NetApp Tech OnTap
ケーススタディ:
VMwareおよびNetAppストレージを使用したExchange 2007の運用

Exchangeの運用を物理環境ではなく仮想環境で行うことには、多くの具体的な利点があります。しかし、このようなソリューションを検討する人の多くは、依然としてパフォーマンスと信頼性について懐疑的です。

私の勤務先であるUnity Builders Group(UBG)では、仮想環境でのExchangeの運用をすでに開始しています。当社では最近、Exchange 2007およびVMware® VI3への移行を完了し、そのパフォーマンスに非常に満足しています。ここでは、Tech OnTapの依頼に基づき、当社での移行プロセスを紹介し、VMwareおよびNetApp®ストレージでExchange 2007を運用する利点について説明します。

VI3およびExchange 2007への移行

1年半前、当社が使用していたExchange 2003のメールボックス数は約300でしたが、現在のメールボックス(シート)数は約450まで増加しました。これは、絶対数としては大きい数字ではありませんが、当社のExchange環境(およびその他の関連インフラ)が比較的短い期間で50%成長したことを示しています。

Exchange 2003サーバは当初、ESX 2.5で稼働するVMwareサーバによってホスティングされていました。それ以外のVMwareサーバはESX 3.0.1で稼働していました。NetApp環境については、当時から現在に至るまでFAS270アプライアンスを使用しています。以前はExchange 2003のホスティングをESX 2.5で行っていたため、VMotion®、DRS(Distributed Resource Scheduler)、およびHAといったVMware Virtual Infrastructure 3(VI3)の高度な機能は利用できませんでした。

また、当社のExchange 2003サーバはリビルドする必要があり、Exchangeデータストア用のストレージ割り当て量を増やさなければなりませんでした。このような要因から、新たに発売されたExchange 2007はExchange 2003と比べて多大な利点があると判断し、当社はExchange 2007への移行を決定しました。

当社のExchangeは当時すでに仮想化されており、良好なパフォーマンスが得られていました。そのため、まずはExchangeをホスティングしているVMwareサーバを他の2台のサーバと同じようにESX 3.0.1にアップグレードすることにしました。この際、当社の成長に伴うストレージ容量の増加に対応できるようにするため、サーバのリビルドも行いました。

その後、Exchange 2007への移行は滞りなく進みました。実際、Exchange 2007はExchange 2003と比べて集中的なI/O動作が少ないので、Exchange 2003よりも仮想環境に適しています。

Exchange 2003 Exchange 2007
32ビットのWindows® 64ビットのWindows®
900 MBのデータベースキャッシュ 数GBのデータベースキャッシュ
4 Kbのブロックサイズ 8 Kbのブロックサイズ
高い読み取り/書き込み比 1対1の読み取り/書き込み比
ストレージが弱点 ストレージの弱点を解消

表1)Exchange 2003と2007の比較

私たちはまず、ウェブキャストや本を通じてExchange 2007に関する情報を収集しました。その後、Exchange 2003でいくつかのテスト用メールボックスを作成し、当社の仮想環境にExchange 2007サーバをインストールしました。次に、テスト用メールボックスをExchange 2003からExchange 2007に移行し、送信および受信機能を社内外で検証しました。

このようなテスト移行の成功を確認したあと、ITスタッフのメールボックスの移行に着手しました。Exchange 2007環境が完全に正常稼働していることを確認したうえで、残りのアクティブユーザの移行を開始し、2週間で400~450ユーザの移行を完了しました。

ご存知ない方もいるかもしれませんが、移行作業中でも、Exchange 2003と2007を同じ環境内で併存させることが可能です。当社では数週間にわたり、この状態で作業を行いました。移行作業では、問題点を事前に確認し、基本的なポイントを見落とさないようにすることが重要です。

当社での移行時に生じた唯一の問題は、電子メールスキャン機能を見落としていた点でした。すべてのメールボックスおよびパブリックフォルダをExchange 2007に移行した時点でExchange 2003をシャットダウンしたため、電子メールスキャン関連のジョブが停止し、ユーザがスキャンを受けられない状態になりました。この問題は簡単に解決できましたが、これにより、電子メールシステムに依存するすべての要素を徹底的に洗い出すことが重要だという教訓を得ました。

