NetApp Tech OnTap
株式会社CHINTAI
NetApp FASシステムとOracle RACの組み合わせによって、
新世代のデータベース基盤を構築

全国規模で賃貸物件紹介サービスを手がける株式会社CHINTAI

株式会社CHINTAIは、日本で最も老舗となる賃貸住宅情報誌「CHINTAI」を手がけている不動産関連企業だ。インターネットが一般個人にも注目され始めた黎明期には、次世代の情報伝達手段としてインターネットの先進性にいち早く着目し、1996年には一般個人向けの賃貸物件紹介サイト「CHINTAIネット」をスタートさせている。また、その3年後には、携帯電話などによるモバイルアクセスもサポートし、現在では紙媒体とネット媒体の両輪で同社の中核となるビジネスを展開している。

今回、CHINTAI は、不動産会社物件発信システムと賃貸物件紹介サイトの双方を支えているデータベース基盤向けのストレージシステムとして、NetApp FAS(Fablic-Attached Storage)システムを採用した。

当初の予想をはるかに上回る勢いで急成長したインターネット

CHINTAI の不動産会社物件発信システム(CRS) と賃貸物件紹介サイト(CHINTAIネット)を支えていた従来のデータベースシステムは、多数のデータベース(DB)サーバを横一列に並べた並列型のシステムだった。各DBサーバが個別にストレージ(DAS)を持ち、その中には共通の物件データベースが格納されていた。CRSを通じて登録された物件情報は、複数のDBサーバにそれぞれコピーされ、反映される形をとっていた。

全国規模で新しいTVCMが放映されたときや、年末から春にかけての引っ越しシーズンでは、CHINTAIネットへのアクセス数が一気に急増する。同社のシステムは、各種ハードウェアの増設によって処理性能を高めていける仕様だったことから、当初はハードウェアを順次拡張していきながら顧客のニーズに合わせたシステム改良を進めてきた。

株式会社CHINTAI メディア事業部 インターネット本部 本部長 竹内 慶直 様

「当社は、インターネットの先進性をいち早く察知し、業界に先駆けて賃貸物件紹介サイト『CHINTAIネット』をスタートさせました。まずは、サービスそのものを迅速に立ち上げることを目的として、バックボーンシステム自体をスモールスタートさせたという背景があります。しかし、当初の予想をはるかに上回る勢いでサービスが成長していったため、当社側のシステムを抜本的に改良すべき時期がすぐに訪れました。」

「裏を返せば、ネット媒体というものが、消費者にとって情報伝達のマジョリティになったことを示した証拠ともいえます。当初は、ダイヤルアップ接続でインターネットに接続していたものが、近年ではブロードバンド回線による常時接続が当たり前の時代となっています。それが、システムにとっても大きな転換期となりました。お客様からのアクセスが急増したのはもちろんのこと、画面に表示される物件情報も単なる文字ベースのものから文字と写真の組み合わせたリッチなコンテンツへと変化していきました。CRSを利用する不動産会社様の数も順調に伸び、2008年時点で全国2,351店舗に達しています。今後、お客様によりよい環境でサービスを活用していただくためには、やはりバックボーンとなるシステム基盤を新たに構築し直すべきだと判断したのです。(以上、竹内様)」

当時のピークアクセスに対して4倍のキャパシティを持つシステムを構築

今回、新たに構築したCHINTAIのデータベース基盤は、入れ替えを検討した2006年当時のアクセスピーク時に対して、その4倍のアクセスにも耐えられるもの、そして不動産会社数とその発信物件の数が急増しても優れたアクセスレスポンスを維持できるものを想定してシステム全体が設計された。また、将来的にアクセス数がさらに増大していっても、そのシステム規模を柔軟かつ迅速に拡張していけるような構成がとられた。

