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clustered Data ONTAP 8.3:
ハイブリッド クラウドのための実証済み基盤

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NetApp® clustered Data ONTAP®ストレージ オペレーティング システムの販売は依然として好調です。すでに1.9エクサバイトを超えるストレージと24,000台近くのコントローラが本番環境で利用されており、エンタープライズIT環境とクラウド環境の両方にきわめて有効であることが実証されつつあります。ストレージ管理者の皆様には、オールフラッシュ ノードとハイブリッド ストレージの間などで、必要に応じて無停止でワークロードを移動できる点がきわめて好評です。ネットアップは引き続き、新機能の開発を通じ、全体的なパフォーマンスの向上、ノンストップ オペレーション機能の拡張、効率性と管理性の強化に取り組んでいきます。

この記事では、2014年10月28日のNetApp Insightで発表されたclustered Data ONTAP 8.3の新機能について説明します。本製品の機能セットは、エンタープライズ、プライベート クラウド、クラウド サービス プロバイダの環境に幅広く適用できます。今月号のTech OnTapには、Cloud ONTAPの機能 について説明した別の記事も掲載しています。Cloud ONTAPは、clustered Data ONTAPのエンタープライズ機能を、パブリック クラウドでも利用できるようにする製品です。 NetApp® clustered Data ONTAP®

clustered Data ONTAP 8.3とCloud ONTAPは、「ネットアップ データ ファブリック」構想の中核となる2大要素です。ネットアップはこの構想で、シンプルなデータ管理と、あらゆるタイプのクラウド間における自由なデータ移動の実現を目指しています。

clustered Data ONTAP 8.3は、クラスタでの運用のみをサポートする初めてのData ONTAPリリースです(7-Modeをご利用のお客様については引き続き、8.2.xでの7-Modeのサポートを提供してまいります)。clustered Data ONTAPでは数多くの機能を拡張するほか、新機能を搭載して製品のレベルアップを図り、データの保管、提供、管理について、さらなる性能向上を実現しています。

この記事では特に、次の新機能を取り上げます。

  • パフォーマンス
    • 読み取りパスの最適化により、負荷のかかったオールフラッシュFASシステムの読み取りパフォーマンスが大幅に向上
    • Flash Pool™インテリジェント キャッシングを活用し、ハイブリッド ストレージ構成のキャッシュ サイズを最大4倍に拡張
  • 効率性と管理
    • 高度なドライブ パーティショニングにより、エントリ システム、オールフラッシュFAS、Flash Poolの使用可能容量を増大
    • IPspaceにより、同じクラスタ内の別々のStorage Virtual Machine(SVM)間でサブネットとIPアドレスを共有
  • NDOと可用性
    • clustered Data ONTAP用のMetroCluster™ソフトウェア
    • SnapMirror®とSnapVault®ソフトウェアの機能強化
    • 無停止アップグレード(NDU)の自動化
    • DataMotion™ for LUNソフトウェア
  • 7-Modeからの移行
    • SANの移行とMetroClusterをサポートする7-Mode Transition Tool(7MTT)
より完全な8.3の機能リスト(ただし、こちらも要約版)を表1に示します。

8.3の新機能

表1)clustered Data ONTAP 8.3の新機能(太字の機能については後ほど説明)

