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FAS3100が実現する最適な価格性能比

ストレージシステムでは一般的に、ローエンドストレージについてはコストを最大限抑えることが主な関心事であるのに対し、ハイエンドストレージはパフォーマンスとスケーラビリティ向上のために最適化されています。これら両極の製品群の中間的存在として、現在市場を拡大しつつある中規模ストレージでは、両製品群の特性を最適化し、最高の価格性能比の提供を目標としています。

当社が新製品のFAS3100およびV3100シリーズで目指しているのは、まさにこの点です。これらの製品では、中規模システムのプラットフォームを最適化することにより、パフォーマンスを大幅に向上させると同時に、ストレージ容量とスケーラビリティの向上を実現しています。

主要ベンチマークテストで実証された優れたパフォーマンスおよび価格性能比は、次のような改良を行うことで可能になりました。

  • コスト効率に優れた新型のシングルシャーシに2台の電源装置を備えたHA対応設計
  • ストレージシステムの中枢であるプロセッサとメモリサブシステムの効率改善を重視したFAS3100のシャーシ設計
  • ソフトウェアの最適化

以下では、FAS3100プラットフォームの変更点について詳しく説明するとともに、SPC-1、SFS、およびExchangeベンチマークテストでのパフォーマンス実績を示します。

FAS3100シリーズの概要

この新しい製品シリーズには2つのモデルがあります。FAS3140(FAS3020およびFAS3040の後継モデル)とFAS3170(FAS3070の後継モデル)です。同等のVシリーズシステムは、IBM、Hitachi、HP、EMC、Fujitsu、および3PAR製のヘッドユニットとして接続するだけで、FAS3100シリーズと同様の利点を提供します。

  FAS3020 FAS3040 FAS/V3140 FAS3070 FAS/V3170
プロセッサ 32ビット×2
(シングルコア×2)
64ビット×4
(シングルコア×4)
64ビット×2
(デュアルコア×2)
64ビット×4
(デュアルコア×4)
64ビット×4
(デュアルコア×4)
メモリ 4GB 8GB 8GB 16GB 32GB
NVRAM NV5 (1GB) NV6 (1GB) NV7 (1GB) NV6 (1GB) NV7 (4GB)
拡張スロット PCI-X×6 PCIe×6 PCIe×8 PCIe×6 PCIe×8
オンボードI/O GbE×8
2 Gb FC×8
GbE×8
4 Gb FC×8
GbE×4
4 Gb FC×8
GbE×8
4 Gb FC×8
GbE×4
4 Gb FC×8
最大ディスク
ドライブ数
168 336 420 504 840
最大容量 84TB 336TB 420TB 504TB 840TB
Data ONTAP 7.0以上 7.2.1以上 7.2.5以上 7.2.1以上 7.2.5以上

表1)FAS3100シリーズとFAS3000シリーズの比較
(数字はすべて、デュアルコントローラのアクティブ/アクティブ構成での数値)

統合型のシャーシ設計

FAS3100シリーズでは、新たに2-in-1(ツーインワン)設計のシャーシを採用し、2台のコントローラを1つの筐体に収めて、アクティブ/アクティブ構成として使用できるようになりました。この方式を採用したのは、現在FAS3000シリーズを購入されるお客様の大半が、同様の構成でシステムを導入されているためです。従来と変わらず、新型シャーシでも電源および冷却機構は冗長化されていますが、電源装置などの全体的なコンポーネント数が減少するため、2つの個別のシャーシを組み合わせていた旧世代と比べて、新しいアプローチのほうがコスト効率に優れています。

FAS3100 series chassis versus the previous active-active configuration

図1)新しいFAS3100シリーズのシャーシと従来のアクティブ/アクティブ構成

新型シャーシには、そのほかにも次のような利点があります。

  • バックプレーンの統合により、外部へのケーブル配線が減少します。2つのコントローラ間のハートビート通信(アクティブ/アクティブ構成で使用される)には、バックプレーンに組み込まれたInfiniBand接続が使用されます。電源装置が従来よりも2つ少なくなるため、電源ケーブルの本数も減少します。
  • シングルコントローラ構成は、2つ目のコントローラを接続するだけで簡単にアクティブ/アクティブ構成にアップグレードできます。

プロセッサ、メモリ、およびチップセットのアップグレードによるパフォーマンス向上

コスト効果の高いシステムシャーシ設計を採用したことにより、プロセッサ、I/Oチップセット、メモリ、およびNVRAMという、パフォーマンスに影響を与えるコンポーネントのアップグレードに力を入れることが可能になりました。高速のプロセッサ、最新のI/Oチップセット、およびメモリ増設の相乗効果によって、後述するように、FAS3100では従来のFAS3000シリーズと比べて大幅なパフォーマンス向上が達成されています。

