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クラウド時代に必要不可欠なストレージ・インフラとは
NetApp Cloud Storage Forum
“実効性のある、クラウドの姿を探る”

クラウドコンピューティングの波をリスクとするかチャンスとするか。クラウドは既に一部の特殊な用途だけのものではありません。今、求められているものは、そのメリットを引き出すための具体的なアイデアと行動です。
NetApp Cloud Storage Forumでは、クラウド時代に求められるデータマネジメントの姿を、エコシステムパートナー各社と共に、ご紹介します。

■開催日:2009年10月15日(木)
■開催場所:グランドプリンスホテル赤坂

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クラウド・コンピューティングへのIT支出総額が、2012年には少なくも3倍に増えると予測されている現在、クラウド・コンピューティングの潜在的なメリットについて、たびたび耳にする機会があります。新しいニーズが発生するたびに、既存のITインフラを拡大するのではなく、何らかのクラウド・サービスを採用するようになった企業もすでに見られます。

かつてない不況の影響から、企業では新しい業務モデルの導入が強く求められています。その一方で、テクノロジの成熟によって、実用的なソリューションが入手しやすい価格で市販されるようになってきています。効率性の向上、固定資産のコスト削減、激しく変化するビジネス要件に適応するための柔軟な拡張能力を考慮して、データセンターの「クラウド化」をすでに検討している企業もあるでしょう。ただし、実際問題として、どのような対策を講じるべきか(特にストレージに関して)は、まだ漠然としているのが現状ではないでしょうか。

この記事では、まずクラウド・コンピューティングの定義を示します。次に、クラウド・インフラのニーズに応じたストレージの各種要件について説明します。ここで言うクラウド・インフラは、社内ニーズ用にデータセンターで運用する「プライベート」クラウド、および外部向けに有料サービスを提供する「パブリック」クラウドの両方を指します。

クラウド・コンピューティングとは何か

いわゆる「クラウド」とは、広い意味で「IT as a Service」(ITaaS:サービスとしてのIT)を提供する能力を表します。技術的な観点からクラウドを定義し、アーキテクチャ・モデルや開発手順について具体的に示している例もありますが、最初の段階では、クラウドとはITaaSを提供するためのビジネス・モデルである、と考える方がより明解でしょう。クラウド・サービスは、クラウド・コンピューティングの最終的な成果物です。これは、図1に示す4つのカテゴリに分類されます。

図1)利用可能なクラウド・サービスの種類

図1)利用可能なクラウド・サービスの種類

クラウドには、特定の企業に直結するエコシステム(エンドユーザ、パートナー、顧客)だけが利用可能なプライベート・クラウドと、多少なりともすべてのインターネット利用者が利用できるパブリック・クラウドがあります。

図2)プライベート・クラウドとパブリック・クラウド

図2)プライベート・クラウドとパブリック・クラウド

クラウド・コンピューティング用のストレージ・インフラ

パブリック・クラウドでもプライベート・クラウドでも、成功への鍵は、どんなクラウド・サービスであろうと可能な限り効率よく配信できる、適切なインフラを作成することです。プライベート・クラウドの場合、広範囲に及ぶさまざまなアプリケーションをサポートする必要があると考えられます。したがって、必要に応じて各アプリケーションに、リソースを柔軟に割り当てることが可能なインフラの作成が目標になります。

すでにご承知のとおり、コンピューティングについては、サーバ仮想化によってクラウド・サービスに適したインフラが提供されます。サーバ仮想化では、ニーズの変化に応じて、コンピュート・リソースの効率的なパーティショニング、迅速な割り当て、拡大、縮小、割り当て解除が可能だからです。急速に成熟しつつある各種の管理サービスも、スピードと柔軟性に加えて、可用性の向上に貢献します。

一方、クラウド・コンピューティング用の効率的なストレージ・インフラの作成方法については、今のところ、はるかに少ない情報しか伝わっていません。実際、2009年4月開催のStorage Networking Worldで、クラウド・ストレージに特化した初のワークグループ「StorageNetworking Industry Association(SNIA)」の発足が発表(英語)されたばかりです。このワークグループの目的は、「クラウド・ストレージ用のシステム規格およびインターフェイスの特定、開発、調整」です。

クラウド・ストレージに関しては、承認済みの規格や事実上の標準が存在しません。そのため、新旧を問わず既存のストレージ・ソリューションのうち、どれが適しているかを判断する際には、いくつかの条件を考慮する必要があります。