機能 メリット
パフォーマンスと拡張性
読み取りパスの最適化 ■   負荷のかかったシステムの読み取りパフォーマンスが向上。特にオールフラッシュFASで効果大
キャッシュ サイズの増量 ■  FAS2500 / 8000のFlash Poolキャッシュを4倍に増量し、スループット向上と応答時間の短縮を実現
インラインでの
ゼロ書き込み検出
■  ゼロのみのブロックをインラインで検出し、除外することでシステムの負荷を軽減
SMB / CIFS機能の強化 ■  DAC(ダイナミック アクセス制御)とMMC(Microsoft 管理コンソール)のサポートにより、管理者の生産性とユーザ アクセス制御機能が向上
■  多くのファイルサービス ワークロードのパフォーマンスが向上
レプリケーション
パフォーマンス
■  多くのSnapMirror関係とSnapVault関係の初期化と転送の時間を短縮
SANのサポート上限の拡張 ■  クラスタあたりのLUN数:96,000
■  ノードあたりのLUN数:12,000
■  ノードあたりのiSCSIセッション数 / FC接続数:8,000
効率性と管理
高度なドライブ
パーティショニング
利用可能な容量を増やし、Flash Poolの柔軟性を向上。
3つのユースケースをサポート
■  HDD搭載のFAS2500とFAS2200
■  オールフラッシュFAS
■  Flash Pool
IPspace ■  サービス プロバイダがストレージ サービスをより効率的に提供可能。また、事業拡張や吸収合併の際に企業がより簡単に環境を統合可能
System Setup 3.0 ■  新規クラスタを自動的にセットアップ。トレーニングは不要
System Manager 8.3 ■  エレメント管理GUIにより、クライアント上で特定のJavaのバージョンを不要にし、管理を簡易化
VVOLのサポート ■  VMware仮想ボリュームをフル サポート
■  詳細については、『NetApp Unlocks The Power Of VMware VVOLs』 を参照
SVI環境向けFlexClone® ■  仮想マシンの導入、クローニング、再構成、パッチ適用の時間を短縮
■  FlexCloneの削除操作のパフォーマンスが向上
ネットワーキング機能の 拡張 ■  clustered Data ONTAPのネットワーク機能について、さまざまな側面から拡張と簡易化を実施
■  フェイルオーバー グループの自動構成が可能に
NDOと可用性
MetroCluster ■  サイト全体の障害を含む、計画的、計画外のイベント発生時に、重要なエンタープライズ アプリケーションとワークロードの継続的可用性を実現
■  透過的なフェイルオーバー保護
■  データ損失ゼロを実現する設計
SnapMirrorと
SnapVaultの機能強化
■  単一のレプリケーション ストリームでSnapMirrorとSnapVaultに対応
■  標準搭載のネットワーク圧縮機能
■  過去のポイントインタイムSnapshot™コピーへのフェイルオーバー
■  バージョンに依存しないレプリケーション
■  FlexCloneボリュームのDR
■  最大ファンイン構成は255:1
■  最大ファンアウト構成は1:16
NDUの自動化 ■  浮いた時間を、より戦略的なプロジェクトに投入
■  人的エラーの発生リスクを軽減
■  clustered Data ONTAPオペレーティング システムのアップグレードで必要となる手動設定を削減
DataMotion for LUN ■  実行中のアプリケーションに影響を与えることなく、ほぼ瞬時にLUNを移動してパフォーマンスと容量の問題を解消
SMTape ■  テープ バックアップをシンプルかつ短時間で実行
移行ツール
7-Mode Transition Tool 2.0 ■  NetApp 7-ModeのSAN構成、NAS構成、MetroCluster構成から、clustered Data ONTAPへの移行を自動処理する無償のGUIツール
Foreign LUN Import ■  他社(EMC、HDS、HP)製SANのデータ移行を容易にし、clustered Data ONTAPにワークロードを統合
■  FlexArrayへの移行を促進
Rapid Data移行ツール ■  7-ModeのNFSv3ソースからclustered Data ONTAPへの移行に際し、段階的なカットオーバーを可能にすることで、大量のデータの再構成を簡易化
その他
NFSの機能拡張 ■  NFSv4およびNFSv4.1用のqtreeエクスポート
■  KerberosでのAES-128とAES-256のサポート
■  showmountのサポート
■  さらに多くのUNIX®グループに対応(256)
選択的なLUNマッピング ■  LUNへのパスの数を抑制
■  ポートセットを使用せず、各LUNをHAペアにマッピング
IPv6の機能拡張 ■  IPv6クラスタ間ピアリング(IPv6を介したSnapMirrorと、IPv6でのMetroClusterのサポートを含む)

パフォーマンスと拡張性

Data ONTAPを製品化して20年以上が経ちますが、ネットアップのエンジニアはパフォーマンスと拡張性を強化する方法を探究し続け、お客様の既存ハードウェアの価値をさらに高めるべく取り組んでいます。

オールフラッシュFASのパフォーマンス
Tech OnTapの最近の記事、『All-Flash FAS: A Deep Dive』 の中で、筆者は「今後の機能拡張予定」について触れ、OLTPパフォーマンスの高さに相当する、小規模ブロックのランダム リードのパフォーマンスが大幅に向上するだろうと述べています。8.3では、こうした機能拡張が達成されています。

