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VMware環境におけるExchange 2010

VMware®環境でMicrosoft® Exchange 2010を運用、といえば、その効果は言うまでもありません。以下のようなメリットが得られます。

  • プロセッサコアをより効率的に活用。大容量のマルチコアサーバが標準になってきていますが、ほとんどのアプリケーションが物理サーバのすべてのコアを活用できていません。
  • ハードウェアの追加コストなしでロールを分離。Exchange 2010は、モジュラアーキテクチャを採用しており、メールボックス、エッジトランスポート、ハブトランスポート、クライアントアクセスなどのサーバロールが独立しています。これらのロールを分離することで、Exchangeの問題をこれまでよりずっと簡単にトラブルシューティングできるようになりますが、多くの物理サーバが必要になります(特に小規模環境の場合)。
  • オーバープロビジョニングを回避。Exchangeの要件が今後どのように変化するかを予測するのは難しいものです。VMware環境でExchangeを運用すると、現在必要なリソースのみをプロビジョニングし、必要に応じてリソースを段階的に追加できるため、オーバープロビジョニングによる出費をあらかじめ防ぐことができます。
  • ビジネス要件の達成が容易。Exchangeを導入する場合、それぞれに固有の要件に応じて環境の設計が異なります。たとえば、部門やビジネスユニットごとに異なるメールボックスサーバが必要かどうかなどを検討する必要があります。仮想化を導入すれば、ハードウェアコストや物理サーバ数の増加を伴わずに、こうした要件を簡単に実現できます。
  • 新しいExchangeサーバのプロビジョニングを迅速化。物理サーバのプロビジョニングは、すでにハードウェアがある場合でも時間がかかります。VMware環境では、Exchangeサーバの種類ごとにテンプレートを簡単に作成し、保存できるため、将来同じ種類のサーバを迅速に導入できます。
  • Exchangeラボ環境を実現。Exchangeのテストやトラブルシューティングのために、ラボ環境を維持しておく必要がある場合、 VMwareの仮想環境は、Exchange 2010の評価プロセスやテストプロセスに最適な基盤となります。
  • テストやトラブルシューティング用のクローンを作成。Snapshot™コピーとクローンにより、トラブルシューティング用に特定のExchange仮想マシンを迅速にクローニングすることができます。

上記を含め、ほかにもさまざまなメリットがありますが、VMware環境でのExchangeの運用について会話をしていると、非常によく耳にする疑問の声がいくつかあります。本稿では最も一般的な懸念事項を取り上げ、VMwareとNetApp®環境でExchangeを運用する際のベストプラクティスをいくつかご紹介します。

サポートについて

Microsoftは競合する仮想化製品を提供しているため、サポートについての疑問がよく話題に上ります。Microsoftは最近、VMware製品向けのライセンスおよびサポートポリシーの2つの項目を変更し、長い間懸念されていたライセンス問題の多くに対応しています。

  • VMware Infrastructure / vSphere™上でExchange 2010を実行する場合のサポート:VMware ESX™ 3.5 Update 2は、ハイパーバイザーとして初めてMicrosoft Server Virtualization Validation Program(SVVP)に認定されました。この認定により、ESX 3.5 Update 2以降(vSphereを含む)、Windows® Server 2008、およびExchange Server 2007 SP1またはExchange 2010を運用しているお客様は、MicrosoftとVMwareが共同で提供しているテクニカルサポートを利用することができます。
  • アプリケーション・ライセンスのモビリティに関するポリシーの緩和:仮想環境でExchangeを使用する場合の対応を強化するため、MicrosoftはExchangeのライセンスポリシーを更新しました。アプリケーションのライセンスは引き続き物理サーバに割り当てられますが、Microsoftが90日あたり1回以上のアプリケーション・ライセンスの再割り当てを禁止する条項を削除したため、 ポリシーに準拠しながら、仮想環境で仮想マシンの移行や高可用性の確保が行えるようになります。

SVVPに加えて、Microsoft Services Premier Support Programを契約すれば、仮想化されたMicrosoftアプリケーションについて直接サポートを受けられます。また、使用するサーバのOEMベンダー、VMware Global Support Services(GSS)、Technical Support Alliance Network(TSANet)を通じてサポートを受けられる場合もあります。

サポートの詳細については、『Microsoft Exchange 2010 on VMware Support and Licensing Guide』(英語)をご参照ください。

