NetApp Tech OnTap
VMware環境でのバックアップ課題の解決

今日のデータセンターでは、VMware®の導入が急速に進んだために、新たな課題が発生しています。物理サーバでは問題なく動作していたバックアップやリカバリ方式は、仮想化したとたんに、データ保護機能を果たせなくなる可能性があります。

この記事では、VMware環境でのバックアップに関する3つの重要な課題について考察します。

  • 何十もの物理サーバを1つのESXサーバに統合する場合のリスクの削減
  • バックアップパフォーマンスの改善
  • 何十、何百ものVM(仮想マシン)をバックアップする際の複雑性の解消

まず、一般論の観点からこれらの問題について説明したあとで、VMwareバックアップの強化に役立つ具体的なNetApp®ソリューションを紹介します。

保護の万全性の確認

サーバの統合とはすなわち、リスクの統合でもあります。10台以上の物理サーバを1つのVMware ESXサーバに統合すると、物理的な複雑性は大幅に軽減されますが、リスクを一箇所に集中させることになります。スタンドアロンサーバに適正だと思われた保護レベルでは、運用上のリスクを増すことにもなりかねません。

次の点についてチェックしてみてください。

  • インフラが最大限の耐障害性を備えているか?サーバだけでなく、RAID保護ストレージ、複製、冗長HBA、ネットワーク、SANなどを通じて耐障害性を改善することもできます。
  • アプリケーションおよびVMレベルの両方で、バックアップに一貫性があるか?VMおよび多くの共通アプリケーションでは、パフォーマンス向上を目的として、メモリにデータをキャッシュしています。一貫性のあるバックアップを作成するには、この情報をディスクに反映し、ファイルシステムへの書き込みを一時的に停止して、アプリケーションやVMを休止させる必要があります。VMwareを初期に導入し、作成したバックアップに一貫性がないことがわかって、あわてた企業は1社だけではありません。バックアップに一貫性があれば、バックアップをリストアした時点ですぐに処理を再開できます。
  • データのバックアップ頻度は十分か?1つのサーバに複数のアプリケーションを関連付ける場合、バックアップの頻度を上げ、複数のリカバリポイントを用意しておくのが適切でしょう。
  • ESXサーバのバックアップ作業の負荷によって、業務運営に影響が出ていないか?バックアップは所定のバックアップウィンドウ内に完了する必要があり、業務への悪影響は避けなくてはなりません。

これらの点について綿密にチェックすると、バックアッププランに思わぬ見落としが見つかる可能性があります。

パフォーマンスの改善

複数のVMをホスティングするESXサーバでは、集約されたI/OまたはCPUの処理能力が、置き換えた物理マシンと同等であるとは限りません。帯域幅を大量に消費するバックアップおよびリストア処理をVMで実行すると、サーバにボトルネックが発生し、バックアップウィンドウが長引き、リストアパフォーマンスが許容不可能なレベルまで低下する場合があります。

バックアップパフォーマンスの改善方法には、次の2通りがあります。

  • 転送するデータ量を少なくし、バックアップ関連の負荷を減らす
  • バックアップ処理の負荷をサーバからストレージにオフロードする

複雑性の排除

IT組織によっては、物理サーバごとに何十ものVMを実行し、全体として何百ものVMを管理していることがあります。この場合、大量のバックアップエージェントをインストール、追跡、および管理する必要があるため、すべてを確実に保護するのは困難をきわめます。対応策としては、以下の方法が考えられます。

  • 個々のVMレベルではなくESXサーバレベルで対処することで、複雑性を軽減する
  • バックアップ、保持ポリシー、およびスケジュールをストレージで処理する
  • 適切な管理ツールを選択する

VMware用のNetAppバックアップソリューション

従来のバックアップ方式では、ESXサーバにかなりの負荷がかかります。その結果、バックアップウィンドウが長引き、バックアップの実行中は重要なアプリケーションのパフォーマンスが低下する可能性があります。NetAppは、VMware(およびその他の)環境におけるバックアップとリストア関連のリスクを軽減し、パフォーマンスを改善し、複雑性を解消すると同時に、サーバの負荷を緩和または排除する、完全なソリューションスイートを提供しています。これらのソリューションを利用すると、バックアップウィンドウを大幅に短縮し、リストアを高速化できます。