ネットアップのエンジニアがエンドツーエンドの読み取りパスを検証し、オーバーヘッドの特定と解消を行った結果、Data ONTAP 8.2をはるかに上回る読み取りパフォーマンスが実現されました。図1の数値を先ほどの記事の数値と比べてみると、ランダム リード処理に関し、FAS8060の最大パフォーマンスは35%向上し、FAS8080 EXの最大パフォーマンスに至っては64%も向上していることがわかります。

これが何を意味するかを少し考えてみてください。オールフラッシュFASシステムを8.2.xから8.3にアップグレードすれば、ハードウェアを交換することなく、最大で約70%もパフォーマンスを高めることができます。しかもオールフラッシュFASのパフォーマンスは、8.3にアップグレードする前から、すでに優れた競争優位性を備えています。

Data ONTAP 8.3を搭載したオールフラッシュFASのパフォーマンスと競合2社の公開値の比較

図1)Data ONTAP 8.3を搭載したオールフラッシュFASのパフォーマンスと競合2社の公開値の比較

このパフォーマンスの向上と、使用可能容量の増加(詳細については、「高度なドライブ パーティショニング」の項を参照)を併せると、表2に示すように、IOPSあたりのコストとGBあたりのコストの両方が抑えられることになります。

表2)データベース ワークロードに関するオールフラッシュFAS8060と競合製品の比較

データベース ワークロードに関するオールフラッシュFAS8060と競合製品の比較

こうした読み取りパスの最適化が最も大きな効果を発揮するのはオールフラッシュ構成ですが、ハイブリッド システムとHDDのみのシステムにも効果があります。

キャッシュ サイズを最大4倍に増量

NetApp Flash Cache™やFlash Poolソフトウェアを使用するハイブリッド ストレージ構成に関し、ネットアップが最近のリリースで、サポートするキャッシュの総量を着実に増やしていることにお気づきでしょうか。8.3でもこの流れは継続され、表3に示すように、ほとんどのプラットフォームではキャッシュ容量が4倍に増加しました。ネットアップの目標は、キャッシュが「上限」に達し、FASシステムやクラスタの拡張性が制限されるのではないかとお客様が心配しなくて済むようにすることです。

表3)8.3と8.2.2の比較:HAペアあたりでサポートされるハイブリッド フラッシュの最大容量(FAS2200、FAS3200、FAS6200でも容量は増加)

HAペアあたりでサポートされるハイブリッド フラッシュの最大容量(FAS2200、FAS3200、FAS6200でも容量は増加)

すべてのFASモデルでは、PCIeスロットをいくつ利用できるかによって、サポートされるFlash Cacheの最大量が制限されます。FAS8080 EXではHAペアあたりのFlash Cacheの上限が24TBに増加していますが(以前は16TB)、それ以外のFASモデルについてはFlash Cacheの上限に変更はありません。

Flash Poolについてはそのほかに、次のような機能拡張を行いました。

  • Flash Poolが上書き処理を受け入れるように設定されている場合、あらゆるサイズの上書きをキャッシュできるようになりました(16kbの制限は廃止)。
  • Flash Poolが上書きを受け入れるように設定した際、リザーブされるキャッシュ容量が削減され、利用可能なキャッシュの容量が13%増加します。

効率性と管理

さまざまな新機能により、Data ONTAPの全体的な効率性と管理性が向上しています。

高度なドライブ パーティショニング

名前が示すとおり、高度なドライブ パーティショニングは、物理ドライブを複数のパーティションに分割する機能です。このテクノロジの画期的な点は、1本の物理ドライブを複数のアグリゲートで共有し、2台の異なるコントローラから同時にアクセスできることです。

高度なドライブ パーティショニングは、次の3つのユースケースをサポートします。

  • オールフラッシュFASでのSSDのルート / データ パーティショニング
  • エントリFASシステムでのHDDのルート / データ パーティショニング
  • Flash PoolでのSSDのパーティショニング

