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優れた拡張性を実現するFAS3200

ミッドレンジ・ストレージ・システムの成功の鍵は、プラットフォームの柔軟性にあります。エントリレベルのストレージシステムと、ハイエンドクラス、エンタープライズクラスのストレージの間に存在する大きなギャップを埋めることができるのは、柔軟性が高く拡張性に優れたプラットフォームだけです。NetAppが提供する新たなミッドレンジ製品、FAS3200シリーズ・ストレージ・システムとV3200シリーズストレージ仮想化システムは、まさにこうしたギャップを解消する製品です (表現を簡潔にするため、以降は両製品をFAS / V3200シリーズと記述します)。

弊社が既存のFAS3100製品の刷新に取り掛かった時点で、すでに明確に分かっていたことがありました。それは、パフォーマンスと容量を普通に強化し、低コストを維持するだけでは不十分ということです。市場が大きく変化したため、ミッドレンジストレージの要件を考え直す必要が生じていました。まず、NetAppのインストールベースにおける各FAS3100システムでは、すでに平均3.3個の拡張スロットが使用されており(搭載数は4個)、拡張性という点で明らかに行き詰まりを迎えつつありました。また、ストレージ業界ではFCディスクからSASディスクへの移行が進んでいます。そのため、SASディスクへの移行を円滑化するためには、オンボードのSASポートとFCポートを提供し、この2種類の両ポートをストレージシステムで(必要に応じて)大量に同時サポートする必要があると弊社は考えていました。

柔軟な構成が可能

FAS3200シリーズの設計を開始したとき、弊社ではまず当時のミッドレンジシステムの中でもローエンドな製品に焦点を当て、価格とパフォーマンスの溝を埋める方法について検討しました。その結果、FAS3100シリーズのデザインを6Uから3Uにするというアイディアが即座に浮かんだのです。

こうして、設計早期の段階でデザインを見直したことにより、スペース効率を大幅に向上し、柔軟性と拡張性をはるかに強化することが可能となりました。NetAppがFAS3200用に設計した3Uシャーシでは、PCIe v2.0スロットを2個装備したコントローラを2台搭載し、3Uシャーシ内でHAペアを構成することができます。また、1台のコントローラとI / O拡張モジュール(IOXM)を搭載することも可能です(IOXMにより、PCIe v1.0スロットが4個追加されます)。

新しいFAS6200モデルを既存プラットフォームと比較した場合の、相対的なシーケンシャル・リード・パフォーマンス

図1) FAS3200シリーズの3Uシャーシには、2台のコントローラ(HAペア)、または、1台のコントローラとI / O拡張モジュールを搭載できます(I / O拡張モジュールにより、4個のPCIeスロットが追加されます)。

また、NetAppでは、コントローラ1台とIOXMを搭載した3Uシャーシ2基を組み合わせ、6UのHAペアを作成しました。このHAペアは、FAS / V3100シリーズと同様に6Uサイズですが、各シャーシに6個のスロットを備えているため、拡張性においてはるかに優れています。

FAS / V3200シリーズには、FAS / V3210、FAS / V3240、FAS / V3270の3つのモデルがあります。3つのモデルで合計8パターンの構成が可能であり、ミッドレンジストレージに求められるどのような要件できるように設計されています。モデル名の末尾にある「A」は、アクティブ / アクティブHA構成、「E」はIOXMが搭載されていることを示しています。また、「AE」は、6Uのアクティブ / アクティブHA構成で、I / O拡張モジュールが搭載されていることを示しています (表1を参照)。

表1) FAS / V3200シリーズの構成

  FAS / V3210 FAS / V3240 FAS / V3270
シングルシャーシによるスタンドアロン構成 FAS / V3210 NA NA
シングルシャーシによるHA構成 FAS / V3210A FAS / V3240A FAS / V3270A
シングルシャーシによるスタンドアロン構成(IOXMを搭載) NA FAS / V3240E FAS / V3270E
デュアルシャーシによるHA構成
(各シャーシにコントローラとIOXMを搭載)
NA FAS / V3240AE FAS / V3270AE

 

FAS / V3200シリーズは、スタンドアロンモデル、HAモデルの2つの構成オプションから選択でき、拡張性を抑えた構成(コントローラ1台に2個のPCIeスロットを搭載した構成)、最大限のスペース効率を実現する構成、または最大限の拡張性を実現する構成(PCIeスロットを6個搭載したコントローラ / IOXMペア構成)が可能です。つまり、FAS / V3100シリーズ製品と比べると、1.5倍の数のPCIeスロットが利用できることになります。

通常NetAppでは、高性能の10 GbE / 8 Gb FCアダプタ用に、コントローラに搭載された2個のスロットを使用することを推奨しています。IOXMに装備された追加用の拡張スロットは、NetApp® Flash Cacheや、FCディスク / SASディスクの追加接続に使用できます。この4個の拡張スロットが使用できることで、システム構成上明らかなメリットがもたらされます。NetApp Flash CacheによってI / Oパフォーマンスが向上し、ディスクの所要量が削減できるだけでなく、FCポートとSASポートの双方を多数搭載できるため、FCディスクからSASディスクへの移行を円滑に行うことができます。FCディスクからSASディスクへの移行については、Tech OnTap今月号の特集記事で別途紹介しています