  • 柔軟な拡張能力のあるストレージ:仮想化サーバと同じように、ストレージの割り当て、拡大、縮小、割り当て解除を、スピーディかつ最小限のオーバーヘッドで実行できる必要があります。
  • ストレージ管理プロセスの自動化:プロビジョニング、バックアップ、レプリケーションといった定常的な操作を、自動的に実行できる能力が高いほど、環境の拡張性が高まります。
  • 使用量の計測とレポートが可能:クラウド・サービスを実装するには、サービスを利用する各ユーザに必要なリソース量を把握するとともに、実際の使用量に関するレポート機能のほか、リソース使用量に基づく課金機能もいずれ必要になります。
  • データの自由な移動が可能:データが特定のストレージに固定的に結び付いたままでは、効率性と可用性が損なわれます。
  • リソースの高度なセキュリティを保証し、マルチテナント制を確立できる能力:複数のビジネス・ユニットや個別の団体が、同じストレージ・ハードウェアを共有できる能力は、効率的なクラウド・ストレージに不可欠な条件です。
  • ストレージ効率の向上が可能:最初のステップは、利用率の向上です。その後のステップとして、オーバーヘッドの削減、シン・プロビジョニング、冗長性の排除によって、効率性を高めることができます。
  • データの効率的な保護:クラウドを成功に導く鍵は、プロセスをシンプルに保ちつつ反復性と効率性を確保しながら、すべてのプロセスを統合することです。提供する全サービスについて、適切なポリシーレベルでの一貫したデータ保護と災害復旧プロセスが必要不可欠です。
  • 単一のネットワーク・ファブリックですべてに対応:Fibre Channel over Ethernet(FCoE)の出現により、SANおよびLANを1つのイーサネット・ファブリックに統合することで、コストの削減と柔軟性の向上が可能になっています。
  • サーバ仮想化をサポートするストレージ環境:サーバ仮想化がクラウド・インフラの重要コンポーネントになると仮定すると、現在使用中の仮想化ソリューション、または今後採用する可能性のある仮想化ソリューションに、緊密に統合するストレージが必要です。

今、何をしておくべきか

既存のデータセンターをクラウド・モデルに進化させることを検討中の企業では、まず次の作業からスタートするとよいでしょう。

  • 最新のITハードウェアの密度および電力要件に対応するように、データセンター設計の見直しを行います。
  • 仮想化にスムーズに対応するため、アプリケーションが動的に移動可能になるよう、ラック、配線設備、ネットワーク・インフラを再設計します。既存のデータセンターでは一般に、保安上の理由から、重要ビジネス・アプリケーションがボックスに収容されています。
  • サーバ(と、可能であればデスクトップ)、ネットワーク、ストレージのすべてを仮想化します。

サーバ仮想化と同じメリットをもたらす仮想化ストレージ環境への移行を検討する場合、前のセクションで示したガイドラインに照らし合わせて、ストレージを評価することが重要です。

クラウドに対応するNetAppストレージ

NetApp®データ管理ソリューションはすでに、TelstraSensis(英語)など、広範囲に及ぶパブリックおよびプライベート・クラウド環境に導入されています。

この経験に基づいて、NetAppはクラウドという新しいニーズに対応し、前述のガイドラインに適合する完全なフィーチャ・セットを提供するよう、製品の継続的な改良に取り組んでいます。

柔軟な拡張能力:NetAppのフレキシブル・ボリューム・テクノロジ(FlexVol®)は、基盤となるディスクから、ストレージ・ボリュームを抽象化します。すべてのストレージ・コンテナ(LUNまたはボリューム)が、サイズに関わらず、多数のディスクに自動的に分散され、最適なパフォーマンスを提供するとともに、中断のない拡大と縮小が可能です。

NetAppはすでに、共有ストレージ環境向けに数十ペタバイトものストレージ導入実績があります。これらの環境では、ニーズが変化するたびに、お客様が日常的にボリュームの拡大と縮小を行っています。