これら3つのユースケースには、すべてに共通する留意点がいくつかあります。

  • パーティションのサイズはシステムによって定義され、ユーザが設定することはできません。
  • パーティションが未構成の環境を、データを格納したままパーティション構成に変換することはできません(ノードが4台以上のクラスタ構成では、vol moveを使用して無停止でストレージ システムを退避させ、データをオフラインにすることなくパーティショニングを実装できます)。8.3を実行するストレージ システムでは、パーティショニングは必須ではありません。既存のシステムのインプレース アップグレードを実行すれば、その他すべての8.3の機能を利用できるようになります。

ルート / データ パーティショニングのユースケース:最初の2つのユースケースはよく似ています。clustered Data ONTAP環境では、データ アグリゲートのテイクオーバーとギブバックが連続的に実行されます。そのため、ルート ボリュームを収容するアグリゲートとユーザ データを収容するアグリゲートは別になっています。ルート / データ パーティショニングの目的は、ルート ボリュームのサイズが物理メディアの制約を受けないようにし、使用可能な容量を増やすことです。

この目的は、各ドライブを論理的に2つのパーティションに分割し、ルート パーティションとデータ パーティションを別々にすることで達成されます。これにより、2台のストレージ コントローラのイニシエータが、同じドライブに同時にアクセスできるようになります。各ストレージ コントローラはそれぞれの物理ドライブ上でアクセス可能なブロックの範囲を把握しているため、データの整合性が維持されます。

高度なドライブ パーティショニングを適用すると、専用のルート アグリゲートを使用する場合よりも使用可能な容量が増加します。24ドライブ構成の場合、ドライブのサイズにもよりますが、使用可能容量は20%以上多くなります。これにより、ルート アグリゲートにRAID-DP®を適用するためのストレージ オーバーヘッドとコストも削減されます。

24ドライブのアクティブ / アクティブ オールフラッシュFASまたはエントリFASシステムでのルート / データ パーティショニングの例(パーティションのサイズとレイアウトはシステムによって決定され、ユーザは設定不可)

図2)24ドライブのアクティブ / アクティブ オールフラッシュFASまたはエントリFASシステムでのルート / データ パーティショニングの例(パーティションのサイズとレイアウトはシステムによって決定され、ユーザは設定不可)

重要な注意点は次のとおりです。

  • Data ONTAP 8.3をインストールして出荷される、新しいエントリ システム(FAS2200とFAS2500)と新しいオールフラッシュFASはすべて、工場出荷時にデフォルトでパーティショニングされています。
  • Data ONTAP 8.3では、HDDルート アグリゲートを使用したFAS8000システムでのルート / データ パーティショニングはサポートされません。

Flash Poolのパーティショニング:Flash Poolでの高度なドライブ パーティショニングは、ルート / データ パーティショニングと少し異なります。このユースケースの目的は、一連のSSDを複数のFlash Poolアグリゲートで共有し、パリティとスペアによるオーバーヘッドを軽減して、柔軟性を高めることです。

Flash Poolの高度なドライブ パーティショニングでは、各ドライブを2つではなく4つに分割します。図3をご覧ください。左側のイラストは、パーティショニング前のFlash Pool構成を示しています。2つのSSDストレージ プールがあり、それぞれ2本のデータ ドライブと1本のパリティ ドライブからなるRAID 4のRAIDグループを1つずつ使用しているため、2本のドライブがパリティで占有されています。一方、右側の図は高度なドライブ パーティショニングを適用した構成です。同じく6本のドライブを使用して、RAID 4のRAIDグループを4つ作成し、各グループが6本のドライブすべてにまたがるようにすることで、パリティ ドライブを1本のみにしています。この例では、パリティによるオーバーヘッドが33%から16.5%に減少します(当然ですが、RAIDグループが大きくなるほどオーバーヘッドも低下します)。

Flash Poolでの高度なドライブ パーティショニング(パリティとスペアに関連したオーバーヘッドが減少し、使用可能な容量が増加)重要な注意点は次のとおりです。

図3)Flash Poolでの高度なドライブ パーティショニング(パリティとスペアに関連したオーバーヘッドが減少し、使用可能な容量が増加)

重要な注意点は次のとおりです。

  • パーティショニングされた1つのSSDストレージ プールは、最大4つのFlash Poolアグリゲートで共有できます。
  • パーティショニングできるのはFlash Poolアグリゲート内のSSDのみで、HDDはサポートされません。
  • SSDのみで構成されたデータ アグリゲートはパーティショニングできません。