表2) FAS / V3200の技術仕様(デュアルコントローラによるHA構成)

FAS / V3200の技術仕様(デュアルコントローラによるHA構成)

オンボードのSASポートでスムーズな移行を実現

FAS / V3200シリーズには、オンボードのSASポートが搭載されていますが、これも既存のFCディスクからの移行を円滑に行っていただくためのものです。NetAppでは、これまで各ミッドレンジ・コントローラに4 GbのFCポートを4個搭載していましたが、現在は、4 GbのFCポート2個とSASワイドポート2個を搭載しています。各ポートで4つのSASリンクが提供され、各リンクで6 Gb / 秒(SAS 2.0規格)の転送速度が実現されるため、各ポートの総帯域幅は、24 Gb / 秒となります。

また、NetAppではギガビットイーサネット(GbE)ポートを2個提供しており、 さらに、SASディスクシェルフのアウトオブバンド管理用テクノロジ、Alternate Control Path(ACP)用のイーサネットポートを2個、サービスプロセッサ使用のポートを1個提供しています (この2つのテクノロジについては後ほど説明します)。

FAS / V3200には、現在HA構成用にオンボードの10ギガビットイーサネット(10 GbE)ポートが2個搭載されています。FAS / V3100シリーズでは、HAインターコネクトにInfiniBandを採用していましたが、 FAS / V3200シリーズでは、一般的な傾向としてイーサネットによるネットワーク統合が進んでいることから、InfiniBandを10 GbEに切り替えました。オンボードの10 GbEポートはHAインターコネクト専用であり、その他の用途には使用できません。シングルシャーシによるHA構成では、インターコネクト信号の伝達がバックプレーンを介して行われるため、外部ケーブルは必要です。また、このポートは、デュアルシャーシによるHA構成(FAS3240AEとFAS3270AE)のみで使用されます。

Intelとのコラボレーションによる優れたパフォーマンス

FAS / V3210とFAS / V3270には、Intel® Wolfdaleプロセッサが採用され、FAS / V3240には、Intel Harpertownが採用されています。NetAppエンジニアリング部門は、Intelと直接連携してIntelチップセットを改良し、NetApp NVRAMをメインメモリの一部として使用できるようにしました。

読者の皆様はすでにご存知だと思いますが、NetAppシステムはどれも、書き込み要求のあったデータを不揮発性メモリに記録します。これは書き込み応答時間を短縮するためです。通常NVRAMは、カードとして別途提供されるか、あるいはマザーボードの一部をNVRAM専用に割り当てるという形で提供されてきましたが、メインメモリでNVRAMを提供した方が、処理も速く、コストも削減できます。

NetAppエンジニアリング部門は、Intelと協力し、Asynchronous DRAM Refresh(ADR)というセルフリフレッシュ機能付きのスリープモードをIntelチップセット用に開発しました。ADRにより、メインメモリの一部をオンボードのバッテリによってサポートできるため、 NVRAMでメインメモリと同様の優れた帯域幅が実現され、マザーボードのデザインもシンプルになります。

FAS / V3200製品のパフォーマンス向上には、上記の改善とIntelプロセッサの優れた性能が貢献しています。たとえば、NFSのパフォーマンスを測定する標準ベンチマーク、SPECsfs(SPECsfs2008_nfs.v3)でテストした結果、FAS3270は1.66 ミリ秒のORT(総合応答時間)で101,183 opsのスループットを記録しました。これに対して旧型のFAS3160ミッドレンジシステムは、1.58ミリ秒のORTで60,507 opsという結果が出ています。つまり、SFSのスループットが70%向上したということになります。

Reliability, Availability, Serviceability, and Manageability
(RASM;信頼性、可用性、サービス性、管理性)

FAS / V3200には、通常ハイエンドストレージにしか搭載されないRASM機能が複数採用されています。新しいFAS / V6200シリーズと同様に、FAS / V3200シリーズには、旧世代のシステムで使用されていたRemote LAN Module(RLM)の機能をはるかに上回る新しいサービスプロセッサが搭載されています。このサービスプロセッサは、ストレージシステムの他の部分がダウンしている場合でも動作し続け、イーサネット経由またはシリアルコンソール経由でアクセスできます。このサービスプロセッサは、リモート電源サイクル、ダウンしたシステムのコールホーム通知、トラブルシューティングのための常時アクセスなど、RLMのすべての機能を提供します。また、RLMの機能を超える次のような新しい機能も提供します。

  • FRUのレポートと追跡
  • 電流 / 電圧と温度を感知する高度なセンサーによるレポート
  • LEDステータスの監視と設定
  • コアダンプの強制的な作成(コントローラ上のNMIボタンの代わり)

