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Back to Basics:SnapMirror
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本稿では、NetAppの代表的なテクノロジの基礎を解説するBack to Basicsシリーズの第4弾をお届けします。

NetApp® SnapMirror®ソフトウェアは、レプリケーションやディザスタリカバリ(DR;災害復旧)に最適なテクノロジです。他のDRソリューションと比べて効率的かつシンプルで、コストも低く抑えることができるため、長年にわたりさまざまなNetAppストレージ環境で使用されています。NetAppはこれまで、さまざまな新機能を実装することでSnapMirrorの強化に取り組んできました。これらの新機能を使用すると、さらに広範な要件への対応が可能になり、ネットワーク帯域幅の使用効率を高めることができます。

NetApp SnapMirror

図1)NetApp SnapMirror

SnapMirrorテクノロジには、次のような大きなメリットがあります。

  • 効率性:ブロック単位での更新が可能なため、ネットワーク帯域幅と時間に関する要件を緩和できます。Data ONTAP® 7.3.2以降、Volume SnapMirrorにはネットワーク圧縮機能も標準で備わっているため、帯域幅関連コストのさらなる削減が可能です
  • 柔軟性:異なるNetAppストレージシステム間でデータをレプリケートできます。非同期モードでは、
    1対1、1対多、多対1、多対多のレプリケーション・トポロジがサポートされています
  • 生産性の向上:SnapMirrorとNetApp FlexClone®を併用すると、DR環境内のデータを開発 / テスト、データマイニングなどの目的に使用できます
  • 一貫性:NetApp SnapManager®スイートと統合されているため、アプリケーションデータをレプリケートする場合に、一貫性が完全に維持され、リカバリ時間が短縮されます
  • 安全性:DR計画をテストする際に、業務や進行中のレプリケーション作業に影響が及ぶことはありません。そのため、テスト回数を増やして、災害発生時に異常が発生しないように備えることができます。また、アプリケーションデータを破損から保護するために、DRサイトに複数のSnapshot®コピーを保存しておくことができます。こうすることで、データが破損する前の時点にすばやく、簡単にリストアできます

SnapMirrorにはVolumeとqtreeの2つの機能モードがあります。通常推奨されるモードはVolume SnapMirrorです。Volume SnapMirrorの方が普及しているため、SnapManagerスイート製品との統合を含む開発作業では、多くの場合Volume SnapMirrorに重点が置かれました。そのため、Volume SnapMirrorの方が柔軟性と効率性に優れています。今月号のBack to Basicsでは、Volume SnapMirrorテクノロジの仕組み、最も一般的な使用事例、SnapMirrorを実装するにあたってのベストプラクティスなどについて解説します。

Data ONTAP環境でのVolume SnapMirrorの仕組み

Volume SnapMirrorは物理ブロックレベルで動作し、すべてのSnapshotコピーを含むボリューム全体のコンテンツと、ボリュームのすべての属性を、ソース(プライマリ)ボリュームからターゲット(セカンダリ)ボリュームにそのままレプリケートします。そのため、ターゲット側のストレージシステムでは、ソース側と同じか、それ以降のメジャーバージョンのData ONTAPを使用しなければなりません。また、プライマリシステムで重複排除機能やNetAppデータ圧縮機能(Data ONTAP 8.0.1にて追加)を実行している場合は、受信側のボリュームでも重複排除の効果がそのまま継承されます。これは、ボリュームがまったく同様の状態でレプリケートされるためです。そのため、WANで使用される帯域幅も同様に削減されます。

Volume SnapMirrorでは、まずベースラインコピーが作成されます。ベースラインコピーとは、ボリューム内のすべてのデータをソースからターゲットへとレプリケートしたものです。ベースラインコピーが作成された後は、定期的にレプリケーション処理が行われます。必要に応じて、ターゲットを書き込み可能に設定することができます。つまり、ソース(プライマリ)システムに影響を及ぼす障害が生じた場合には、業務をターゲットシステムにフェイルオーバーし、ターゲットシステムへの書き込みを開始できます。障害が解消されたら、コピーデータの差分を再同期してソースシステムにフェイルバックし、通常の業務を再開できます。この機能は、ディスクツーディスク・バックアップを主な目的とするNetApp SnapVault®と最も大きく異なる点です。

