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優れたブロックI/Oパフォーマンスと低遅延を実現するFAS6200クラスタ
Dimitris Krekoukias
システム エンジニア

NetApp® Data ONTAP® 8 Cluster-Modeは、1つのクラスタでNASとSAN両方のプロトコルに対応できる業界唯一の統合スケールアウト ストレージ プラットフォームです。今月号のTech OnTap®では別の記事で、急成長を遂げているクラウド プロバイダのCluster-Mode導入事例を紹介しています。また、過去のTech OnTapの記事では、Cluster-Modeの特長と機能、SPECsfs NFSベンチマークで実証済みのパフォーマンスと拡張性についても解説していますので、ぜひご覧ください。さて、FAS6240システム24ノードで構成されたクラスタは、SPECsfs2008_nfs.v3ベンチマーク テストにおいて、1秒あたり150万処理を上回る結果を低遅延で達成しています。

Data ONTAP Cluster-Modeが、このように優れたファイル サービス パフォーマンスを記録したことで、業界関係者からは、Cluster ModeのブロックI/Oパフォーマンスも知りたいという声が寄せられました。そこでネットアップは、6ノード構成のFAS6240クラスタを対象にSPC-1ベンチマーク テストを実施し、その結果を最近公表しました。テスト環境は、SPECsfsテストと同じコンポーネントを一部使用し、クラスタ構成で構築したものです。このテストでは、SPC-1 IOPS™値で250,000という結果が記録されました。エンタープライズクラスのディスクベース ストレージ システムを対象としたSPC-1テストは複数の結果が公開されていますが、その中でも最高レベルの結果を達成できたのは、高いIOPSと低遅延が同時に実現されているからだと言えるでしょう。

PeakColoのアーキテクチャの概要

図1)6ノード構成のNetApp FAS6240クラスタのSPC-1 IOPS

この記事では、SPC-1ベンチマークと、遅延時間の重要性について説明します。また、ネットアップと競合他社製品のテスト結果や、ディスクベース、フラッシュベースのストレージについても詳しく掘り下げて説明します。

SPC-1ベンチマーク

Storage Performance Council(SPC)は、ストレージ ベンダー、インテグレータ、学術機関で構成され、ストレージ ベンチマークの策定、標準化、促進を目的に設立された団体です。Storage Performance CouncilのSPC-1ベンチマークは、監査済みで厳格なブロックベースの業界標準ベンチマークです。このベンチマークでは、ライト、オーバーライト、ライト アフター リード、リード アフター ライト、ホットスポット、ランダムな処理とシーケンシャルな処理など、さまざまなI/O処理を組み合わせてディスク サブシステムに負荷をかけます。ワークロードの約60%をライトが占めるため、全般的にストレージ システムへの負荷は高くなります。I/Oのサイズは大小さまざまです。

SPC-1は、データベースがストレージ システムに負荷をかける方法をモデル化する点で、最も優れたベンチマークと言えます。SPCではベンチマークの策定時にさまざまなアプリケーションがどのようにストレージにアクセスするのかを調査し、その測定値に基づいてワークロードをモデル化しました。さまざまな処理を組み合わせることで、全商用アプリケーションのほぼ半数に上る広範なアプリケーションの処理を測定できます。

SPC-1のアクセス パターンを実行すると、ホット スポットが発生しますが、このホット スポットだけで総ワークロードの相当な割合が占められます。このようなホット スポットのデータは、十分な容量のキャッシュがある場合は一部をキャッシュに格納でき、また、インテリジェントできめの細かいストレージ自動階層化(AST)機能がストレージに備わっている場合はSSDに格納できます。

完璧なベンチマークというのはありませんが、SPC-1は、ランダムなブロックI/Oパフォーマンスの測定にも、ベンダー間でのテスト結果の比較にも、どちらにも最も適した標準ベンチマークと言えます。通常、SPC-1で優れたパフォーマンスを発揮したストレージ システムは、遅延の影響を受けやすくワークロードが動的に変化する厄介な環境でも、非常に優れたパフォーマンスを発揮します。こうした環境の例としては、一般的にデータベース アプリケーション、とりわけOLTP、さらにEメール、仮想化などが挙げられます。SPC-1に興味のある読者の方は、ぜひ仕様書の完全版をお読みください。