ここでは、次の5つのソリューションを紹介します。

  • SnapManager® for Virtual Infrastructure
  • アプリケーションバックアップ用のその他のSnapManagerスイートソリューション
  • SnapVault®
  • Open Systems SnapVault
  • Protection Manager

すでにVMwareのプライマリストレージとして(VMFSまたはNFS経由で)NetAppストレージシステムを使用している場合、SnapManager for Virtual Infrastructureをローカルバックアップ用に、SnapVaultソリューションをディスク間バックアップ用に追加すると、優れた効果が期待できます。NetApp以外のプライマリストレージを使用している場合でも、Open Systems SnapVaultとアーカイブ用のNetAppセカンダリストレージを組み合わせて使用することで、同様の利点が得られます。NetApp Protection Managerは、これらの環境におけるバックアップ管理を簡易化します。維持する複製コピーの数が多い場合は特に効果的です。

SnapManager for Virtual Infrastructure
このデータ管理ツールを使用すると、VMFSで動作するVM、またはNFSデータストアを使用するVMについて、一貫性のあるSnapshot™コピーをすばやく作成できます(現時点で、Raw Device Mapping [RDM]はサポートされていません)。このツールによって、サーバが行っていたバックアップ処理を、基盤となるストレージで実行するように変更できます。

 

SnapManager for Virtual InfrastructureのGUIを使用すると、バックアップおよび保持スケジュールを作成して、VMを定期的に保護できます。バックアップはVMレベルでもデータストアレベルでも実行可能です。作成されたバックアップは、使用前にESXにマウントして検証することができます。

バックアップスケジュールを設定すると、SnapManager for Virtual Infrastructureは、必要に応じてVirtualCenterおよびNetAppストレージと通信して、バックアップに関する調整を行います(図1を参照)。バックアップはすばやく実行され、ESXサーバにはほとんど負荷がかからないため、1日あたりのバックアップ回数を増やしてデータ保護を強化することができます。

図1)SnapManager for Virtual InfrastructureによるSnapshotの作成SnapManager for Virtual Infrastructureは、特定のVM(VM1、VM3、およびVM6)をホットバックアップモードにするようVirtualCenter(VC)に信号を送ります。次に、NetAppプライマリストレージで、適切なSnapshotコピーの作成を開始します。最後に、再びVCに信号を送り、VMのホットバックアップモードを解除します。

プライマリストレージに格納されたSnapshotは、ローカルで保存することも、テープにバックアップすることもできます。また、災害対策のために、NetApp SnapMirror®を使用してセカンダリストレージに複製することも可能です。これらの機能は、SnapManager for Virtual Infrastructureから直接制御されます。さらに、SnapVaultを使用して手動でSnapshotスケジュールを作成し、後述の要領で、キャプチャしたSnapshotコピーをローカルまたはリモートのセカンダリストレージシステムにバックアップすることもできます。

SnapManager for Virtual Infrastructureを使用すると、VirtualCenterから削除されたVMのリストアも含めて、特定のVMまたはデータストア全体をリストアできます。リストアするVMは、「電源オフ」の状態でなければなりません。リストアが完了する前に、VMの電源はオフになります。

SnapManager for Virtual InfrastructureはVMotion™との完全な相互運用性を備えており、VirtualCenterと通信して、VMotion実行後のVMの場所を把握します。VMotionアクティビティが完了するまで、VMをバックアップすることはできません。

SnapManagerスイート
SnapManager for Virtual Infrastructureは、基盤となるVMを休止させることで、バックアップ中のVMの一貫性を確保します。残念ながら、VM上で稼動中のアプリケーションについては、休止および一貫性を確保することができません。この処理には、アプリケーションに対するより専門的な知識が必要です。一貫性のあるアプリケーションバックアップを実現するためには、NetApp SnapDrive®といずれかのSnapManagerソリューション(Microsoft® Exchange、SQL Server™、Oracle®など、各アプリケーションに特化した保護機能を提供)を導入すると、一貫性のあるアプリケーションのSnapshotコピーを作成できます。物理サーバ環境におけるこれらの製品の適用については、最近のTech OnTapの記事で詳しく紹介されています。SnapManager for Virtual Infrastructureと同様、これらのSnapManager製品によるサーバへの負荷は、従来のバックアップと比べてごくわずかです。