表1)非同期のVolume SnapMirrorとqtree SnapMirrorの主な違い

非同期のVolume SnapMirrorとqtree SnapMirrorの違い
  • Volume SnapMirrorでは、ソースとターゲットで同じ数のSnapshotコピーが維持される
  • Volume SnapMirrorはNetApp SnapManagerスイートやSnapDrive®と統合されている
  • ソースボリュームからターゲットボリュームに、重複排除によるストレージ削減量が継承される。ソースシステムでの重複排除によってネットワーク帯域幅に関する要件も軽減される
  • Volume SnapMirrorは、ファイル数やディレクトリ数などのデータセット特性の影響を受けない
  • Volume SnapMirrorではマルチホップ構成やカスケード構成がサポートされる
  • ネットワーク圧縮機能は、通常Volume SnapMirrorでのみサポートされる

Volume SnapMirrorは非同期、半同期、同期のレプリケーションをサポートします。最も一般的に使用されるのは、非同期レプリケーションです。

非同期モードでは、ボリュームのSnapshotコピーがソースシステムで定期的に作成されます。前回のレプリケーション処理後に変更 / 新規作成されたブロックのみが、ターゲットに転送されるため、ストレージシステムのオーバーヘッドとネットワークの帯域幅の観点から見ると、非常に効率的です。

同期モードでは、ソースのデータが更新された瞬間に、新しいデータがターゲットに転送されます。スケジュールは事前に設定しません。そのため、ソースシステム全体に障害が発生した場合でも、ソースシステムに書き込まれたデータがターゲットシステムで保護されます。また、NVLOG転送、整合ポイント(CP)転送によって、ターゲットシステムが最新の状態に保たれます。NVLOG転送機能を使用すると、通常NVRAMにキャッシュされるNetAppストレージ上の書き込みログのデータを、ターゲットと同期できます。整合ポイント転送を使用すると、ディスク上のファイルシステム・イメージが常に同期された状態になります。

半同期モードは、2つの点において同期モードと異なっています。ソースシステムにデータが書き込まれた場合、ターゲットシステムからの確認応答を待機せずにデータをコミットし、確認応答を得ることができます。また、NVLOG転送は使用されません。この2つの相違点により、アプリケーションの応答時間が短縮され、実現可能なRecovery Point Objective(RPO;目標復旧時点)の観点から見ても、影響はわずかで済みます。

Data ONTAP 7.3.2より、SnapMirrorにネットワーク圧縮機能が追加されました。SnapMirrorのネットワーク圧縮機能を使用すると、ネットワークを移動中のデータのみが圧縮されます。ソースシステムとターゲットシステム上のデータは、圧縮されません。圧縮機能を有効にすると、次の2つの手順が追加で実行されます。

  • ソースシステムでの圧縮
  • ターゲットシステムでの解凍

レプリケートする必要があるデータブロックがソースシステムから圧縮エンジンに渡されて、圧縮されます。ストレージシステムのCPUの数に応じて、圧縮エンジンで複数のスレッドが作成されます。複数の圧縮スレッドを使用してデータが同時に圧縮されます。圧縮されたブロックはネットワーク経由で送信され、ターゲットシステムがそのブロックを受信すると、そこで同様のマルチスレッド方式を使用して解凍されます。解凍されたデータが、適切なボリュームに書き込まれます。

SnapMirrorのネットワーク圧縮

図2)SnapMirrorのネットワーク圧縮

圧縮エンジンと解凍エンジンは、ユーザの要件に応じて、ネットワーク帯域幅を節約するか、送信が最短時間で完了するように設定できます。

SnapMirrorのネットワーク圧縮機能はすべてのNetAppストレージ・プラットフォーム(Vシリーズ仮想化システムやIBM Nシリーズを含む)でサポートされていますが、対応しているのは非同期の動作モードのみです。ネットワーク圧縮機能が有効な場合は、SnapMirrorを半同期モードや同期モードで動作させることはできません。

Volume SnapMirrorのすべての機能については、TR-3446:『SnapMirror®ベストプラクティスガイド』TR-3326:『SnapMirror Sync and SnapMirror Semi-Sync Overview and Design Considerations』(英語)に詳しい説明を掲載しておりますので、ぜひご参照ください。ネットワーク圧縮機能の詳細については、過去のTech OnTap®記事(英語)も参照してください。

使用事例

SnapMirrorの主な使用事例は、次の2つです。

  • ディザスタリカバリ
  • リモートデータアクセス / データ配信

さらに、FlexCloneボリュームを利用する機能やFlexCloneボリュームをレプリケートする機能も、新しい使用事例として重要になってきています。

ディザスタリカバリ:Volume SnapMirrorを使用すると、データをDR施設内の別のNetAppストレージシステムやセカンダリ・データセンターにミラーリングできます。DR内のデータを業務に使用する必要がある場合は、アプリケーションをDRサイトのサーバに切り替えて、必要に応じてこれらのサーバにアプリケーション・トラフィックをリダイレクトすることができます。本番用サイトがオンライン状態に戻ると、SnapMirrorはデータを本番用ストレージシステムに効率的に再転送し、SnapMirror転送が再開されます。