プロセッサの選択
中規模ストレージには、最高周波数の最新鋭プロセッサは使用しません。代わりに、経済性に優れ、安定した実績あるプロセッサが使用されています。プロセッサに対するベンダーのロードマップには2種類あります。1つは、最新かつ最速のプロセッサに対するロードマップ(プロセッサが次々と新世代に移行する)であり、もう1つは、組み込みプロセッサに対するロードマップです。組み込みプロセッサでは、1つのプロセッサのサポートがより長期にわたって約束されます。

FAS3100シリーズでは、組み込みプロセッサのロードマップに含まれるデュアルコア64ビットプロセッサを選択しました。これにより、数年の間は、当社が出荷するFAS3100システムのプロセッサのサブシステムに手を加える必要がなくなります。また、将来的なプロセッサの評価頻度や、サポートの複雑化の度合いも減少します。特定のストレージプラットフォームで標準化を行った企業では、できるだけ長期にわたってそのプラットフォームを使い続けたいと考えます。したがって、当社のストラテジーはお客様の利益にもつながります。

I/Oチップセット
FAS3100シリーズでは、FAS6000ファミリーに最初に導入されたHyperTransport™チップセットの新バージョンを採用しています(NetAppでのHyperTransportチップセットの使用については、FAS6070に関する過去のTech OnTapの記事でより詳しく説明されています)。新しいHyperTransportチップセットのI/O特性は、旧世代からほとんど変わっていませんが、現在のチップセットではPCIトランザクションのバッファクレジット数が増加しているため、大量のI/O処理を行う際にパフォーマンスが向上します。

メモリとNVRAM
FAS3100シリーズのハードウェアに関しての、もう1つの改善点はFAS3170のメモリ容量およびNVRAM容量の増設です。FAS3170は、デュアルコントローラシステムあたり32 GBのメモリ(コントローラごとに16 GB)を備え、FAS3070の16 GBと比べると2倍のメモリが搭載されています。また、従来よりもやや高速のメモリを採用したため、メモリのボトルネックがさらに少なくなりました。FAS3070とFAS3170はどちらもDDR2 SDRAMを採用していますが、FAS3070ではDDR2-400だったのに対し、FAS3170ではDDR2-667 DIMMを使用しています。

FAS3170ではNVRAMも増設されています。FAS3070では1 GBだったNVRAMが、アクティブ/アクティブコントローラ構成のFAS3170では4 GBになりました。NVRAMの増設は、搭載メモリの増設とのバランスを保つために行われました。NetAppシステムではNVRAMを使用して、ディスクへの書き込みデータを一時的にキャッシングします。読み取り/変更/書き込み処理の代わりに書き込み要求を一括処理することで、パリティを含む多くのデータを効率よくストライピングして、大幅に処理時間を短縮できます。

ソフトウェアの最適化
ハードウェアプラットフォームの種類にかかわらず、新しい機能が追加されると、それらの新機能を利用するためにソフトウェアを最適化する必要があります。NetApp®ソフトウェアは現在、最新のマルチコアチップセットを十分に活用できるよう最適化されています。FAS3100シリーズでは、Data ONTAP® 7.3でこれらの最新機能を利用できます。後述するFAS3170のベンチマークテストでは、最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、すべてData ONTAP 7.3を使用しています。

拡張性の向上
全体的な拡張性を従来のモデルと比較してみます。FAS3140では、サポートされるディスク数がFAS3040よりも84ディスク増え、最大で420スピンドル(1 TBドライブを使用した場合は420 TB)まで拡張できます。FAS3170ではFAS3070よりも336ディスク多い、最大840スピンドル(840 TB)をサポートします。

また、どちらのモデルも、NVRAMをPCIeスロットからマザーボードに移動しました。そのため、使用可能なPCIeスロット数が増え、アクティブ/アクティブ構成では合計8つの拡張スロット(コントローラごとに4スロット)を使用できます。これらのスロットはネットワークポートの増設や、新製品のパフォーマンスアクセラレーションモジュール(高速ディスクドライブを増設する代わりに、遅延短縮とI/Oスループット向上に利用されるインテリジェントな読み取りキャッシュ)を搭載するために使用できます。

FAS3100:価格性能比の検証

当社では、新しいFAS3100プラットフォームのパフォーマンスを次の3種類のベンチマークを使って検証しました。

  • SPC-1:OLTPデータベースの典型的な負荷処理作業をシミュレートする業界標準のベンチマークテストで、SANのパフォーマンスを評価
  • SFS97:NASのパフォーマンスを評価(NFSプロトコル)
  • Microsoft® Exchange Solution Reviewed Program(ESRP):ストレージシステムに収容可能なExchangeユーザ数を測定

SPC-1によって証明された価格性能比
SPC-1ベンチマークテストの詳しい説明については、最近のTech OnTapの記事を参照してください。この記事では、旧世代のFAS3040と、EMC CX3モデル40の比較結果が紹介されています。このテストで、FAS3040は30,985.90 SPC-1 IOPS™を達成し、IOP単価はEMCが20.72ドルだったのに対し、FAS3040では13.61ドルでした(両方のプラットフォームでSnapshotテクノロジを有効にすると、NetAppの優位性がさらに顕著になりました。IOP単価は、EMCの54.49ドルに対してNetAppは14.89ドルでした)。

