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エンジニアが解説するFAS2240のメカニズム
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ネットアップでは、スマートなスタート、シンプルな管理、効率的な拡張を可能にするストレージ システムの設計に長年取り組んできました。Tech OnTap®今月号のBe the Matchのユーザ事例や、先月号のBroome-Tiogaに関する記事など、最近のユーザ事例をいくつかお読みいただくと、ネットアップのストレージが管理者に非常に好まれている1つの理由が明らかになってくると思います。それは、小規模なシステムからスタートして、ニーズに応じてシステムを随時拡張することができ、拡張の際にもプラットフォーム間で複雑なデータ移行を行う必要がない、という点です。

新しいエントリレベル ストレージ システムであるFAS2240の設計に着手する際に、何よりも重視されたのがこの機能の向上です。また、この新しいプラットフォームのRASM(Reliability, Availability, Serviceability, and Manageability; 信頼性、可用性、サービス性、管理性)を大幅に強化して、FAS3200およびFAS6200シリーズで提供しているのと同様の水準に高めることも目標でした。

この記事では、FAS2240の設計における、次のようなユニークな特長について説明していきます。

  • ネットアップのSASディスク シェルフとコントローラの統合
  • I / Oの拡張とパフォーマンスの強化
  • 新しい耐障害性機能と可用性機能

表1)FAS2240の主な特長

特長 メリット
ディスク シェルフへの変更が可能 FAS2240から上位の機種へのアップグレードが必要になった場合、ディスク シェルフに変更して新しいストレージ コントローラを追加すれば、データを移行する必要がありません。
高性能なI / Oオプション 10 GbEおよび8 Gb FCによる接続に対応し、ネットワークのボトルネックを解消します。
パフォーマンスが2~3倍に向上優れたパフォーマンスで、高性能なI / Oオプションをフル活用できます。
2つのサイズ(2Uまたは4U)を用意 パフォーマンス重視の2Uサイズ構成は、スペースの限られた環境に最適です。4Uサイズ構成は容量重視の環境に最適です。
RASM機能の向上 ネットアップのミッドレンジおよびハイエンド プラットフォームと同じサービス プロセッサ(SP)管理システムを使用しています。
FAS6200シリーズと同じマイクロアーキテクチャ 製品ライン全体にわたり互換性が強化されています。

コンパクトなパッケージに優れた機能を搭載

FAS2240は、さらに高い水準を目指して設計された製品です。2009年より、ネットアップはStorage Bridge Bay(SBB)規格に準拠してきました(英語)。この規格を選んだことで、FAS2240を、従来のどの製品よりもコンパクトで高密度のパッケージとして提供できるようになりました。また、この新しい設計のおかげで、FAS2240から別のプラットフォームへのアップグレードが非常に容易になりました。

FAS2240のコントローラは、SBBキャニスターとして設計されており、SBB対応のDS4243およびDS2246ディスク シェルフに直接プラグインできるため、高さ2Uの小さなディスク シェルフ1つ分のスペースに、完全なHAストレージ システムを構成することが可能です。

柔軟な構成
FAS2240-2では、高さ2U、奥行き19インチのDS2246ディスク シェルフのシャーシに、最大24本のSFF(スモールフォームファクタ)SASディスク ドライブを搭載できます。そのため、非常に高負荷な環境に最適なだけではなく、IT専門の担当者がいないリモート オフィスのように、スペースが狭く、最大限の簡素化が求められている環境のすべてに適しています。FAS2240-4では、高さ4UのDS4243のシャーシに、最大24本のSATAディスク ドライブを搭載できます (FAS2240-4ベースのシャーシでは、SASディスクはサポートされません)。SATAディスク ドライブの採用により、FAS2240-4は、高さわずか4Uのラック スペースで最大72 TBを提供できる容量重視の選択肢となっています。

どちらのモデルを選択する場合でも、ニーズに適したディスク シェルフとディスク メディアを使用して、最大120本の外付けディスクを追加することができます(合計144本のディスク ドライブを搭載可能)。また、最初にSASディスクを導入し、あとからSATAディスクを追加することも、またはSATAの導入後にSASを追加することも可能で、両方のディスクは混在させることができます。さらにFAS2240は、ファイバチャネル ディスク ドライブにも、さらに外付けのソリッドステート ドライブ(SSD)にも対応しています。

図1)FAS2240-2の背面 (HA構成)。スタンドアロン構成の場合、使用するPCMは1つです。

RAID 4パリティの例

図2)FAS2240-4の背面 (HA構成)。スタンドアロン構成の場合、使用するPCMは1つです。

RAID 4パリティの例

容易なアップグレード:データ移行が不要
FAS2240-2またはFAS2240-4から上位機種へのアップグレードが必要になった場合は、FAS2240コントローラ(ネットアップではプロセッサ コントローラ モジュールまたはPCMと呼んでいます)を適切なI / Oモジュール(IOM)に交換することで、ベースシャーシを標準のディスク シェルフに変更できます。変更後のシェルフを、ご希望のネットアップ製コントローラ ヘッドに接続するだけで、データを移行する必要もなく、最小限のダウンタイムでビジネスを再開できます。