新しい環境の利点

VMwareの利点
当社では現在、3台のESXサーバのすべてにESX 3.5を使用しています。Exchange 2007環境のほか、ビジー状態のCitrix環境をサポートするため、VMware VMotion、DRS、およびHAを組み合わせて使用しています。これにより、柔軟性が大幅に向上し、新しいサーバの迅速な導入が可能になっています。

VMotionを使用すると、サービスを中断せずにサーバ間で仮想マシン(VM)を移行することができます。たとえば、サーバ上のBIOSやその他のファームウェアを更新する場合、そのサーバからすべてのVMを移行したうえで、サーバをシャットダウンできます。その際、ユーザがそれに気付くことはありません。

VMotion

図1)VMotion

VMware DRSは、すべてのESXサーバ間で自動的なロードバランシング機能を提供します。これにより、サーバ利用率の急増や低下が発生せず、最適な利用状況を維持できます。VMware HAは、1つのESXサーバに障害が発生した場合、自動的に他のサーバでVMをリスタートできるようにします。

VMware DRS

図2)VMware DRSはVMotionを使用して自動的にVMを移行し、負荷を分散します。VMware HAは、物理サーバに障害が発生した場合、自動的に別のサーバでVMをリスタートします。

当社では、Exchange 2007メールボックスサーバ、ハブおよびクライアントアクセスサーバ、Symantec™ Enterprise Vault™アーカイブサーバ、およびBlackBerryサーバ上で動作するVMをすべて同一のESXサーバ上で保持するという独自のルールを作成しています。これにより、これらのサーバ間で行われる通信がすべて実際にはESXサーバ内の仮想スイッチで行われるようになり、物理ネットワークスイッチ間でのトラフィックの伝送が不要になります。

Traffic through network switches

図3)メールボックス、ハブ/CAS、
Enterprise Vault、およびBlackBerry
サーバが常に同じESXサーバに存在
するため、ネットワークスイッチ経由の
トラフィックが減少します。

NetAppの利点
当社では、3 TBのストレージ容量を備えたNetApp FAS270ストレージシステムをバックエンドに使用しています。NetAppシステムの導入に際しては、当社のパートナーであるLong View Systemsの協力を得ました。この会社は400人以上の技術コンサルタントを擁し、カルガリー、エドモントン、バンクーバー、デンバー、ダラス、およびヒューストンに拠点を持つITサービスプロバイダです。当社がLong Viewと提携した理由は、技術的な専門知識を提供するだけでなく、当社のビジネス要件を分析したうえで、手頃な価格で管理しやすく、しかも将来的に拡張する場合まで考慮したソリューションを提案してくれるからです。

Microsoft® Exchangeのベストプラクティスでは、RAID 10(ストライピングおよびミラーリング)をバックエンドストレージで使用することが推奨されていますが、当社では2倍のストレージ容量を必要とするミラーリングはコスト的に高すぎると判断しました。NetAppのRAID-DP®を使用すると、耐障害性を損なわずに、Exchangeで要求される高度なI/Oパフォーマンスをはるかに低コストで実現することができます。実際、NetAppのDouble Parity RAID実装は、RAID 10よりも耐障害性に優れています。RAID-DPは、RAID 10と比べてデータ損失の可能性が163分の1、RAID 5と比べると4,000分の1です。(英語)



  RAID 5 RAID 10 RAID-DP
コスト
パフォーマンス
耐障害性

表2)RAID 5、RAID 10、およびNetApp RAID-DPの比較

当社のESXサーバでは、NetAppストレージシステムへの接続用にFibre Channel HBAを搭載しています。現時点ではFibre Channelを使用していますが、必要に応じて同じストレージシステム上にNASプロトコル(NFSまたはCIFS)およびiSCSIを追加できるようになっています。これは、NetAppアプローチの利点です。

NetAppストレージはExchangeおよびVMwareと緊密に統合できるため、管理者にとって非常に好都合です。私は最近、NetApp TechTalkにおいて、これらのテクノロジに関するさまざまなディスカッション(英語)に参加しました。そこでは、UBGでの成果について話し、NetAppおよびVMwareソリューションに関する多くの情報を得ることができました。

NetAppの統合型Snapshot™テクノロジを使用すると、バックアップ用にExchangeデータの一貫性のある「point-in-time」イメージを簡単にキャプチャできます。さらに、バックアップ処理をExchangeサーバではなくストレージシステムで行えます。