新しいFAS3170は、FAS3040の約2倍に相当する60,515.34 SPC-1 IOPSを達成しています。このテストから導き出された価格性能比は、SPC-1 IOPSあたり10.01ドルであり、従来製品のパフォーマンス実績を大幅に上回りました。

 

NetApp deduplication

図2)SPC-1テスト結果の比較:FAS3040とFAS3170

SPC-1ベンチマークテストの全結果については、次のリンクを参照してください。

SFS97
FAS3100のパフォーマンスについては、SPECsfs97_R1.v3ベンチマークによる評価も行われています。このベンチマークはファイルサービスに対する負荷処理能力を評価するもので、NFSバージョン3のスループット(1秒あたりの処理数)に対する遅延時間を測定します。このテストでもFAS3170は新記録を達成しました。1秒あたりの最大処理数が137,306というスループットは、旧世代のFAS3070を約60%も上回っています。各データポイントで計測された遅延時間は全体的に非常に短く、FAS3170のORT(総応答時間)は0.94 msで、最大遅延時間は最終データポイントで計測された2.1 msでした。FAS3070ではORTが1.16 ms、最大遅延時間が2.9 msでした(SFS97テスト結果:FAS3070とFAS3170の比較:英語)。

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図3)SFS97テスト結果:FAS3070とFAS3170の比較

Exchangeパフォーマンス
多くのお客様は、中規模ストレージシステムをMicrosoft Exchangeのホストとして使用されています。このため、Microsoft ESRP(英語)で定めたガイドラインに基づいて、各ストレージシステムでサポート可能なExchangeユーザ数を評価しました。この評価結果から、FAS3170のサポート可能なユーザ数が、従来モデルのFAS3070の2倍であることがわかります。FAS3170では、ESRPのスループットおよび遅延に関するガイドラインに従った場合、188のディスクドライブで最大50,000のExchangeユーザをサポートできます。一方、ハイエンドモデルのEMC Symmetrix DMX3は約84,000のESRP Exchangeユーザをサポートしますが、ESRPのスループットおよび遅延に関するガイドラインを満たすには、448のディスクドライブを必要とします。当社は価格性能比の面で、FAS3170で達成されたESRPテストの結果に非常に満足しています。すべてのテスト結果はこちらからご覧いただけます(英語)。

Microsoft ESRP showing  the number of supported Exchange users for each platform

図4)Microsoft ESRP:各プラットフォームでサポートされるExchangeユーザ数

まとめ

中規模ストレージシステムの設計の最適化は、ハイエンドストレージの設計よりも複雑です。設計を行うにあたってお客様のニーズを考慮する必要があるため、パフォーマンスと価格のバランスを慎重に検討しなくてはなりません。新しいNetApp FAS3100シリーズ、他社製ストレージのヘッドユニットとして搭載できるV3100シリーズは、最大限の価格性能比の実現を目的に設計されています。このことは、業界標準の複数のベンチマークテストによって裏付けられた、このプラットフォームの優れたパフォーマンスおよび価格性能比から明らかです。FAS3170では、FAS3040の2倍のSPC-1パフォーマンスを達成し、価格性能比は25%向上しています(SPC-1 IOPS単価は13.61ドルから10.01ドルに向上)。このプラットフォームではさらに、FAS3070と比べてSFS97パフォーマンスが40%向上し、2倍のExchangeユーザをサポートできます。現在はどちらのシステムもご購入いただけます。

FAS3100プラットフォームについてのご意見をお寄せください。(英語)

NetAppオンラインコミュニティでは、質問の投稿のほか、アイデアや意見を交換することができます。

Mark Insley and Lee Stork Mark Insley
NetApp、プラットフォームハードウェア担当シニアエンジニア

Mark(左)は、FAS3000シリーズを担当する中規模プラットフォームグループの中心的なエンジニアです。彼はFAS3020/FAS3050、FAS3040/FAS3070、およびFAS3140/FAS3170の電気設計を担当しました。MarkはNetAppに入社する以前、Sun™ SPARCStation-1のオリジナルモデルの設計など、ハードウェアおよびソフトウェア設計関連のさまざまな業務に携わっていました。


Lee Stork
NetApp、シニアエンジニア

Leeがパフォーマンスエンジニアリングに最初に関わったのは15年以上前のことです。当時彼は、Tandem Computers社で、プロセッサ、オペレーティングシステム、およびデータベースの問題を担当していました。3年前NetAppに入社してからは、FAS6080、FAS3000、およびFAS3100シリーズプラットフォームについてさまざまな業務を担当してきました。彼は、ネブラスカ大学で電気工学の学士号を取得しています。

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