高性能の秘密を探る:プロセッサとI / O

導入直後から優れたパフォーマンスを実現し、将来的にもData ONTAP®に十分対応できるよう、FAS2240にはIntel® Jasper Forestプロセッサが搭載されています。このプロセッサ製品シリーズは、特に埋め込み型アプリケーションやストレージ アプリケーション向けに設計されたもので、FAS6200シリーズで採用されている64ビット アーキテクチャと同じアーキテクチャ(Nehalem-EP)を、エントリレベルのプラットフォームに提供します。この同じマイクロアーキテクチャを採用したことで、互換性がさらに強化され、2つのプラットフォームで同じマイクロコードを実行できるようになりました。また、インテルのハイパースレッディング テクノロジにより、各コアで複数のスレッドを実行することが可能となるため、Data ONTAPが並列で同時に実行できるスレッド数が2倍になります。FAS2240にJasper Forestが搭載されたことにより、ネットアップのすべての製品ラインで、完全な64ビット アーキテクチャが提供されるようになりました。2006年以降、Data ONTAPは64ビット ネイティブのハードウェアをサポートしています。FAS2240は、64ビット完全対応のストレージ システム ポートフォリオに新たに加えられた1製品ということになります。

「メザニン」カードによるI / Oオプション
この新しいプロセッサ アーキテクチャは、オプションのメザニン カード(PCMあたり1枚)に対応しているため、10ギガビット イーサネットまたは8 / 4 / 2 Gbpsファイバチャネル(1カードあたり2ポート)を使用して、その性能を最大限に引き出すことができます。10 GbEを使用すると、Cluster-Mode構成(Data ONTAP 8.1使用時)や、高速クライアント接続が可能になります。8 Gbpsファイバチャネル カードは、ターゲットとしてもイニシエータとしても構成可能で、SANホストやファイバチャネル ディスク ストレージ シェルフへの接続、また必要に応じてテープへの接続を可能にします。

各PCMのオンボードI / Oには、LAN接続用のギガビット イーサネット ポートが4個と、内蔵および外付けのSAS / SATAディスクやSASテープデバイス接続用の6 Gb SASワイドポートが2個用意されているため、非常にコンパクトな形状でありながら、高いI / O性能を実現しています。

図3)PCMのインジケータLED、標準装備のポート、メザニンカード上のオプション ポート

RAID 4パリティの例

FAS2040との比較
表2にFAS2240 HA構成と、従来製品であるFAS2040との比較を示します。

表2)FAS2040 HA構成とFAS2240 HA構成の比較

 FAS2040 HA構成 FAS2240 HA構成
プロセッサコア 32ビット×4 64ビット×4
ハイパースレッディングCPU x
物理メモリ8 GB 12 GB
オンボードI / OFC x 4
GbE x 8
3 Gb SAS x 2
GbE x 8
6 Gb SAS x 4
I / O拡張オプションx
10 GbEまたは8 Gb FC(オプション) x
最大スピンドル数136 144
シェルフへの変更 x
管理ツール BMC SP
サポートするData ONTAP7.3.2、8.0、8.1 8.1

FAS2240は、FAS2040の約2~3倍のパフォーマンスを発揮します(パフォーマンスはアプリケーションにより異なります)。

耐障害性、可用性、保守性、管理性

ネットアップはFAS2240に数多くの機能を追加し、FAS3200とFAS6200シリーズに匹敵する耐障害性と可用性を実現しました。

サービス プロセッサ
ネットアップの旧来のエントリレベル プラットフォームには、ミッドレンジやエンタープライズクラスのストレージ プラットフォームよりもベーシックなサービス プロセッサが搭載されていましたが、FAS2240には、ネットアップのハイエンド プラットフォームと同じサービス プロセッサ設計が採用されています。このサービス プロセッサは、ストレージ システムの他の部分がダウンしても動作を継続し、リモート電源サイクル、ダウンしたシステムのコール ホーム通知、トラブルシューティングのための常時アクセスといった機能を提供します。他にも以下のような機能があります。

  • FRUのレポートと追跡
  • 電流 / 電圧と温度を感知する高度なセンサーによるレポート
  • LEDステータスの監視
  • コア ダンプの強制的な作成(コントローラ上のNMIボタンの代わり)

FAS2240のサービス プロセッサには、ネットアップSASディスク シェルフのアウトオブバンド管理用に、Alternate Control Path(ACP)テクノロジが搭載されています。ACPによって、ストレージ コントローラはストレージ チャネル経由で通信しなくても、そのチャネルをリセットできるため、データの可用性が向上します。チャネルがダウンしている場合や動作に問題がある場合、外部から介入しなくても、すぐにリセットしてオンラインに戻すことができます。ACPがあることで、ACPがなければリブートが必要になっていた障害からもストレージ システムをリカバリできます。これは大きなメリットです。