NetApp SnapVault
NetApp SnapVaultを使用して、Snapshotコピーを同じデータセンター内またはリモートサイトのセカンダリストレージに保管すれば、より長期間の保存が可能になります。残念ながら、現時点では、SnapVaultとSnapManager for Virtual InfrastructureなどのSnapManager製品を明示的に連動させる手段はありません。そのため、これらの製品で作成するSnapshotスケジュールを、SnapVaultスケジュールと連動させるためのスクリプトを書く必要があります。

すべての処理がストレージシステムで実行されるため、SnapVault処理によるESXサーバへの影響はまったくありません。それぞれのSnapVaultバックアップは、特定の瞬間におけるファイルシステムの読み取り専用コピーです。これらのファイルシステムは、共有またはマウントすることもできますし、クローニング、テスト、VMDKのリカバリなど、さまざまな目的に使用することができます。

SnapVault関係を作成する最初のステップとして、ベースライン転送を実行し、保護すべきデータストア(VMを含む)の正確な複製を作成します。その後のSnapVaultバックアップでは、最後のバックアップ以降に変更のあったデータブロックだけが転送されるため、ネットワーク帯域幅とストレージスペースの両方の面で非常に効率的です。大部分のバックアップ方式では、変更されたブロックが1つしかない場合にも、ファイル全体がバックアップされます。

SnapVaultバックアップを使用すると、従来のバックアップに見られるような、軽微な変更のために同じファイルの複製が毎日作成され、多くの重複データが発生する状態を回避できます。SnapVaultでは、変更されたブロックだけが複製されて保存されます。したがって、SnapVaultバックアップはスペースの消費という点で非常に効率が良く、テープバックアップとディス間バックアップのコスト差も変化します。

セカンダリストレージに保管したバックアップは、次のような目的に使用できます。

  • データストア全体のリカバリ(qtreeのリストア)。Protection Manager(オプション)を使用すると簡単に実行できます。
  • 個別のVMのリカバリ(NFSデータストアを使用)。Protection Manager(オプション)を使用すると簡単に実行できます。
  • FlexClone®を使用した、VM内部からのファイル単位でのリカバリ
  • NetApp FlexCloneによる、セカンダリストレージに複製したVMのクローンの作成。テストや開発業務に利用できます。
  • 局地的な災害対策を目的とした、バックアップのオフサイトへの複製
SnapVaultとVMwareの併用については、TR-3610 (NetApp/VMware 環境でのディスクツーディスク・バックアップ)をご覧ください。

図2)SnapVaultによるVMwareのバックアップリポジトリの一元化セカンダリストレージに格納したバックアップには、別のNetAppテクノロジを利用してさらに処理を行うことができます。たとえば、NetApp重複排除機能を使ってデータ量をさらに削減したり、NetApp FlexCloneによってテスト/開発用のコピーを作成したりすることが可能です。

Open Systems SnapVault
Open Systems SnapVaultはこれまでに、Windows®、UNIX®、およびLinux®といった各種プラットフォームのバックアップソリューションとして、その効果を実証してきました。Open Systems SnapVaultは、前述したSnapVaultと同様に、ブロックレベルの増分転送を実行できます。そのため特に、低速のネットワーク接続のためにバックアップの一元化が難しく、ITスタッフが不足しているためにローカルバックアップやデータ管理の問題を抱えているような、リモートオフィスでの利用に適しています。

Open Systems SnapVaultを使用すると、各リモートサイトのデータ管理作業を、一箇所に集中化させることができます。SnapVaultと同様、ネットワーク帯域幅やセカンダリディスクストレージの利用効率が非常に優れているため、ディスク間バックアップの経済性がさらに高まります。

Open Systems SnapVaultバージョン2.6以降では、このソリューションを利用した仮想インフラのバックアップ方法として、2つのオプションが提供されます。これにより、VMを格納するプライマリストレージとしてNetAppストレージを使用していない場合でも、Open Systems SnapVaultを利用しやすくなりました。

