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容量増加なしにボリュームを複製できる「仮想クローニング」

実データは1つのままで複数の独立したボリュームを作成

今回は「仮想ボリューム」を取り上げる。これは、ストレージ容量をほとんど消費せずにボリュームを複製する技術であり、ボリュームのスナップショットをベースにクローンボリュームを作成する。データ保護を目的とした技術ではないが、通常はアイドル状態のスナップショットを有効活用できるというメリットがある。

書き込み可能な複製ボリュームを作成できる「仮想クローニング」

「仮想クローニング」は、ボリューム複製技術の1つであり、ネットアップ製品では、ストレージ専用OS「Data ONTAP 7G」が搭載する仮想ボリューム「FlexVol」の拡張機能「FlexClone」として実装している。

この技術は、実際にストレージ容量を消費している実データは1つでありながら、複数の書き込み可能なクローンボリュームを作成でき、それぞれのクローンボリュームを独立したボリュームとして扱うことができるという特徴がある。

FlexCloneでは、仮想ボリュームもしくは別のクローンボリュームを親ボリュームとして新たなクローンボリュームを作成する。その際、スナップショット技術を応用して、親ボリュームとクローンボリュームとの差分データだけを保存することで、同内容のデータの重複保存を避ける。これにより、ストレージ容量の節約と同時に、ボリュームの複製処理に要する時間も数秒程度に抑えることができる(図1)。

一般的なボリューム複製技術と仮想クローニングとの違い
図1 一般的なボリューム複製技術と仮想クローニングとの違い

また、クローンボリュームは、独立した1つのボリュームとして扱うことができ、サーバやアプリケーションからは仮想ボリュームおよび物理ボリュームと同様の1つのボリュームとして認識される。加えて、機能面でも仮想ボリュームと同等であり、ボリュームの拡張や縮小を同じ手法で行うことができる。

スナップショットを応用したクローンボリュームの作成方法

FlexCloneでクローンボリュームを作成する際の最初の作業は、親ボリューム(仮想ボリューム、あるいは他のクローンボリューム)のスナップショットを用意することである(親ボリュームのスナップショットを用意しない場合は、クローン処理を進める中で自動的に作成される)。

 親ボリュームのスナップショットがクローンボリュームの本体になるわけだが、スナップショット単独ではデータの追加・更新ができない。そのため、別途書き込み可能領域を確保することになる。図2に、スナップショットと書き込み可能領域との関係を示した。この図のように、クローンボリュームの書き込み可能領域は「スナップショットの手前に配置される透過的なレイヤー」とイメージしてもらえばよい。

仮想ボリュームの構成例
図2 クローンボリュームにおけるスナップショットと書き込み領域の関係のイメージ図


阿部恵史
ネットアップ株式会社 マーケティング本部 ソリューションマーケティング部 部長
製造系企業の情報システム販社、外資系ITベンダーなどを経て2008年9月より現職。その間、企業の基幹系システムの設計・開発・導入、インターネット TV開発、UNIX系ハイエンドサーバ、クラスタシステムの導入コンサルティングなどを経験し、2002年よりマーケティング職に転身。現在もデータセンターインフラの仮想化・自動化およびグリッドソリューションを担当。

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