NetAppでは、基盤テクノロジとしてSnapshotを活用し、さまざまな関連サービスを開発しています。たとえば、NetApp SnapManager® for Exchangeを使用すると、Exchangeサーバとストレージ間の動作を調整し、一貫性のあるバックアップを迅速に作成できるようになります。NetApp SnapManager for Virtual Infrastructureは、稼働中のVMware仮想マシンのバックアップ用として同様の機能を提供します。これらの機能を活用すれば、バックアップ速度が非常に速く、ESXサーバには負荷がかからないため、1日あたりのバックアップ回数を増やすことができ、より強力なデータ保護を実現できます。

災害対策向けとして、NetApp Snapshotを基盤とするNetApp SnapMirror®テクノロジを使用すれば、リモートサイトへの非同期レプリケーションを可能にする、シンプルで信頼性の高いメカニズムを構築できます。他社製の多くのレプリケーションソリューションとは異なり、SnapMirrorでは、プライマリサイトとリモートサイトにそれぞれ異なるストレージインフラを使用できます。一方のサイトでFibre Channel HBAを使用し、もう一方のサイトでiSCSIを使用しても構いません。また、プライマリサイトでは高速でコストの高いFibre Channelディスクを使用し、DRサイトでは低コストのSATAディスクを使用することもできます。

NetApp SnapMirror provides flexible replication for virtualized environments

図4)NetApp SnapMirrorは、仮想環境向けの柔軟性に優れたレプリケーション機能を提供します。

NetAppは、(バックアップだけでなく)プライマリストレージにも使用できる重複排除テクノロジを提供しています。これにより、ブロックから重複コピーを排除し、ストレージ容量を減らすことができます。通常、仮想マシンはそれぞれほぼ同じであり、重複部分が大量に含まれているため、仮想環境でこのテクノロジを使用すると特に効果的です。プライマリサイト上での重複排除によって節約されたストレージ容量は、そのままDRサイトで使用できるため、全体的なストレージ容量の削減にもなります。

When NetApp deduplication is used at a primary site, the space savings are automatically passed on to the DR site

図5)NetApp重複排除機能をプライマリサイトで使用すると、節約されたストレージ容量をそのままDRサイトで使用できます。

NetAppはVMwareと密接に協力し、VMware Site Recovery Manager(SRM)にSnapMirrorの機能を組み込んでいます。SRMは、仮想環境における災害対策の計画、実装、およびテストを容易に実行できるようにするVMware製の新しいツールです(SRMでのNetAppとVMwareテクノロジの統合については、先月号の関連記事で詳しく説明されています)。

まとめ

当社では、Exchange 2007にVMwareおよびNetAppのテクノロジを統合したことで、多大な利点を享受できました。また、Exchange環境の仮想化により、これまでよりも優れた信頼性、柔軟性、およびパフォーマンスを実現できました。Vmotionを活用すれば、メンテナンスなどの必要に応じて仮想マシンを容易に移動できます。DRSでは、常にExchangeサーバのリソースを適切に確保できます。VMware HAでは、ESXサーバ全体に障害が発生した場合でも、Exchangeなどの重要なサービスを迅速にリスタートできます。

NetAppストレージはVMwareのさまざまな機能と非常に親和性があり、ミラーリングよりも低いコストで、より高度な信頼性を提供します。当社の環境ではまだ、この記事で説明したNetAppのすべての機能を実装しているわけではありませんが、NetAppソリューションには当社のニーズに柔軟に対応できるさまざまな選択肢があります。当社では2008年後半、NetApp SnapMirrorを使用してVMware SRMを実装し、ExchangeおよびCitrix環境の保護を強化することを真剣に検討しています。


Joe Jerebic Joe Jerebic
Unity Builders Group、情報システムマネージャー

急成長中の企業の情報システムマネージャーであるJoeは、VMwareで稼働するCitrixおよびExchangeのほか、Ciscoネットワークインフラ、ビジネス継続性、DRなど、ITインフラの大部分のメンテナンスとサポートを担当しています。UBGに入社する以前、JoeはVMwareの実装を専門とする大手IT企業の技術コンサルタントでした。彼はMicrosoft Certified Systems Engineer(MSCE)およびVMware Certified Professional(VCP)資格を取得しています。


関連情報