  • 各VMにOpen Systems SnapVaultエージェントをインストールし、物理サーバの場合と同様、VMをセカンダリストレージにバックアップすることができます。データの形式は、元の仮想サーバのまま維持されます。
  • Open Systems SnapVault 2.6では、エージェントソフトウェアをESXサーバのService Consoleにインストールできます。

後者のアプローチでは、各仮想マシンを構成する個々のファイルのバックアップが可能です。.vmx、. vmdk、. nvram、および. logファイルをバックアップできるため、VM全体のベアメタルリカバリを実行できます。

Open Systems SnapVaultのインストールと管理を、各VMに対してではなくESXサーバ上で実行すれば済むため、バックアップ環境の複雑性が大幅に緩和されます。

Open Systems SnapVaultは、SnapMirror for Virtual Infrastructureと同様に、VMotionとの相互運用性があります。Open Systems SnapVaultとVMwareの併用については、『OSSV Best Practices Guide for Virtual Infrastructure(英語)』を参照してください。

Protection Manager
最後に紹介するNetAppツールは、Protection Managerです。Protection Managerを使用すると、NetAppストレージインフラ全体のSnapshotコピー、ディスクベースバックアップ、およびレプリケーションについて、設定、管理、監視を簡単に実行できます。さらに、Open Systems SnapVaultを介して、Windows、UNIX、Linux、およびVMwareサーバのバックアップを統合できます。Protection Managerは、SnapVaultおよびOpen Systems SnapVaultの両方に最適な管理インターフェイスです。

Protection Managerは、ポリシーに基づいたデータ管理機能を提供します。これにより、一般的なバックアップ環境で必要となる多くの反復的な手動プロセスを廃止して、シンプルなバックアップ環境を構築できます(詳細は、「バックアップと複製の管理に関する3つの一般的な問題を解決」をご参照ください)。

まとめ

VMwareバックアップで最適なデータ保護を実現するには、リスクの排除、パフォーマンスの向上、および複雑性の軽減が必要です。今回は、最初に、これらの目標を達成するための一般的なガイドラインを示しました。さらに、VMware環境に優れた利点をもたらす、NetApp独自の各種ソリューションについても説明しました。

SnapManager for Virtual InfrastructureおよびSnapVault、またはそのいずれかを導入すると、一貫性のあるVMバックアップをより迅速かつ頻繁に実行できると同時に、VMwareサーバのバックアップ作業の負荷を解消して、業務上のリスクを大幅に低減できます。バックアップするVMごとにソフトウェアをインストールする必要がないため、データストアレベルでバックアップを実行することで、より複雑性を軽減できます。VM上で稼働するアプリケーションをバックアップするために、NetApp SnapManagerスイート製品のソフトウェアを導入することもできます。

Open Systems SnapVaultを使用すると、NetApp以外を使用するプライマリストレージ環境でも、同様の利点が得られます。使用中のVMwareサーバから、バックアップ作業の負荷が完全になくなるわけではありませんが、Open Systems SnapVaultは、I/O要件を大幅に軽減してサーバが本来の能力を発揮できるようにします。また、ESXサーバレベルでインストールできるため、何十、何百ものVMを含んだバックアップの設定作業について、複雑性が大幅に軽減されます。

最後に、Protection Managerは、SnapVaultとOpen Systems SnapVault(および災害対策用のNetApp SnapMirrorソフトウェア)を連携させ、大量のバックアップおよびレプリケーション関係が存在する環境で、管理の複雑性を大幅に緩和します。

Darrin Chapman Darrin Chapman
データ保護問題の専門家、テクニカルマーケティングマネージャー
NetApp

Darrin Chapmanは、災害対策やバックアップおよびリカバリのあらゆる問題について、NetApp社内でも豊富な知識を持つ人物です。Darrinは2002年以降、データ保護に関連するNetAppのほとんどのベストプラクティスガイドに関与しており、空き時間には、お客様やNetAppの技術スタッフ向けにトレーニングコースを企画しています。

Darrinはもともと電気技師としての教育を受け、AT&T、Nortel、およびEMCで数年間、システムアーキテクチャ関連の業務に従事していたことがあります。

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