同社のデータベース基盤は、こうしたいくつかの要件を満たすためにマスターとフロントという2つのセグメントに分割されている。マスター側セグメントは、不動産会社が利用するCRS用として割り当てられたものだ。CRSのユーザインタフェースを通じて入力された物件情報は、マスター側DBサーバクラスタ(LinuxとOracle RACの組み合わせ)が一括して管理している。マスター側DBサーバクラスタ向けのストレージシステムには、NetApp FAS3020Cのクラスタ構成が採用されており、ここには物件の各種情報や写真データなどが保管される。データの信頼性が何よりも求められるマスター側では、NetApp SnapMirrorによるデータのミラーリングに加え、定期的なテープバックアップも実施されている。なお、DBサーバクラスタとストレージ間は、NFS(Network File System)経由でデータをやり取りするDB on NASの構成がとられている。

マスター側セグメントに保管されている物件情報は、フロント側セグメントにも同時に反映される。フロント側セグメントは、一般の顧客がPCや携帯電話を通じてアクセスするCHINTAIネット用として割り当てられたものだ。CHINTAIネットには非常に多くのユーザーが同時にアクセスすることから、多数のWebおよびアプリケーションサーバ向けのDBサーバ群として、複数セットのフロント側DBサーバクラスタが設置されている。また、マスター側DBサーバクラスタから複数セットのフロント側DBサーバクラスタに対して一斉に物件情報の更新がかかるため、各DB サーバでデータの整合性は常に保証される。

フロント側DBサーバクラスタが使用するストレージシステムには、NetApp FAS3040Aのアクティブ・アクティブ構成が採用されている。ここでは、2セットのフロント側DBサーバクラスタに対して1セットのNetApp FAS3040Aを割り当て、その中にDBサーバクラスタごとの独立したDB情報(Oracle RAC向けの論理ボリューム)が格納される。こうすることで、フロント側DBサーバクラスタのトランザクション処理性能を最大限に引き出している。また、DBサーバクラスタごとに独立したDB情報を持たせることで、一部のDBサーバクラスタに障害が発生しても、残りのDBサーバクラスタには影響を与えない。このように、データベース基盤全体の処理性能と耐障害性を両立させる上で、複数セットのDBサーバクラスタとNetApp FASシステムのクラスタ構成による組み合わせが不可欠だった。

「今回、各DBサーバクラスタ向けのストレージシステムとしてNetApp FASシステムを採用した理由は、システムインテグレータとして作業を依頼した伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が、Linux、Oracle RAC、NetApp FASシステムを組み合わせたデータベース統合基盤ソリューション『DB Pool』を提供していたからです。このDB Poolの考え方をもとにしながら当社の次世代データベース基盤を構築することで、システム全体のコスト対性能比や柔軟性などを最大化できると考えました。(竹内様)」

株式会社CHINTAIのシステム構成

システム全体の優れたアクセスレスポンスが顧客満足度の向上につながる

今回、データベース基盤を新たに構築し直したことで、CRSとCHINTAIネットの双方でサービス品質の大きな改善が図られている。TVCMを大々的に放送したときや引っ越しシーズンなど、物件紹介の需要が急増するタイミングであっても、常に短時間のターンアラウンドタイムを維持できるようになったからだ。

“賃貸物件紹介サイトの検索を2秒以内に短縮し、将来的なサービス拡充も
容易なシステム設計としました”

「当社が内部的に実施したテスト結果によれば、CRSとCHINTAIネットともに非常に優れたレスポンスを実現しています。データベース基盤の再構築に伴い、物件ごとに表示できる写真の枚数を3枚にまで増やしましたが、それでも以前よりスピーディーに情報が表示されるようになりました。当社では、一般のお客様からアクセスした場合に、検索を開始してから2秒以内で物件情報が呼び出せることを目標としていますが、これもすでにクリアしています。当社が古くから手がけている賃貸住宅情報誌『CHINTAI』は、本をぱっと開けばすぐに物件情報が目に飛び込んできます。本来、情報とはそれくらいスピーディーに閲覧できなければならないものなのです。今回、データベース基盤を再構築したことで、PCや携帯電話からアクセスするWebサイト版も、本ならではの迅速な閲覧性にかなり近づいたのではないでしょうか。」