VMware環境でのExchangeのパフォーマンスについて

パフォーマンスの測定結果

Exchangeなどのクリティカルなアプリケーションを物理サーバで運用した場合のパフォーマンスについては、皆さんご存知かと思いますが、仮想サーバで運用した場合のパフォーマンスに関しては、依然として懸念があるようです。Exchangeを仮想化する際に、パフォーマンス上の不測の事態を防ぐためには、VMwareとNetAppが行った徹底したパフォーマンステストの結果をご覧いただくことが最善の方法となります。パフォーマンステストのほとんどはExchange 2007で行われましたが、特にExchange 2010ではExchange 2007に比べてI / Oが大幅に削減されていることを考慮すると、Exchange 2007のパフォーマンスが十分であればExchange 2010のパフォーマンスにも満足できるはずです。

図1に、VMware環境でExchangeを運用した場合のパフォーマンスの概要を示します。ご覧いただくと分かるように、仮想サーバと物理サーバのパフォーマンスの差は常に5%以内です。ユーザ数が4,000人でも、CPUの負荷はわずか25%です。物理環境と仮想環境におけるヘビーユーザとCPUの数は、横軸に示されています。

図1)仮想環境および物理環境でのExchange 2007のパフォーマンスの概要

仮想環境および物理環境でのExchange 2007のパフォーマンスの概要

パフォーマンスの計測に関する詳細は、最近のVMwareのホワイトペーパー(英語)を参照してください。

VMwareのベストプラクティス

VMwareは、VMware環境でのExchangeの運用に関して多くのベストプラクティスを盛り込んだガイドを作成しています。以下に、ベストプラクティスの概要をまとめます。詳細については、『Microsoft Exchange 2010 on VMware Best Practices Guide』(英語)を参照してください。

仮想CPU(vCPU)に関するベストプラクティス

  • 仮想マシンに複数のvCPUを割り当てるのは、予測されるExchangeのワークロードが、すべてのvCPUを活用できると分かっている場合のみにします。
  • 正確なワークロードが不明な場合は、最初は少数のvCPUで仮想マシンを構成し、その後必要に応じて数を増やします。
  • パフォーマンスが重視されるExchange仮想マシン(本番用システムなど)の場合は、すべての仮想マシンに割り当てるvCPUの合計数が、ESXホストマシンの合計コア数以下になるようにします。

仮想メモリに関するベストプラクティス

  • 定常状態でのメモリの使用量が、サーバの物理メモリ量を下回っていることがvCenter™から報告されるまで、メモリをオーバーコミットしないようにします。
  • 仮想マシンの構成サイズにメモリ予約を設定します。これにより、仮想マシンごとのVMkernelスワップファイルがゼロバイトになります。メモリ予約を設定することにより、VMotion™の動作が制限されることがありますのでご注意ください。
  • 仮想マシンの構成メモリは、「正しいサイズ」に設定することが重要です。Exchange仮想マシンが構成済みメモリを使用しないと、メモリが無駄になります。
  • VMware Distributed Resource Scheduling(DRS)を有効にし、ESXクラスタ内のワークロードのバランスをとります。DRSとメモリ予約により、運用を最適に行うために必要なリソースが、重要なワークロードに割り当てられます。
  • ゲストOSのスワップを最小限に抑えるため、仮想マシンの構成メモリサイズは、ゲストで動作するExchangeの平均メモリ使用量よりも大きくする必要があります。Exchange仮想マシンのメモリおよびスワップ / ページファイル構成に関しては、Microsoftのガイドラインに従ってください。

ネットワーク関連のベストプラクティス

  • VMotion、FT Loggingトラフィック、ESXコンソールのアクセス管理に対して、それぞれ異なるNICやネットワークを割り当てるか、VLANタギングを使用します。
  • Exchangeの実働トラフィックに最低2枚のNICを割り当てて、NICのチーミング機能を活用します。通常、ESXホストごとに最低4枚のNICを割り当てます。
  • VMXNET3を使用します。VMXNET3は、VMwareツールと共にインストールされる準仮想化vNICであり、 VMXNET3は仮想環境に最適化されています。また、優れたパフォーマンスを実現するよう設計されています。
  • vSphereでVLANをサポートするには、仮想ネットワークまたは物理ネットワークでイーサネットフレームを802.1Qタグでタグ付けする必要があります。タグ付けには、Virtual Switch Tagging(VST;仮想スイッチによるタグ付け)、Virtual Machine Guest Tagging(VGT;仮想マシンのゲストによるタグ付け)、またはExternal Switch Tagging(EST;外部スイッチによるタグ付け)を使用します。最も一般的なのは、VSTモードです。
  • VMworld 2009 session TA2105:Virtual Networking Concepts and Best Practices(英語)のネットワーク設計ガイドラインに従ってください。このガイドラインでは、ESXホスト上の複数のネットワークとネットワークアダプタの冗長性を、効率的に管理する設計についても説明しています。