ストレージ・プロセスの自動化:NetAppではストレージを自動化するため、データ保護などのストレージ操作を簡単に実行できる管理製品スイートを提供しています。

  • NetApp Provisioning Managerを使用すると、お客様が定義したポリシーに基づいて、反復可能な自動プロビジョニング・プロセスを作成できます。キャパシティ利用率、ポリシーの順守状況、スペース管理用の統計情報など、さまざまなメトリックを、ダッシュボードで一目で把握し監視することができます。
  • NetApp Protection Managerは、自動的なデータ保護とレプリケーションに特化して、Provisioning Managerと同様の機能を提供します。
  • NetApp SANscreen®は、ストレージ環境全体について、サービス別にリアルタイム、マルチベンダー、マルチプロトコルのビューを提供します。
  • NetApp SnapManager® 製品スイートは、NetAppストレージの機能を拡張し、Oracle®、SAP®、Exchange、Microsoft® SQL Server®、Microsoft SharePoint®といった定評あるアプリケーションとの統合を可能にします。

使用量の監視とチャージバック:SANscreenを使用すると、エンドツーエンドのストレージ・インフラがビジネス・サービスと自動的に紐付けられ、サービス・レベル・アグリーメント(SLA)の監視、使用量の計測によるコスト認識とチャージバック、全リソースを最適に利用するためのプロアクティブなキャパシティ管理が可能になります。Provisioning Managerにも、チャージバック機能が付属しています。

データの自由な移動:NetAppは、データを保護する際の効率的なデータの移動に関して、NetApp SnapMirror®またはSnapVault®ソフトウェア、NDMPなどで、長年にわたる実績があります。NetAppは引き続きVMwareなどの仮想化パートナーと可能な限り協力し、データ移動のさらなる効率化に取り組んでいます。クラウド・インフラではデータの移動が重要要因として認識されているので、NetAppはこの分野に特に注力しています。

マルチテナント:従来、ストレージの分離とセキュリティを最大限に確保する方法は、独立したハードウェアの使用でした。プライベート・クラウドでもパブリック・クラウドでも、効率性を犠牲にせずに、同様のセキュリティを確保することが要求されます。NetApp MultiStore®ソフトウェアを使用すると、1つのストレージ・システムに、複数の独立した完全にプライベートな論理パーティションを作成できます。したがって、プライバシーやセキュリティを危殆化させずに、ストレージの共有が可能になります。

図3)1つの物理ストレージ・システム上で、複数の顧客向けにそれぞれ1つずつの「仮想ストレージ・コントローラ」を割り当てます。それぞれの仮想コントローラを使用して、物理ストレージ・システムと同じように、複数の仮想マシンの保存または管理や、その他のストレージ・ニーズに対応できます。

図3)1つの物理ストレージ・システム上で、複数の顧客向けにそれぞれ1つずつの「仮想ストレージ・コントローラ」を割り当てます。それぞれの仮想コントローラを使用して、物理ストレージ・システムと同じように、複数の仮想マシンの保存または管理や、その他のストレージ・ニーズに対応できます。

MultiStoreを使用すると、定義された境界に基づいて、ストレージのプロビジョニング、移動、保護が可能になります。仮想ストレージ・コンテナごとに、クラウド・サービスの特定のアプリケーションまたはクライアントに対応する、適切なポリシーを適用できます。

ストレージ効率:ストレージ効率を上げることで、必要なストレージ総容量の大幅な削減、ひいては電力、冷却、スペースの節約が可能になります。業界平均のストレージ利用率は30%程度ですが、NetApp製品をご使用のお客様は、NetApp FlexVolテクノロジによる柔軟なプロビジョニングを利用して、60%以上のストレージ利用率をごく普通に達成しています。NetAppはその他にも、ストレージ利用率をさらに高める、広範囲のテクノロジを提供しています(表1を参照)。