「また、CRSに関しては、このシステムを利用されている不動産会社様からさまざまなフィードバックをお受けしています。営業スタッフを通じてサービス品質についても定期的にお話を伺っていますが、レスポンスの改善については多くの不動産会社様からお褒めの言葉をちょうだいしています。不動産会社様が登録する物件数が増え、その充実した物件情報を閲覧する個人のお客様が増え、それが牽引力となってCRSを利用する不動産会社様が増え、物件情報がさらに充実し、一般のお客様にもさらなるメリットがもたらされる…そういった『正の連鎖』がすでに起こり始めています。(以上、竹内様)」

将来的なサービス拡充にも大きく貢献する新世代のデータベース基盤

今回、CHINTAIが新たに構築したデータベース基盤は、今後さらに増加が見込まれる登録物件数やアクセス数に耐えられるだけでなく、サービスそのものの拡充にも貢献していく。竹内様は、これからのCHINTAIに新しい価値を創造するアイディアやサービス拡充プランをすでに多数したためているという。しかし、従来のシステムでは、それを具現化できるだけのキャパシティがなかったために、実際のサービスとして落とし込むまでには至らなかった。だからこそ、CHINTAIの次世代サービスを展開していく上で新しいデータベース基盤には大きな期待を寄せている。

「現在稼働している当社のデータベース基盤では、物件の登録数が今後急増するようであれば、そのデータ増加に耐えられるようにNetApp FASシステムのディスク容量を拡張していけばよいでしょう。アクセス数が急増していくようであれば、DBサーバクラスタのノード数を増やしたり、NetApp FASシステムのコントローラを増やしたりすることで、データベースの膨大なトランザクションを処理できるだけのアクセス性能を素早く確保できます。つまり、今回構築したデータベース基盤は、物件を登録する不動産会社様やその物件をご覧になる個人のお客様がどれくらい増えようとも、現在展開しているサービスをそのままのクオリティで維持できるだけの拡張性を備えているわけです。」

“当社の基幹ビジネスを『サスティナブル』なものとする上でNetApp FASシステムが
さらに重要な役割を果たすでしょう”

「しかし、当社は現状と同等レベルのサービスをこれからも展開していくつもりはありません。数多くのお客様にサービスを提供させていただく以上、やはりそのサービス品質をいかに高めていくかが重要になります。つまり、これから長期的な視点に立てば、サービス品質をさらに高めていかなければならないのです。私自身、そのためのアプローチとしていくつかのプランを練っているのですが、まずはモバイル関連のサービス強化から着手していこうと思っています。今や誰もが所有している携帯電話は、当社の物件情報に素早くアクセスできるデバイスとしてたいへん注目すべき存在です。だからこそ、携帯電話からさらに効率よく、そして的確に物件情報を閲覧していただけるように、ユーザインタフェースの改善を図っていきます。」

「さらに、個人のお客様に『提案型』のサービスを提供することも大きな目標に掲げています。現在の賃貸物件紹介サービスは、登録された大量の物件をいくつかの条件によって絞り込んでいき、そこで抽出された物件情報をそのままご提供するというものです。しかし、今後はもっとお客様にあった物件を当社の側からご紹介できるようなサービスが求められます。将来的には、お客様のコンサルティングを行い、そのコンサルティング結果から最適な物件をご紹介できるような仕組みを構築していきたいと考えています。賃貸物件の紹介という当社の基幹ビジネスを『サスティナブル(持続可能)』な形で発展させていく上で、今回構築したデータベース基盤、そして中核となるNetApp FASシステムは、これからいっそう重要な役割を果たすことになるでしょう。(以上、竹内様)」



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