Volume SnapMirrorはマルチホップ構成やカスケード構成をサポートしています。たとえば、サンフランシスコのシステムからニューヨークのシステムにボリュームをレプリケートし、さらにニューヨークからシンガポールにレプリケートすることができます。

リモートデータアクセス / データ配信:SnapMirrorには、地理的に離れた場所に大量のデータを配信する機能もあるため、読み取り専用権限を使用してデータにローカルにアクセスすることができます。ローカルで書き込み可能な複製が必要な場合は、FlexCloneテクノロジを使用してください。非同期SnapMirrorを使用する場合は、1対多と多対1の構成がサポートされます。

リモートデータアクセスでは、ローカルクライアントのデータに高速でアクセスできるだけでなく、コストのかかるネットワークリソースやサーバリソースの使用効率を高め、使用率を予測することもできます。このため、指定時刻にソースデータをレプリケートして、ネットワーク全体の負荷を最小限に抑えることができます。データレプリケーションのタイミングを制御する機能は、データセットを確実に整合性のある状態にしなければならない場合にも役立ちます。

Volume SnapMirrorによるリモートデータアクセス

図3)Volume SnapMirrorによるリモートデータアクセス

FlexCloneと併用した場合の使用事例:SnapMirrorをFlexCloneテクノロジと組み合わせて、アプリケーションの開発 / テスト環境のサポートやDRテストに使用すると、大きなメリットがあります。DRストレージのリソースはほとんどの場合アイドル状態になっていますが、DRストレージでアプリケーションの開発やテストを実行すると、このリソースを効率的に使用できます。詳細については、Back to Basics:FlexCloneをご覧ください。

DRプロセスのテストを、実行中のレプリケーション・メカニズムに影響を与えずに行うのは、困難な場合もあります。FlexCloneを使用すると、実行中のSnapMirrorレプリケーション・プロセスに影響を与えることなく、DRボリュームのクローニングやDRプロセスの完全なテストを簡単に実行できるようになります。

環境によっては、FlexCloneボリュームを利用してスペース効率に優れたコピーを作成し、仮想デスクトップインフラ(VDI)、データウェアハウジング、ローカルでの開発やテストで使用することができます。このようにクローンをレプリケートして保護する機能は、多くの場合に有益です。Data ONTAPの8.0.1(7-Mode)より前のバージョンで、Volume SnapMirrorを使用してFlexCloneボリュームを複製すると、スペース削減効果が無効化されるため、複製先のFlexCloneボリュームには、親ボリュームと同じ容量が必要となります。Data ONTAP 8.0.1以降の7-Modeでは、Volume SnapMirrorを使用することにより、スペースを新たに消費することなくFlexCloneボリュームを複製できます(複製先システムにFlexCloneボリュームの親も複製されている必要があります)。

Data ONTAP 8.0.1以降では、親ボリュームがレプリケートされている場合、SnapMirrorを使用してFlexCloneボリュームをレプリケートしても、ストレージ効率が低下することはなくなりました。

図4)Data ONTAP 8.0.1以降では、ストレージ効率は低下させることなく、SnapMirrorを使用してFlexCloneボリュームのレプリケートが可能(親ボリュームがレプリケートされている場合)

SnapMirrorテクノロジの使用にあたって

Volume SnapMirrorを使用すると、Recovery Time Objective(RTO;目標復旧時間)を秒単位から分単位で達成可能です。また、RPOは最短で数分前が可能です。非同期SnapMirrorよりも優れたRPOを実現する必要がある場合は、MetroCluster™または同期 / 半同期SnapMirrorのいずれかを選択する必要があります。同期ソリューションでは一般に、より大容量のネットワーク帯域幅と専用のネットワーク機器を実装する必要があるため、非常に高コストになる点に注意してください。

MetroClusterは最大100 kmの距離に対応し、継続的なデータ可用性、自動フェイルオーバー、自動リカバリを提供することから、最適なソリューションと言えます。同期SnapMirrorを利用すると、サポートする距離が倍の200 kmになります。また、さらに長距離間で可能な限り短いRPOを達成する必要がある場合は、半同期SnapMirrorを利用するとサポート対象の距離を拡大できます。同期SnapMirrorと半同期SnapMirrorは、非同期SnapMirrorと同じ機能はサポートしていません。たとえば、ネットワーク圧縮機能やSnapManagerとの統合は、同期モードと半同期モードではサポートされていません。MetroClusterとSnapMirrorの併用方法については、最近のTech OnTapの記事で詳しく紹介しています。