SPC-1は、スループット型のベンチマークではありません。このため、1秒あたりの最大GBは対象となりません。

ベンチマーク結果の分析

ベンチマーク結果の分析は、慎重に行う必要があります。IOPSの数値だけでは、把握できない部分もありますので、SPC-1レポートに目を通す場合は、以下のような、さまざまな点を考慮してください。

持続性:SPC-1ベンチマーク テストでは、すべて持続性テストを実施します。このテストは、最低でも8時間実行する必要があります。確認のポイントは、継続的に高いレベルのIOPSが達成されているかどうかです。また、テストとテストの合間にもパフォーマンスが低下しないことが理想です。持続性テストの実施時間はできるだけ長い方がいいでしょう。

ドライブ1本あたりのIOPS:基盤となるハードウェアをストレージ システムでいかに効率よく稼働できるかを評価する指標です。たとえば、ドライブ1本あたりのIOPSが500と250の場合、前者は後者に比べて効率性が2倍高いことを表します。ドライブの使用効率が高くなると、一定レベルのパフォーマンスを達成するのに必要なドライブの本数は少なくなります。その結果、コストと物理的な設置面積を削減できます。

応答時間(遅延時間):SPC-1における応答時間は、アプリケーションがI/Oトランザクションを完了するまでの平均所要時間を評価する指標です。応答時間が短い、つまり応答が速いほど、パフォーマンスは高くなります。また、好ましいことではありませんが、IOPSが高いにもかかわらず、応答時間が長いという状況もあり得ます。データベース トランザクションでは、読み込み処理の場合、パフォーマンスが優れていると評価される応答時間は10ミリ秒が上限です。Microsoftなどのベンダーは、応答時間が20ミリ秒を超えると、データベースに「障害が発生している」とみなします。一方、書き込み処理の場合、読み込み処理に比べてさらにスピーディーな応答が求められます。REDOログの書き込み処理にいたっては、応答時間は限りなく「同時」に近くなります。

ネットアップが低遅延を重視しているのは、まさに上記の要素がパフォーマンスにも直結するからです。IOPSと遅延時間の詳細については、私が最近投稿したブログの記事をご覧ください。

処理あたりのコスト:処理ごとに要するコストを評価する指標です。基本的に、この指標はシステムの総価格を、達成したSPC-1 IOPS値で割って算出します。ただし、値引き後価格を申告するベンダーもあれば、定価を申告するベンダーもあるため、結果に誤差が生じることがある点に注意してくさい。

RAID保護:テストに使用したRAID保護のタイプです。ほとんどの場合、SPC-1の結果には、パリティのオーバーヘッドを解消するためにミラーリング(RAID 10またはRAID 1+0)が用いられています。これを実運用に置き換えると、シングルパリティRAIDやデュアルパリティRAIDでは使用可能な容量が、ミラーリングでは使用できない容量となるため、より多くのコストを実際には使用できないディスクにかけることになります。

必要となるハードウェア:ハードウェアの構成の複雑さや、使用されたディスクの種類を確認しましょう。ベンチマークの結果が優れていても、実際に導入できなければ意味がありません。システムの実用性を必ず確認してください。

ネットアップのSPC-1ベンチマーク テストの結果

ネットアップのSPC-1ベンチマーク テストの結果を示したのが上の図1です。ベンチマーク テストに使用したのは、6ノード構成のFAS6240クラスタ(3つのHAペア)です。各ノードは、FAS6240に標準で付属している512GB Flash Cacheモジュールと、合計432本のディスク ドライブ(450GB、15,000rpm SASドライブ、コントローラあたりのドライブ数は72本)を搭載しています。

Flash Cacheは、NetAppバーチャル ストレージ ティア(VST)機能の一部で、アクセス頻度の高い読み取りデータを自動的にキャッシュします。1台のFAS6240コントローラには、最大3TBのFlash Cacheを搭載できます。そのため、上記のように各クラスタ ノードで標準搭載の512GBカード1枚のみを使用した構成は、一般的なデータセンターに導入される構成に比べ、容量的にかなり制限されていると言えます。