リソース管理とDRSに関するベストプラクティス

  • 移行元と移行先のESXホストは、同じギガビットネットワークおよび同じ共有ストレージに接続されている必要があります。
  • VMware VMotionには専用のギガビットネットワークを使用することを推奨します。
  • 移行先のホストには十分なリソースが必要です。
  • 仮想マシンで、CD ROMやフロッピーディスクなどの物理デバイスは使用しないでください。
  • 移行元と移行先のホストのCPUモデルには、互換性が必要です。互換性がない場合、VMware VMotionによる移行は失敗します。
  • ネットワーク・トラフィックを最小限に抑えるには、互いに通信する仮想マシン(メールボックス、GCなど)を同じホストマシンに格納するのが最適です。
  • メモリサイズの小さい仮想マシンのほうが、メモリサイズが大きい仮想マシンよりも、移行対象として適しています。

ストレージのベストプラクティス

  • Exchange仮想マシンを共有ストレージに展開し、VMotion、HA、DRSを利用できるようにします。
  • ストレージマルチパス:ESXサーバからストレージアレイには、最低4つのパスを設定します(最低2つのHBAポートが必要です)。
  • パーティションの調整を最適に行うために、VirtualCenterでVMFSファイルシステムを作成します。

NetAppストレージと使用した場合のパフォーマンスに関するベストプラクティス

NetAppは、上記のほかに、Exchange 2010とNetAppストレージを組み合わせて使用するためのベストプラクティスを作成しました。これらのベストプラクティスは、最近のTech OnTapの記事および詳細なテクニカルレポートに記載されており、NetAppのStorage Efficiency機能を活用する最適な方法が盛り込まれています。

たとえば、NetAppの重複排除機能とシンプロビジョニングを併用すると、Exchange 2010環境で40~60%のストレージ容量を削減できます。

最近行われたその他の調査では、NetAppストレージによりExchangeのパフォーマンスを最適化する方法に焦点を当てています。Microsoft Exchange 2010環境でベンチマーキングを行った結果、Flash Cacheを追加することでIOPSが2倍になり、サポート可能なメールボックス数が67%増加しました。このベンチマーキングの結果については、2010年9月に発行予定のTR-3865『Using Flash Cache for Exchange 2010』(英語)でご紹介します。

HAおよびDRの実現方法について

仮想環境では、Exchange 2010用の柔軟性の高いHigh Availability(HA;高可用性)とDisaster Recovery(DR;ディザスタリカバリ[災害復旧])構成を、はるかにシンプルかつ低コストで構築できます。あらゆるレベルにおいてより多くのデータ保護オプションがあり、柔軟性もより高くなります。

HAとDRを構成するにあたっては、Microsoftが、Exchange 2010の標準機能である耐障害性オプションに大幅な変更を加えた点をまず理解する必要があります。

Microsoftは、以前のバージョンのExchangeに搭載されていたサーバとデータの耐障害性オプションの代わりに、Database Availability Group(DAG;データベース可用性グループ)を実装しました。DAGは、Exchange 2007のCluster Continuous Replication(CCR;クラスタ連続レプリケーション)で使用されていたのと同じログ配布機能を使用しています。DAGは2~16のメールボックスサーバから構成されています。各メールボックスサーバでは、データベースのアクティブコピーまたはパッシブコピーを1つ以上保持できます。データベースは、それぞれ個別のステータスを持っているため、1つのサーバは複数のデータベースのコピーをホストし、それらのコピーの一部だけを一度にアクティブにすることができます。

DAGは、アクティブマネージャーというExchangeの新しいコンポーネントを使用しています。アクティブマネージャーは、フェイルオーバーやフェイルバックを実現します。障害(基盤となるストレージやストレージ接続に関する障害などを含む)が発生した場合、Exchange 2010は、データベースのコピーの1つをアクティブステータスに「昇格」させます。次にメールボックスロールが、このデータベース上でメールボックスを提供するタスクを開始します。フェイルオーバーは30秒以内に実行されます。