ACPは、ディスク シェルフにアクセスする「別の入口」を提供してくれます。SASのデータ パスとは完全に分離されているため、個々のI / Oモジュールやドメイン全体をリセットしたり、電源サイクルを実行するなど、システムを停止することなくシェルフ モジュールをリカバリする新たな選択肢を提供します。ネットアップは、シェルフ全体を電源サイクルする機能も組み込みました。ACPテクノロジは、Data ONTAPの機能を強化して、動作に問題のあるコンポーネントを自動的にリセットし、システム停止なしで完全な動作状態に戻します。

エンジニアの視点に立つと、FAS2240の耐障害性機能で最もすばらしいのは、プロセッサが動作していない場合でも、その内部にアクセスし、状態を読み出すことができる点です。コア ダンプと内蔵プロセッサの状態を確認し、データを詳細に収集できるため、問題発生時の状況を正確に把握し、修正することができます。また、メインCPUをシングル ステップ実行し、障害モードを特定することもできます。こうした機能が必要になることはないかもしれませんが、万一の場合にはハードウェアの障害点を非常に迅速に特定して、システムへの影響を抑えることができます。一般的なエントリレベルのストレージには、この種の機能は備わっていません。

システムレベルの診断
FAS2240には、FAS3200やFAS6200に採用されているのと同じシステムレベルの診断機能が搭載されているため、ハードウェアの問題をより的確に特定できます。次のような場合に、システムレベルの診断を実行できます。

  • システムの初期導入時
  • ハードウェア コンポーネントの追加および交換時
  • 原因不明の故障によるシステムのパニック時
  • アクセスしているデバイスが断続的にダウンする場合、または利用不可能になった場合
  • システムの応答が遅くなり、他のトラブルシューティングでは問題を解決できない場合

内蔵ディスクのマルチパスHAを実現
FAS2240では、内蔵ディスクでも外付けディスクでも、すべてのディスクでMP-HA接続をすることが可能です。MP-HAは、デュアルコントローラを使用したHA構成のシステムにおいて、ストレージ コントローラとディスク間に冗長パスを提供し、パス障害によるフェイルオーバーの発生率を低減します。ストレージに到達する第2のパスが確保されるため、次に挙げるような、さまざまな障害からの保護が可能になります。

  • ポートの障害
  • コントローラとシェルフ間のケーブル障害(複数のディスク シェルフを使用した構成)
  • シェルフ モジュール障害
  • シェルフ間ケーブルの二重障害
  • セカンダリ パス障害(HA構成時)

MP-HAによって、ストレージの耐障害性が全般的に強化されるほか、Data ONTAPで、ディスク ファームウェアのオンライン アップグレードといったメンテナンス作業を行うことも可能になります。また、ストレージへの帯域幅が2倍に増えるため、パフォーマンスも向上します。

まとめ

FAS2240は、ネットアップの従来のエントリレベル プラットフォームよりも優れた柔軟性を実現する設計になっています。また、通常ならハイエンドのエンタープライズクラスのストレージにしか搭載されない、優れた耐障害性と可用性も備えています。さらに、すべてのストレージ プロトコルを標準搭載しており、NFS、CIFS、ファイバチャネル、iSCSIを追加費用なしで利用できます。付加価値の高いソフトウェアをエントリレベルのシステムに標準搭載しようと取り組んだ結果、最終形となって誕生したのがFAS2240と言えます。

FAS2240は、Storage Bridge Bay規格に準拠した弊社独自の設計により、スタンドアロン構成、HAストレージ構成、いずれも単一のディスク シェルフに収容できます。そのため、ビジネスの拡大に伴ってFAS2240で対応できなくなった際も、ベースのシステムをディスク シェルフに変更し、FAS3200やFAS6200シリーズのストレージ システムに接続するだけでシステムをアップグレードできます。データの移行は必要ありません。また、ネットアップのプラットフォームはすべて、同一のData ONTAPオペレーティング環境で動作する上、FAS2240にはFAS6200と同じマイクロアーキテクチャが採用されているため、プラットフォーム間の互換性もこれまでになく強化されています。

最後に、FAS2240は、データセンター以外のスペースが非常に狭い環境にも導入できるよう、特に考慮した設計になっています。FAS2240-2は、奥行きわずか19インチの2Uシャーシに、最大24本のSASドライブを搭載できる、真に高性能でフォールトトレランスなストレージシステムです。

 FAS2240に関するご意見をお寄せください。

ご質問、意見交換、情報提供は、ネットアップのコミュニティサイトまでお願いいたします。
Steven Miller

Steven Miller
シニア テクニカル ディレクター兼プラットフォーム アーキテクト
ネットアップ


Stevenは6年近くにわたり、ネットアップのプラットフォーム アーキテクトを務めています。以前はFAS3100、FAS3200、FAS6200、FAS2240シリーズに加え、Performance Acceleration Module(PAM)とFlash Cache(PAM II)の開発に携わっていました。また、ネットアップのエンジニアリング部門において、国家安全保障局(NSA)、国家地球空間情報局(NGA)、中央情報局(CIA)との交渉役も担っており、現在、複数のIEEE団体と業界団体にも参加しています。ストレージとハイパフォーマンス コンピューティングの分野で26件の特許を取得した実績があり、現在も19件の特許を出願中です。


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