IPspace

IPspaceはテナント管理の複雑性を軽減します。IPspaceが提供するネットワーク マルチテナンシーは、7-ModeシステムでNetApp MultiStore®ソフトウェアを実行し、vFiler®ユニットを使用する環境に相当します。現在MultiStoreを運用しているお客様は、Data ONTAP 8.3とIPspaceにすぐに移行できます。

IPspaceを使用すると、同じクラスタ内のStorage Virtual Machine(SVM)間でサブネットとIPアドレスを共有できるようになります。1つのIPspaceには、それぞれのニーズに応じて、1つまたは複数のSVMを含めることができます。クラスタでは必要に応じ、SVMごとにIPspaceを分けることもできれば、アドレス スペースの重複を必要としない場合は、クラスタ内の全SVMを「デフォルトの」IPspaceに対応付けることもできます。

異なるSVM間でアドレス スペースを共有できるIPspace SVMごとに専用のIPspaceを設定することも、複数のSVMで1つのIPspaceを共有することも可能(この例では、両方のIPspaceでIPアドレス10.98.7.1と10.98.7.2を使用)

図4)異なるSVM間でアドレス スペースを共有できるIPspace SVMごとに専用のIPspaceを設定することも、複数のSVMで1つのIPspaceを共有することも可能(この例では、両方のIPspaceでIPアドレス10.98.7.1と10.98.7.2を使用)

一般的なユースケースとしては、以下が挙げられます。

  • 顧客用のサブネットの割り当てを制御できないようなサービス プロバイダ環境。
  • 合併や事業の取得に伴い、既存のサブネットの割り当てを重複させる場合
  • 7-ModeのMultiStore環境からの移行

NDOと可用性

clustered Data ONTAP 8.3について、ネットアップは引き続き、ノンストップ オペレーションと可用性機能重視の方針を維持しています。

MetroCluster

MetroClusterは文句なく、8.3で最大の威力を発揮する機能の1つです。MetroClusterは、継続的なデータ可用性を実現するネットアップ ソリューションで、最大200km離れたサイト間での、同期ミラーリングを可能にします。MetroClusterについてあまりご存知ない方のために、製品の特長を紹介します。

  • データ損失ゼロを実現する設計:両方のサイトに書き込みが即座にコミットされるため、トランザクションの消失は一切ありません。
  • シンプルさ:外付けデバイスやホストベースの構成は必要ありません。
  • 変更管理は不要:いったんセットアップすれば、ペアの一方の側に加えた構成変更が、自動で他方にレプリケートされます。
  • 他のソリューションの半分のコストと複雑さを実現:この理由の1つは、管理の容易なアーキテクチャのおかげで、ソフトウェアの導入コストとソリューションの所有コストが抑えられる点にあります。外付けのデバイス、容量ベースのライセンス、継続的な構成管理は必要ありません。
  • Storage Efficiency機能、バックアップ、DR、NDO、FlexArrayとのシームレスな統合:こうした機能はすべて、Data ONTAPに組み込まれています。
  • SANとNASの両方をサポート:両方を同時にサポートします。ほとんどの競合ソリューションでは、SANのみしかサポートされません。
  • MetroClusterソフトウェアの無償提供:Data ONTAPの一部として提供され、別途ライセンスは必要ありません。

clustered Data ONTAP 8.3のMetroClusterでは、2つの独立したONTAPクラスタを使用し、それぞれの拠点に2ノードクラスタを用意します。通常運用時、クライアントは4つのノードすべてからデータを取得できます。ローカル障害が発生した場合は、常にローカルHAが使用されます。これが7-Mode MetroClusterとは大きく異なる点です。7-Modeでは、ローカル障害によって代替サイトへのフェイルオーバーが発生することがあり、必ずしも適切とは言えない場合がありました。

MetroClusterがサポートされるようになったclustered Data ONTAP 8.3。 2つの独立したクラスタにより、サービス停止のタイプに応じ、ローカルとリモートの両方のフェイルオーバーが可能

図5)MetroClusterがサポートされるようになったclustered Data ONTAP 8.3。 2つの独立したクラスタにより、サービス停止のタイプに応じ、ローカルとリモートの両方のフェイルオーバーが可能

