり12 Gb / 秒)を提供します (4 Gbまたは8 Gb FCを使用するFCディスクシェルフより、帯域が拡張します)。DS4243は、この1つのモデルで3種類のディスク(SAS、SATA、SSD)に対応できる、汎用性に優れたディスク・シェルフ・オプションです。DS14 FCディスクシェルフでは、タイプの異なるディスクをサポートするために別々のモデルを購入する必要がありました。DS4243を使用すれば、必要に応じて、SASとSATAを実装したシェルフを同じSASスタック内に混在させることも可能です。

表1は、DS2246とDS4243を、42Uラックにおける容量と密度で比較したものです。

表1)DS2246とDS4243の密度と消費電力比較

  42Uキャビネットにフル実装したDS2246(600 GBドライブ使用) 42Uキャビネットにフル実装したDS4243(600 GBドライブ使用) 42Uキャビネットにフル実装したDS14mk4 ESH4(600 GBドライブ使用)
キャビネットあたりのシェルフ数 21シェルフ 10シェルフ 14シェルフ
キャビネットあたりのドライブ数 504ドライブ 240ドライブ 196ドライブ
ラックユニットあたりのGB(公称) 7,200 GB 3,600 GB 2,800 GB
キャビネットあたりのGB(公称) 302,400 GB 144,000 GB 117,600 GB
キャビネットあたりの通常の消費電力(600 GBドライブ使用) 39.48アンペア
7,266ワット
24,801 Btu / hr
28.7アンペア
5,470ワット
18,650 Btu / hr
23.5アンペア
4,424ワット
15,078 Btu / hr

 

DS4243ディスクシェルフに15k SASディスクを搭載すると、最大のハード・ディスク・ドライブ・パフォーマンスが実現します。DS2246(10k rpm SAS使用)のパフォーマンスはDS4243より若干劣りますが、容量とパフォーマンス密度はDS4243よりも優れ、また消費電力も大幅に低減します。また多くのワークロードでは、NetApp Flash Cacheを利用することで、パフォーマンスの違いを補うことができます(後述のセクションを参照)。

NetAppのSASアダプタ

NetAppでは、DS4243のリリースに併せてX2065AクアッドポートPCIe SASアダプタの提供を開始しました。このアダプタには6 Gb / 秒の機能が備わっているため、DS2246接続に際して非常に高速のリンクスピードを利用できます。X2065AはDS4243、DS2246の両方をサポートしています。

NetAppではSASへの移行をスムーズにするために、最新のストレージシステムであるFAS3200シリーズとFAS6200シリーズにオンボードSASポートを採用しました。このオンボードポートも6 Gb / 秒のリンクスピードをサポートしており、DS4243にもDS2246にも利用可能です。FAS3200シリーズの詳細については、Tech OnTapに掲載されている関連記事(英語)をご覧ください。

FAS2040用オンボードSASポートとFAS2050用X2062デュアルポートSAS HBAは、DS4243とDS2246をともにサポートしていますが、DS2246接続時には、従来どおり3 Gb / 秒のリンクスピードで動作します。

Flash Cache

NetApp Flash Cache(PAM II)は、NetAppの全てのディスクおよびディスク・シェルフ・テクノロジと互換性があり、DS2246、DS4243に加えて、従来製品のDS14モデルとも運用が可能です。インテリジェントなキャッシングの活用により、ストレージのパフォーマンスとディスクアレイ内のディスク数およびディスクタイプとの関係を切り離すことが可能になります。これによりコストを大幅に削減できるだけでなく、パフォーマンスの調整に必要な管理負荷も軽減されます。Flash Cacheは2次キャッシュ機能を追加するもので、システム・バッファ・キャッシュからイジェクトされたブロックを格納し、大容量で遅延の少ないブロックのプールを作成します。

Flash Cacheを利用すれば、ストレージコストを50%以上削減できるだけなく、設置面積や電力消費量も約60%削減可能です。ストレージコストの削減が可能なのは、一定レベルのパフォーマンスに必要なスピンドル数を75%削減できるからです。またSASの代わりにSATAを使用するなど、高性能ディスクを、より経済的な選択肢に置き換えることもできます。

Flash CacheにNetApp重複排除テクノロジやFlexClone®テクノロジを組み合わせると、キャッシュを大幅に増強できるため、キャッシュのヒット数が飛躍的に増加し、遅延時間をさらに短縮することができます。

Flash CacheとNetAppテクノロジの併用方法については、最近のTech OnTapの記事で詳しく紹介しています。

NetApp SASのベストプラクティス


SASテクノロジへの第一歩は、NetAppシステムを利用すれば簡単に踏み出せます。ただし確実に成功するために、いくつかのベストプラクティスに注意してください。まず、DS2246とDS4243、どちらのディスクシェルフがお客様のニーズに最適かを判断する必要があります。表2に示した選択基準を参考に判断してください。また前掲の表1で、密度と消費電力に関する情報も参照してください。

表2)適切なSASディスクシェルフ選択に当たってのガイドライン

選択基準 ストレージメディア SASディスクシェルフ
パフォーマンス密度
ストレージ密度
消費電力削減量
スモール・フォーム・ファクタHDD
(SAS、10k RPM、2.5インチSFF)
DS2246
容量の多さ
GBあたりのコストの低さ
ストレージ密度の高さ
大容量HDD
(SATA、7,200 RPM、3.5インチ)
DS4243
HDDパフォーマンスの高さ高性能HDD
(SAS、15k RPM、3.5インチ)
DS4243
遅延時間の短さ
パフォーマンス密度の高さ
ソリッド・ステート・ドライブ(SSD)DS4243