同様に、1台のFAS6240コントローラで最大1,440本のドライブをサポートできることを考えると、コントローラあたりのドライブ数が72本というのは、相当少ないと言えるでしょう。このテストで使用されたディスクは、450GBの15,000rpm SASドライブです。また、ネットアップのダブルパリティRAID 6実装のRAID-DP®テクノロジを、すべてのテストで有効にしました。この構成は、お客様の標準的な運用方式に沿ったものです(ネットアップの場合、RAID-DPはデフォルトで有効になっています)。表1に、上記の指標に関するベンチマークの結果をまとめましたので、ご覧ください。

表1)SPC-1の主要指標に関するネットアップのパフォーマンス

6ノード構成のNetApp FAS6240クラスタ
SPC-1 IOPS250,039.67
ディスクあたりのSPC-1 IOPS579
応答時間(遅延時間)3.35ms
処理あたりのコスト6.69ドル(販売定価)
RAID保護RAID-DP(デュアルパリティRAID 6)
総ディスク本数442
コントローラ6

さらに、持続性テスト、反復性テストでは、時間が経過してもパフォーマンスの低下が見られませんでした。上記の表の値は、特に応答時間(遅延)の短さという点で、非常に優れた結果と言えます。この点について、次のセクションで説明します。

主要競合他社製品とのSPC-1ベンチマーク テスト結果の比較

ネットアップでは、主要なディスクベース ストレージのSPC-1ベンチマーク テストの結果を比較分析しました。その際、応答時間のしきい値は、約3ミリ秒としました。この分析では、IOPSに対して遅延時間が非常に短いという点で、ネットアップのSPC-1の結果が、エンタープライズ ディスクベース システムの中で最も優れていることが明らかになりました。ネットアップは、HDDを中心とした構成で、フラッシュ並みのパフォーマンスを実現できます。

応答時間の目標値が3ミリ秒以内に設定されているため、高負荷環境での低遅延処理が求められる金融業界のデータベース アプリケーションなどにも十分対応できます。大半のデータベース機能は、ワークロードのI/O遅延時間を大幅に短縮することで格段に向上します。

詳細な分析結果とコメントについては、私が最近投稿したブログの記事をご覧ください。

今回の分析の比較対象となったストレージ システムは次のとおりです(リンクをクリックすると、各ストレージ システムの詳細なSPC-1ベンチマーク レポートを参照できます)。

表2)NetAppクラスタと主要競合他社製品とのSPC-1ベンチマーク テスト結果の比較

 FAS6240
クラスタ
HDS VSPHuawei S8100IBM SVCとV7000IBM SVCとDS8000HP 3Par
SPC-1 IOPS250,039.67269,506.69300,062.04520,043.99380,489.30450.212.66
応答時間
(ミリ秒)
3.35ms5.85ms7.08ms7.39ms7.64ms13.67ms
販売定価
(ドル)
1,672,6024,934,8722,311,5685,846,63013,672,2555,885,148
処理あたりの
コスト(ドル)
6.6918.317.7011.2435.9313.07
IOPS
(応答時間)*
250,039.67
(3.35)
242,567.41
(3.23)
150,000.17
(3.60)
259,998.37
(2.71)
190,253.20
(2.96)
225,079.30
(3.29)
コントローラの台数68168+326+48
ディスクの
本数
4321,1521,1521,9202,0481,920
ディスクあたりのIOPS579234260271186234
RAIDタイプRAID-DPRAID 10RAID 10RAID 10RAID 10RAID 10

*各社のテスト結果の中から、応答時間が3msに最も近いデータ ポイントを特定し、そのデータ ポイントのIOPS値を掲載しています (データ ポイントごとの正確な応答時間は表内に記載されています)。

SPC-1のIOPS、ディスクあたりのIOPS、処理あたりのコスト

6種類のシステムについて、SPC-1の結果を様々な点で比較してまとめたのが表2です。1行目にあるSPC-1 IOPS単独の結果では、NetApp FAS6240より優れた結果を残したシステムもあります。しかし、ディスクあたりのIOPSで比較すると、ネットアップは他社のシステムを2倍以上引き離しています。また、定価を前提とした処理あたりのコストでも最も優れた結果を出しています。この表内に記載されている構成の価格は、すべて定価です(ベンダーによっては、SPCへの報告時に値引き価格を提示する場合があるため、公平を期すために定価を記載しています)。