SnapMirrorとSnapVaultの機能強化

SnapMirrorとSnapVaultは長年にわたり、ネットアップの統合データ プロテクション ポートフォリオの牽引役を務めてきた製品です。SnapMirrorは常に、市場で1、2を争うレプリケーション ソリューションに数えられています。ネットアップはインテリジェントかつ効率的で、使いやすいレプリケーション テクノロジがハイブリッド クラウドの実現に不可欠であることを明確に認識し、多くの時間と労力を費やして、両ツールの市場優位性の維持に努めています。最新の機能拡張の一部は、こうした点を意識して設計されました。

単一のレプリケーション ストリームでSnapMirrorとSnapVaultに対応:この機能拡張は、ディザスタ リカバリ(災害復旧)とバックアップの両方の要件を満たすとともに、次のようなメリットをもたらします。

  • ネットワーク トラフィックを50%削減
  • セカンダリ ストレージの所要量を40%削減

標準搭載のネットワーク圧縮機能:この機能拡張によって、必要な帯域幅を最大70%削減でき、WAN最適化ハードウェアを別途用意する必要もなくなります(この機能を有効化する場合は、CPUの利用可能なヘッドルームがあることを確認しておきます)。

過去のポイントインタイムSnapshotコピーへのフェイルオーバー:clustered Data ONTAP 8.3上でSnapMirrorを実行すると、ミラー データと保管データの統合リポジトリに保管されたSnapshotコピーを活用し、過去のある瞬間のデータをすばやくリカバリできるようになります。SnapMirrorデスティネーションで追加のSnapshotコピーを保持できるため、セカンダリ サイト上で、ディザスタ リカバリとバックアップ用にそれぞれ別のSnapshotコピーを維持しておく必要もありません。

バージョンに依存しないレプリケーション:これはノンストップ オペレーションを拡張し、アップグレードを容易にする新機能です。従来、プライマリ サイトとセカンダリ サイトでは同じバージョンのclustered Data ONTAPを実行する必要がありましたが、企業によっては世界中に何百というSnapMirror関係を展開しており、それぞれのペースでSnapMirrorをアップグレードしたいという要望がありました。

clustered Data ONTAP 8.3以降では(ソースまたはターゲットでclustered Data ONTAP 8.2.xを実行している場合は不可)、プライマリ サイトとセカンダリ サイトで異なるバージョンのSnapMirrorを使用できるだけでなく、ノンストップでアップグレードできるようになりました。ネットアップではこの新機能を、バージョンに依存しないSnapMirrorレプリケーションと呼んでいます。

この機能はアップグレード プロセスをシンプルにするだけでなく、双方向レプリケーションにも役立ちます。これまで、双方向構成のシステムでは、実行するソフトウェアのリビジョン レベルを揃える必要がありました。そのため通常は、短い間システムを停止させ、双方向SnapMirror構成の両方の拠点でソフトウェアを同じレベルにアップグレードしなければなりませんでした。Data ONTAP 8.3以降では、レプリケーション時に同じバージョンを使用する必要がなくなり、双方向SnapMirror構成はもちろん、複雑なマルチホップ トポロジでも無停止アップグレードが可能になりました。

そのほかにも、次のような機能拡張を行っています。

  • Flash Poolでキャッシュ可能になったSnapMirrorとSnapVaultのデスティネーション ボリューム:Flash Poolアグリゲートで、読み取り専用ボリュームのキャッシュが可能になりました。
  • FlexCloneのディザスタ リカバリ機能:従来、FlexCloneボリュームをレプリケートするには、クローニング元のボリューム全体をレプリケートする必要がありました。今後は、特定のFlexCloneボリュームのみをレプリケートすれば済みます。
  • ファンインとファンアウトのサポート数の増加:
    • 最大ファンイン構成は255:1
    • 最大ファンアウト構成は1:16

無停止アップグレード(NDU)の自動化

clustered Data ONTAP 8.3は、無停止でのソフトウェアの自動アップグレードをサポートしています。3つのコマンドを実行するだけで、クラスタへのData ONTAPパッケージ(support.netapp.comから入手)の適用、クラスタのアップグレード適性を確認するための検証、アップグレードの実行のすべてを完了できます。すべてのダウンロード、テイクオーバー、ギブバックが、自動プロセスの一環として実行されます。NDUの自動化には次のメリットがあります。