テクノロジ利点
デュアルパリティRAIDRAID-DP®のダブルパリティ保護機能によって、一度に2台のディスク障害が発生するケースにも対応可能。データ・ミラーリングよりも46%多くのデータが保護されます。
NetAppデデュープリケーション
(重複排除)
NetApp重複排除機能は、重複データをブロック・レベルで識別して排除します。スペース節約効果は、一般的なデータ・セットでは25~55%、ディスクに保存されたフル・バックアップでは最大95%、仮想サーバとデスクトップ環境では70~95%、エンジニアリング環境では最大70%です。
シン・プロビジョニングNetAppシン・プロビジョニングを使用する場合、ストレージは共有リソースとして取り扱われ、必要な場合にしかキャパシティが消費されません。シン・プロビジョニングによって、ストレージ所要量を20~30%削減できます。仮想サーバ環境向けに拡張されたシン・プロビジョニング機能を提供するため、NetAppはVMwareとの密接な共同開発に取り組んでいます
SnapshotテクノロジNetAppは、スペース効率に優れた、中断を引き起こさないSnapshot™テクノロジを提供しています。NetApp Snapshotテクノロジは、競合他社製品に比べて最大80%高いスペース節約効果を達成します。
シン・レプリケーションレプリケーションは、事業継続を確保するための効果的な方法の1つです。NetApp SnapMirrorおよびSnapVaultソフトウェアは、最初のベースライン転送以後は、増分ブロック転送(シン・トランスファ)だけを実行します。その結果、帯域幅が節約され、ディスクベースのバックアップに必要なストレージ容量が減少します。複製元ボリュームが重複排除されていれば、ターゲット・ボリュームにも同じスペース節約効果が波及します。また、複製元とターゲットのストレージ・システムは、機種や構成が同じでなくても構いません。
クローニングNetApp FlexClone®テクノロジを使用すると、データ・セットの「仮想コピー」がわずか数秒で作成され、余分にストレージ・スペースが消費されるのは、クローンが変更された場合に限られます。したがって、同じOSのコピーを数多く維持する仮想環境には理想的なテクノロジです。80%ものスペース節約効果を期待できます。

表1)NetAppの効率性テクノロジ

統合型のデータ保護とDR:NetAppは、前述した各種テクノロジ(Snapshot、SnapVault、SnapMirror、SnapManagerスイート、Protection Manager)に基づいて、完全に統合された総合的なデータ保護と災害対策を提供します。これらのテクノロジは、サーバにかかっていたデータ保護の負荷をストレージヘオフロード(移行)するとともに、すべてのアプリケーション・サービスで一貫したデータ保護アプローチを実施します。

ユニファイド・ファブリック:FCoEの出現によって、ストレージとネットワーキングに関するあらゆるニーズに対応する1つのイーサネット・ファブリックに、データセンターを移行することが可能になっています。ただし、現実問題としては、ある程度の移行期間が必要になり、ネイティブのファイバチャネル(FC)、FCoE、およびイーサネット・ストレージをサポートすることになるでしょう。

NetAppはイーサネット・ストレージの第一人者であり、最初はNASの開拓者としてスタートし、その後は他社に先駆けてiSCSIを提唱しました。NetAppは現在、FCoEをネイティブでサポートする唯一のベンダーとなっていますが、これは、すべてのNetApp製プラットフォームでFC、iSCSI、NASを同時に提供するNetAppユニファイド・ストレージ・アプローチなら当然のことです。NetAppはFCoEをサポートすることで、FC SANをご使用のお客様が、無理なくユニファイド・ファブリックに移行するためのパスを提供します。

サーバ仮想化のサポート:このセクションで説明したすべての項目を組み合わせると、NetAppストレージは、仮想化サーバ環境における有力なオプションとなります。それだけでなく、NetAppストレージはVMware®CitrixXenServerMicrosoftHyper-V™など、あらゆる仮想化ソリューションに緊密に統合します。NetApp重複排除またはNetAppFlexCloneテクノロジは、同じOSソフトウェアの何十ものコピーを保存する場合に生じるストレージ負荷を取り除くことができるのです

まとめ

クラウド・コンピューティングは、すでに起こりつつある現実の問題です。先見性のある企業では、コア以外のIT機能に、クラウド・サービスの利用を開始しています。また、社内のITインフラも、よりクラウドに近い形への変革が始まっており、コストの削減と同時に、サービス配信の効率性と柔軟性の向上が重要課題となっています。

クラウド・コンピューティング・インフラのニーズを満たすストレージには、いくつもの固有の条件が要求されます。効率的なクラウド・インフラを作成するには、今の段階で、ストレージの拡張能力、自動化、データの移動、マルチテナント、スペース効率、仮想化のサポートといった問題に集中的に取り組む必要があります。


Silvano GaiJeff O'Neal
データセンター・ソリューション担当シニアディレクタ、NetApp

Jeffとそのチームは、あらゆるNetAppデータセンター・ソリューションの市場戦略とアライアンスを担当しています。具体的には、コア・システム、データセンター・ネットワーキング、マネージャビリティおよびデータセンター自動化ソフトウェア、ダイナミック・データセンターおよびクラウド・コンピューティング・ソリューションが含まれます。


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