NetAppでは、NetApp SASディスクシェルフのアウトオブバンド管理用に、Alternate Control Path(ACP)テクノロジを開発しました。ACPによって、ストレージコントローラはストレージチャネル経由で通信しなくても、ストレージチャネルをリセットできるため、データの可用性が向上します。チャネルがダウンしている場合や動作に問題がある場合、外部から介入しなくても、すぐにリセットしてオンラインに戻すことができます。ACPがあることで、ACPがなければリブートが必要になっていた障害からもストレージシステムをリカバリできます。これは大きなメリットです。

ACPは、ディスクシェルフにアクセスする別の入口を提供してくれます。SASのデータパスからは完全に分離されているため、個々のI / Oモジュールやドメイン全体をリセットしたり、電源サイクルを実行したりするなど、シェルフモジュールを無停止でリカバリする新たな選択肢を提供します。NetAppは、シェルフ全体を電源サイクルするための機能も組み込みました。ACPテクノロジは、Data ONTAPの機能を強化して、動作に問題のあるコンポーネントを自動的にリセットし、無停止で完全に動作する状態に戻します。

シンプルなソフトウェア

NetAppは、長年にわたる技術革新で新しいソフトウェア機能を開発し、Data ONTAPとNetAppストレージの中核機能に追加してきました。そして社の理念に従って、開発した機能や価値の多くを追加料金なしでお客様に提供してきました。しかし、NetAppソフトウェアを改めて確認したところ、お客様が選択するオプションが30を超えていることが判明しました。何らかの簡易化を行う時期であることには、お客様も同意していただけると思います。

NetAppでは手始めに、最も一般的なオプションをData ONTAP Essentialsにグループ化しました。この中には、以前は別途購入しなければご利用いただけなかったオプションも数多く含まれています。Data ONTAP Essentialsは、FAS3200シリーズに追加料金なしで組み込まれています。

Data ONTAP Essentialsに含まれる機能は次のとおりです。

  • 高可用性:クラスタ・フェイルオーバー、SyncMirror®、MetroCluster™、DSM / MPIO
  • インフラ:NearStore®、MultiStore®、Open Systems SnapVault®
  • Storage Efficiency: RAID-DP®、Snapshot™、重複排除機能、圧縮機能、シンプロビジョニング、FlexCache®
  • コアストレージ管理ソフトウェア:System Manager、Operations Manager、Provisioning Manager、Protection Manager

Data ONTAP Essentialsには、ご希望のストレージプロトコル(iSCSI、FC、CIFS、NFS)も1つ含まれます。

また、5つのソフトウェアモジュールを追加で提供します。

  • SnapRestore®
  • SnapMirror®
  • FlexClone®
  • SnapVault

SnapManager®スイートには、サポートしているすべてのソフトウェアのSnapManager製品とSnapDrive製品が含まれます。

さらにお客様の手間を省くために、Complete Bundleもご用意しました。Complete Bundleには、すべてのプロトコルと上記の5つのソフトウェアモジュールが含まれています。

FAS / V3200シリーズは、現在Data ONTAP 7.3.5とData ONTAP 8.0.1でサポートされています。

まとめ

FAS / V3200シリーズは、オリジナルバージョンのFAS / V3000シリーズ以来、着実なペースで技術革新を続けており、徐々に改善されています。NetAppは、インターフェイスの速度、ポート数、プロセッサに加え、システムのパフォーマンスと耐障害性において、自社のミッドレンジ製品の改善を図ってきました。最新バージョンのFAS / V3200シリーズには、オンボードのSASポートと旧バージョンの1.5倍にあたる拡張スロットが搭載されています。そのため、Flash Cacheなどの重要な拡張カードや、ネットワークポート、混在するFCアダプタとSASアダプタを使用する場合にも簡単に対応できます。また、スピンドル数が15パーセント増加したため、パフォーマンスと容量の両方が強化されています。その結果、導入と使用が容易なパフォーマンスに優れた低コストのストレージが実現しています。

NetAppコミュニティ
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ご質問、意見交換、情報提供は、NetAppのコミュニティ・サイトまでお願いいたします。

Steven Miller

Steven Miller
コアシステム事業部、シニア・テクニカル・ディレクター兼プラットフォーム・アーキテクト
NetApp

Stevenは6年近くにわたり、NetAppのプラットフォーム・アーキテクトを務めています。以前はFAS3100、FAS3200、FAS6200シリーズに加え、Performance Acceleration Module(PAM)とFlash Cache(PAM II)の開発に携わっていました。また、NetAppエンジニアリング部門において、国家安全保障局(NSA)、国家地球空間情報局(NGA)、中央情報局(CIA)との交渉役も担っています。Stevenは現在、複数のIEEE団体と業界団体に参加しています。また、ストレージとハイパフォーマンス・コンピューティングの分野で22件の特許を取得した実績があり、現在も19件の特許を出願中です。

 
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