  • 運用を簡易化
  • 手動でのコマンドの実行が10分の1になり、作業時間が短縮
  • 人為ミスの発生する確率が低下
  • アップグレード計画に費やされるはずだった時間を、より戦略的なプロジェクトに振り向けることが可能

NDUの自動化はData ONTAP 8.3の標準機能です。8.3にアップグレードすれば、将来のすべてのアップグレードで引き継がれます。

DataMotion for LUN

DataMotion for LUNは、クラスタ ボリューム間で、運用を停止することなくLUNを移動できる機能です。clustered Data ONTAPで最も評価の高い機能の1つ、DataMotion for Volumesまたはvol moveをご存知であれば、DataMotion for LUNも考え方としては同じです。ただしこの機能では、データ オブジェクトの移動と複製のために設計された、clustered Data ONTAP内の新しいエンジンを使用します(このエンジンはVVOLの移動にも使用されます)。

この新しいエンジンの強みは、瞬時のカットオーバーが可能な点にあります。LUNの移動を要求すると、デスティネーション ノード上ですぐに目的のLUNが使用できるようになります。このとき、書き込みはデスティネーション ノードに送られますが、読み取りはクラスタ インターコネクトを介してソースから実行されます。ソース ノードでは書き込み処理を行わないため、ソースにかかる負荷が即座に低下します。

注意すべき点は次の2つです。

  • LUNを移動した場合、デスティネーション ノード上で重複排除スキャンを実行するまで、重複排除による効率性は失われます。
  • 移動したLUNのSnapshotは、ソース ボリューム上に維持されます。

移行ツールの更新

clustered Data ONTAP 8.3のさまざまな機能をすぐに使ってみたいとお考えの皆様のため、7-Modeからの移行を簡易化できるよう、ネットアップは7- clustered Data ONTAP 8.3のさまざまな機能をすぐに使ってみたいとお考えの皆様のため、7-Modeからの移行を簡易化できるよう、ネットアップは7-

Mode Transition Toolのバージョン2.0を併せてリリースします。

7MTTについて取り上げた、Tech OnTapの最近の記事、『How to Move from 7-Mode to clustered Data ONTAP』 をお読みになった方もいらっしゃるでしょう。この記事では現在も役立つ情報をたくさん紹介していますが、今後の号では、全体的な移行プロセスに関する最新の情報を同著者が発信していきますので、そちらも参考にしてください。

7MTTの今回のバージョンには、これまでのバージョンの全機能に加え、各種の新機能が追加されています。7MTTバージョン2.0の最も重要な新機能は、SAN環境の移行機能です。同ツールのこれまでのバージョンは、NASプロトコルのみをサポートしていました。また、バージョン2.0では、7-Mode MetroClusterからclustered Data ONTAP MetroCluster環境への移行もサポートされます。

次へのステップ

Data ONTAP 8.3では、高度なドライブ パーティショニング、MetroCluster、IPspaceといった多くの新機能の導入に加え、さらなるパフォーマンス向上と機能拡張を果たしました。すでにclustered Data ONTAPをお使いのお客様はもちろん、適切な時期が来るまでclustered Data ONTAPへの移行を保留されていたお客様にとっても魅力的な製品となっています。

アップグレードを検討する際は、次の2点にご留意ください。

  • 冒頭でも述べたように、Data ONTAP 8.3はクラスタでの運用のみをサポートし、7-Modeには対応しません。
  • Data ONTAP 8.3は64ビット アグリゲートのみをサポートします。64ビット アグリゲートを使用すると、アグリゲートとボリュームのサイズをより大きくし、圧縮、Flash Pool、ストレージ効率に優れたデータ保管など、高度な機能を扱えるようになります。導入済みの100,000台を超えるネットアップ システムで、すでに64ビット アグリゲートが使用されています。
    • Data ONTAP 8.1.4P4と8.2.1以降では、現在すでに64ビット アグリゲートへのノンストップ拡張がサポートされています。移行に際し、ドライブの増設は必要ありません。
    • 32ビット アグリゲートは、8.3にアップグレードする前に変換しておく必要があります。
    • 32ビットのSnapshotコピーは、8.3にアップグレードする前に削除するか、無効な旧データとして処分する必要があります(当然ですが、メタデータは読み取り専用なので、64ビットにアップグレードすることはできません)。
    • SnapMirror関係とSnapVault関係でも64ビット アグリゲートの使用が必要です。