局所的な障害からの保護

VMwareは、局所的な障害が発生した場合にExchange 2010の可用性を保護する多くのメカニズムを提供しています。

  • VMware HAだけで、局所的なハードウェア障害によるシステム停止からの保護が実現します。
  • VMware環境でDAGを使用すると、ハードウェアとソフトウェア両方の障害からの保護が可能で、DAGのみの使用に比べて、データベースが保護されていない状態にある時間を短縮できます。

サイト全体の障害からの保護

VMwareは、サイト障害からの保護について、VMware Site Recovery Manager(SRM)とDAG機能を組み合わせて使用することを推奨しています。これは、DAGによって部分的なサイト保護を実現し、NetApp SnapMirror®などのストレージベースの複製機能によって、DRサイトとプライマリサイトを同期させるという方法です。NetApp SnapManager® for Exchangeでは、アプリケーションに対応した複製が可能なため、一貫性を保つことができます。DRサイトでリカバリが開始されると、SRMはリカバリプロセスを自動化し、高速化します。SRMを使用したMicrosoftアプリケーション(Exchangeを含む)のDRの詳細については、VMwareとNetAppの担当者が最近のTech OnTapラウンドテーブル・ディスカッション(英語)で説明しています。

図2)NetAppのSnapMirrorとSnapManagerソフトウェアを利用したSRMの複製アーキテクチャNetAppのSnapMirrorとSnapManagerソフトウェアを利用したSRMの複製アーキテクチャ

HAとDRを実現する上記およびその他の方法の詳細については、『Microsoft Exchange 2010 on VMware: Availability and Recovery Options』(英語)に記載されています。

NetAppのベストプラクティス

NetAppは、DAGを使用するExchange環境について、数多くのベストプラクティスを策定しています。

  • Microsoftは、メールボックス・データベースのそれぞれについて最低3つのコピーを作成するよう推奨しています。これは、二重ディスク障害などのストレージ障害によるデータ損失を最小限に抑えるためです。NetAppは、RAID-DP®を使用してExchange 2010をNetAppストレージに導入することを推奨しています。RAID-DP®を使用することで、メールボックス・データベースのコピーの数を抑えながら、二重ディスク障害を防止できます。コピーがRAID-DPにあるときは、それぞれのメールボックス・データベースについて2つずつコピーを作成することを推奨します。
  • それぞれのDAGコピーは最新の状態になっているため、バックアップの代わりにはなりません。Microsoftは、ポイントインタイム・リストアを可能にするため、14日間までさかのぼってポイントインタイム・リストアを実行できるようにする「ラグ」データベースのコピーを追加することを推奨しています。その代替手段として、NetAppではSnapManager for Exchangeを提供しています。SnapManager for Exchangeは、スペース効率に優れたSnapshot™コピーの作成と、どのポイントにもラグコピーなしでリストアできるポイントインタイム・リストアを可能にします。
  • アクティブコピー、パッシブコピー用のストレージの容量とパフォーマンスは同じである必要があります。
  • アクティブコピーとパッシブコピーは、別のボリュームに配置する必要があります。
  • パッシブノードの1つでバックアップを実行してください。

まとめ

Exchange 2010の採用率は高く、仮想化には多くの注目が集まっています。VMwareは、Exchange 2010の仮想化を成功させるために役立つ参照資料やその他のリソースを数多く作成しており、 そのすべてをこちらでご覧いただけます。キャパシティ・プランニング、サイジングなど、さまざまなトピックに関して多くの情報が公開されています。

VMwareはまた、NetAppなどの重要なパートナーと連携して、Exchangeソリューションのテストと開発にも積極的に取り組んでいます。Tech OnTapでは、ExchangeなどのMicrosoftアプリケーションの仮想化に焦点を当てた多くの最新記事を取り上げています (サイドバーをご覧ください)。NetAppのリソースはすべて、NetAppのExchangeページでご確認いただけます。


Scott Salyer氏

Scott Salyer氏
Microsoftソリューション担当リードアーキテクト
VMware

Salyer氏は、VMwareのソリューション・レディネス・グループに所属し、Microsoftエンタープライズ・アプリケーションの仮想化に関するベストプラクティスの作成に取り組んでいます。2007年5月にVMwareに入社し、VMwareのビジネス・クリティカル・アプリケーション関連のWebサイトに掲載されている、ExchangeおよびSQL Server®に関するホワイトペーパーの多くを執筆しています。VMwareに入社する以前は、プロフェッショナル・サービス・コンサルタントとして11年間にわたり顧客応対を行い、VMwareによる仮想化、Microsoftアプリケーション、ID / アクセス管理を中心としたソリューションの設計と導入に関して、大規模企業をサポートしていました。

 
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