Volume SnapMirrorの使用を開始する場合は、次に示す一般的な考慮事項に留意する必要があります。

  • 実行している動作モードに対応するData ONTAPのバージョン要件の確認
    • 非同期Volume SnapMirrorの場合:ターゲットシステムのバージョンが、ソースシステムのメジャーバージョンまたはマイナーバージョンと同じか、それ以上でなければならない
    • 同期または半同期Volume SnapMirrorの場合:ソースシステムとターゲットシステムで同じバージョンが稼働している必要がある

表2)非同期SnapMirrorを使用する場合のソースシステムとターゲットシステムにおけるData ONTAPの要件

Volume SnapMirrorのソースシステム Volume SnapMirrorのターゲットシステム サポートの有無
Data ONTAP 7.2* Data ONTAP 7.2*、7.3*、8.0* あり
Data ONTAP 7.3* Data ONTAP 7.3*、8.0* あり
Data ONTAP 7.3* Data ONTAP 7.2* なし
  • Volume SnapMirrorでサポートされるのは、同じ種類のアグリゲート間のレプリケーションのみです(32ビットアグリゲートから32ビットアグリゲートへ、あるいは64ビットアグリゲートから64ビットアグリゲートへ)
  • SnapMirrorはイーサネットとファイバチャネルに対応しています。ファイバチャネルの要件については、スイッチのサポートマトリックスをご参照ください(NOW™へのアクセス権が必要)
  • 同期モードと半同期モードは、距離や応答時間(RTT)の影響を受けます。同期モードの場合はRTTを2ミリ秒未満、半同期モードの場合は5ミリ秒未満に設定する必要があります
  • 同時に実行できるSnapMirror転送の回数には制限があります。この制限は、ご使用のNetAppシステムの種類や、実行しているData ONTAPのリリースによって異なります。詳細については、こちらをご覧ください (NOWアクセス権が必要)。さらに詳細な情報については、該当するテクニカルレポートをご参照ください。
  • TR-3446:『SnapMirror®ベストプラクティスガイド』
  • TR-3326:『SnapMirror Sync and SnapMirror Semi-Sync Overview and Design Considerations』(英語)

SnapMirrorと他のNetAppテクノロジ

多くのNetApp導入環境でSnapMirrorの重要性が高まっているため、NetAppでは他の多くのNetAppソフトウェア・ソリューションとの相互運用性を確保することに重点を置いてきました。ここでは、留意事項をいくつか示します。

  • SnapManagerスイート:SnapManagerスイートの目的は、Microsoft® Exchange、SQL Server®、SharePoint®、Oracle®、SAP®などの重要アプリケーション環境で、データ保護とDRサービスを実現することにあります。VMware®とMicrosoft Hyper-V™ハイパーバイザーもサポートされています。適切なSnapManager製品(またはVirtual Storage Console for VMware)を使用すると、アプリケーションやハイパーバイザーのデータの整合性を維持した状態でレプリケートできるため、リモートサイトで業務を再開することができます。
  • FlexClone:SnapMirrorとFlexCloneを併用する場合の詳細については、上記の使用事例のセクションを参照してください。また、Back to BasicsのFlexCloneの号でも詳細をご紹介しています。

場合によっては、スペース効率に優れたボリュームクローンに、複製を必要とする重要なデータが含まれている場合があります。

  • 重複排除機能:Volume SnapMirrorを使用して重複排除されたボリュームをレプリケートすると、ターゲットボリュームでもスペース削減の効果が維持されます

まとめ

NetApp SnapMirrorテクノロジは、ディザスタリカバリを実現する汎用的なレプリケーションツールです。
単独で使用することも、NetApp SnapManagerスイートなどの他のソリューションと組み合わせて使用することも可能です。NetApp SnapMirrorの詳細については、TR-3446:『SnapMirror®ベストプラクティスガイド』TR-3326:『SnapMirror Sync and SnapMirror Semi-Sync Overview and Design Considerations』(英語)をご参照ください。

 SnapMirrorに関するご意見をお寄せください。

ご質問、意見交換、情報提供は、NetAppのコミュニティサイトまでお願いいたします。
Srinath Alapati

Srinath Alapati
テクニカル・マーケティング・エンジニア
NetApp


Srinathは2004年にNetAppに入社して以来、4年以上にわたってデータ保護グループの一員を務めています。IT業界でのキャリアは10年以上に及び、サーバやストレージインフラの管理に携わってきました。SnapMirror、MetroCluster、VMware、Exchangeに関して複数のテクニカルレポートを単独または共同で執筆しており、また、さまざまな技術カンファレンスで講演も行っています。NetApp ITのディザスタリカバリ実装にも、主要なチームメンバーとして関わっています。


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