 

言うまでもありませんが、どちらのシェルフも必要な場合は、1つのストレージシステムにDS2246とDS4243を接続することができます。次のセクションのガイドラインに従ってください。

SASスタックの構成

NetAppでは、接続とインターコネクトが正しく施されたSASシェルフとSASアダプタの集合を表すのに、「スタック」という用語を使っています。スタックには、以下のガイドラインが適用されます。

  • 1スタックがサポートするシェルフは最大10台。ただしFAS2040とFAS2050は除く(サポートするシェルフがスタック当たり最大4台のため)
  • DS4243とDS2246は、同じスタックに混在できない。異なるSASポートに接続することで、同じシステム上に混在させることは可能。1つのアダプタ内で別々のポートに接続すると、アダプタによって、スタックごとに適切なリンクスピードが自動的に使用される
  • DS4243を使用する場合は、SASドライブとSATAドライブを同じスタックに混在させることができる。ただし、同じシェルフ内に混在させることは不可
  • 15k RPMと10k RPMのSASドライブを同じアグリゲートに混在させないこと。混在は可能だが、15k RPMドライブのパフォーマンスが制限される恐れがある
  • NetAppでは、弊社のSASシェルフファミリーに使用するSASケーブルを幅広く認定している。SASケーブルは、SASアーキテクチャに欠かせない高性能コンポーネント。SASのデータパス接続用には、正規のNetApp SASケーブルのみがサポートされている

シェルフIDの設定

シェルフIDは、00~99の範囲で設定できます。NetAppでは、1つのストレージシステムに接続するスタックごとに、10の間隔でIDを割り当てるよう推奨しています。例を挙げると、1つ目のスタック用に10~19のIDを確保しておき、2つ目のスタックには20~29を確保しておく、といった具合です。IDは、スタックに全てのIDが割り当てられていなくても確保できます。たとえば1つ目のスタックに4つのシェルフが含まれている場合、シェルフIDは10、11、12、13となります。ID 14~19は現在未使用ですが、その場合でも2つ目のスタックはシェルフID 20から始まります。このようにIDを割り当てると、スタックごとにどのシェルフが割り当てられているのかを簡単に判断できます。未使用のIDは、将来のスタック拡張時に使用できます。DS4243もDS2246も、オンラインで容量を追加することができ、また、稼働中のストレージシステムを停止しなくても、シェルフの増設が可能です。

Alternate Control Path(ACP)

ACPはDS4243の提供に併せて導入された機能で、SASディスクシェルフの帯域外管理を可能にします。ACPを実装すると、ディスクシェルフごとに新たな通信パスを使用できるようになります。ACPはSASのデータパスからは完全に分離されているため、個々のI / Oモジュールやドメイン全体(1つのSASスタック内の「A」シェルフモジュールに接続するIOM全て)をリセットしたり、電源サイクルを実行したりするなど、シェルフモジュールを無停止でリカバリする新たな選択肢を提供します。NetAppは、シェルフ全体を電源サイクルするための機能も組み込みました。冗長性を実現するために、各シェルフには2つのIOMが組み込まれており、IOMごとにACP接続が実装されています。ACPテクノロジは、Data ONTAP®の機能を強化して、動作に問題のあるコンポーネントを自動的にリセットし、無停止で完全に動作する状態に戻します。

ACPはSASデータパスを詳細に監視して問題を検出し、可能な場合は、シェルフモジュールのリセットや電源サイクルを無停止で実行して解決します。こうした機能を自動で実行するのが、Data ONTAPに備わったプロアクティブなシェルフ・リカバリ・メカニズムです。この機能は、ACP使用時にデフォルトで有効になります。

NetAppではACPを強く推奨していますが、必須ではありません。ACPはデータパスから完全に分離されているため、ACPが接続されていない場合や動作していない場合でも、データパスが機能しなくなることはないからです。ACPを実装していない場合、上記のACP機能の多くは手動で実行可能です。

SASのご利用に当たって


DS14の販売終了を間近に控え(サイドバーを参照)、今までSASを真剣に検討されたことのないお客様にとっては、今がその検討を始める時期なのではないでしょうか。本稿では、昨年のTech OnTapの関連記事(英語)と併せて、お客様にテクノロジを理解していただき、正しい選択をしていただくための情報を提供できたことと思います。

NetAppコミュニティ
 SASに関するご意見をお寄せください。

ご質問、意見交換、情報提供は、NetAppのコミュニティサイトまでお願いいたします。

Mark Woods

Mark Woods
プロダクト・マーケティング・マネージャー
NetApp

Markは、プロダクトマネジメントとマーケティングの分野で15年以上の経験があります。NetAppに入社する以前は、Hewlett-Packardでサーバ事業に携わっていました。コロラド大学の電気工学課程で理学士号、テキサス大学でMBAを取得しています。

Jay White

Jay White
テクニカル・マーケティング・エンジニア
NetApp

JayはNetAppのテクニカル・マーケティング・エンジニアとして、システムの耐障害性、ストレージサブシステム(シェルフ、ドライブなど)、RAIDを担当しています。ストレージサブシステムの構成や耐障害性に関して、テクニカルレポートやFAQも多数執筆しています。

 
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