低遅延で優れたIOPSを実現

すべてのシステムを3msの遅延時間における最大パフォーマンス(表内の太字で示した数値)で比べてみると、ネットアップ システムを上回る結果を残しているシステムは、IBM SVCとV7000システムだけです。ただし、その差はわずか4%にすぎません。このシステムの定価は、ネットアップ クラスタの約3.5倍です。しかも、8つのSVC仮想化エンジン、16台のV7000システム(システムごとにSVCコントローラとRAIDコントローラをそれぞれ2台搭載)、1,920本の15,000rpm 146GBディスク ドライブで構成されており、ネットアップ クラスタと比べてシステムが非常に複雑です。使用しているドライブの本数と容量を考えると、おそらくコストパフォーマンスも高いとは言えないでしょう。6台のコントローラと432本のドライブだけで運用できるネットアップ クラスタと比べると、IBMシステムは、構成と管理の手間がかかり、消費電力もかさみます。

システムの複雑さ

全般的に見て、NetApp FAS6240クラスタは、他のストレージ システムと比べハードウェアが少なく、ディスクの本数が大幅に少ないことが分かります。また、ミラーリングではなく、デュアルパリティRAIDでのストレージ アレイしかテストしていません。このようなシンプルな構成にもかかわらず、優れたベンチマーク結果を残しています。つまり、FAS6240は、管理が簡単で、管理コストと電力コストも安く抑えられる、実用的な構成と言えるでしょう。

フラッシュについて

IOPSが高く、応答時間が非常に短いSPC-1ベンチマーク テストの結果を記録しているシステムには、すべてDRAMとフラッシュが搭載されています。ただし、現時点では、容量や機能の面で企業のニーズに対応し、高いIOPSを同時に実現するシステムはありません。IOPSが非常に高く、容量の少ないシステムを希望される場合は、フラッシュかDRAMのみを使用したソリューションを導入するという選択肢もありますが、その場合は、なんらかのデメリットを覚悟する必要があります。

ネットアップは、フラッシュのみの構成オプションも用意していますが、今後、数十テラバイト以上の容量が必要になった場合のコストを考えると、ディスクベースのストレージ システムか、ディスクとフラッシュを組み合わせたハイブリッド型ストレージ システムの方が断然経済的です。表3に、物理容量のTBあたりのコストを概算値で示します。

表3)容量あたりのコスト:DRAM / フラッシュ ストレージとネットアップ クラスタ

 NetApp FAS6240
クラスタ
Kaminario K2-DTMS RAMSAN-630
物理容量 193TB3.4TB14TB
価格 1,672,602ドル490,760ドル419,292ドル
TBあたりの価格8,666ドル140,217ドル29,949ドル

まとめ

今回のSPC-1ベンチマーク テストによって、ネットアップは、Data ONTAP 8 Cluster-ModeがSANとNASのどちらのワークロードにも優れたパフォーマンスを発揮することを明らかにしました。Cluster-Modeは次のメリットを実現します。

  • 低遅延(応答時間)と高パフォーマンス
  • FC、iSCSI、NFS、CIFSに対応する拡張性に非常に優れたユニファイド クラスタ
  • 優れたコストパフォーマンス
  • ノンストップ オペレーション(ほぼ不可能に近いとされているCIFSを含め、クラスタ ノード間でのデータ移動などをノンストップで実現)
  • Data ONTAPの機能セット(書き込み最適化、アプリケーション対応、Snapshotコピー、重複排除、圧縮、レプリケーション、シンプロビジョニング、バーチャル ストレージ ティアなどの機能)
  • 他社製ストレージ システムを仮想化するVシリーズなど、Cluster-Modeでも7-Modeと同じハードウェアを使用することが可能
 Cluster-Modeに関するご意見をお寄せください。

ご質問、意見交換、情報提供は、ネットアップのコミュニティ サイトまでお願いいたします。

著者紹介:Dimitris Krekoukias(システム エンジニア)

Dimitrisは17年以上にわたるIT業界経験を持ち、ストレージ、大規模なバックアップとリカバリ、仮想化、大規模並行処理システム、ハイパフォーマンス コンピューティングといった幅広い分野に携わってきました。3年前にネットアップに入社して以来、パフォーマンスと競合対策のサブジェクト マター エクスパートとして活躍しており、自身のブログ(www.recoverymonkey.org)でも、パフォーマンスなどのトピックについて、定期的に記事を投稿しています。

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