Data ONTAP 8.3への移行にあたり、必要な準備は次のとおりです。

  • 8.2.1以降にアップグレードし、32ビットのアグリゲートが残っている場合は、できるだけ早く64ビットに変換します。
  • 32ビットのSnapshotコピーがあれば、8.3にアップグレードする前に、すべて旧データとして処分または削除します (snap list –fs-block-formatコマンドを実行することで、32ビットのSnapshotを確認できます)。

clustered Data ONTAP 8.3についてご意見をお寄せください。

ご質問、意見交換、情報提供は、ネットアップのコミュニティ サイトまでお願いいたします。

Kevin Hill Jay Goldfinch
ネットアップ
テクニカル マーケティング エンジニア

Jay Goldfinchは、clustered Data ONTAPの複数のリリースに携わっているテクニカル マーケティング エンジニアです。テクニカル マーケティング チームに加わる前は、システム管理、テクニカル サポート、パフォーマンス エンジニアリングを担当してきました。ネットアップには2003年に入社しました。
Mike McNamara Mike McNamara
ネットアップ
プロダクト マーケティング担当シニア マネージャー

Mikeはストレージとデータ管理のマーケティングに関して、25年の経験があります。ネットアップに入社して9年以上経ちますが、それ以前は、Adaptec、EMC、Digital Equipment Corporationで勤務していました。Mikeは過去に、Fibre Channel Industry Associationのマーケティング分野の議長を務めたこともあり、Ethernet Technology Summitの諮問会議や、Ethernet Allianceの現役メンバーとして、業界誌に頻繁に寄稿しているほか、各種イベントにスピーカーとして数多く登壇しています。
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Cloud ONTAPを使用すると、統合データ プロテクションや実証済みのStorage Efficiency機能といった、clustered Data ONTAPの優れたエンタープライズ機能をすべて、Amazon Web Servicesで利用できるようになります。詳細については、今月号のTech OnTapの記事をご覧ください。
 詳細

clustered Data ONTAP 8.3:FASプラットフォーム別のメリット

ご紹介したclustered Data ONTAPの数多くの機能拡張は、各FASプラットフォームに大きなメリットをもたらします。

  • FAS2500:このエントリ プラットフォームに固有のメリットとしては、ハイブリッド ストレージでのFlash Poolのサポート容量が4倍になった点や、高度なドライブ パーティショニングにより、利用可能なストレージ容量が20%以上増えた点が挙げられます。
  • FAS8000:FAS8000シリーズではFlash Poolのサポート容量が4倍になり、最大144TBのキャッシュを搭載できるようになったほか、キャッシュの割り当てがさらに柔軟になりました。また、MetroClusterにより、継続的なデータ可用性が実現されます。
  • オールフラッシュFAS:未使用ブロックのインライン除外などの機能により、ランダム リードのパフォーマンスが60%以上向上します。また、使用可能な容量が20%以上増えることで、さらにパフォーマンスが高まり、IOPSあたりとGBあたりのコストも低下します。

clustered Data ONTAPとクラウド向けのサービス

お客様にclustered Data ONTAPとクラウドをさらに有効活用していただけるよう、ネットアップはさまざまな新サービスを提供しています。たとえば、クラウド向けエンタープライズ トランスフォーメーション ワークショップは、お客様の最適なクラウド ストレージ戦略の構想と設計を支援し、ハイブリッド クラウドへの移行を成功に導くサービスです。ネットアップの効率化 / 最適化サービスは、ネットアップ テクノロジ環境の最適化を希望するお客様に特化したサービスです。また、clustered Data ONTAPを新たに導入するお客様や、clustered Data ONTAPに移行するお客様向けに、clustered Data ONTAP移行サービス、RapidData Migration QuickStart Service、セルフサービス式の各種移行ツールを提供し、スムーズかつシンプルな移行を支援しています。

『Scale-Out Storage: The Next Frontier in Enterprise Data Management』

Tech OnTapへの寄稿でお馴染みのMike McNamaraと、Tech OnTapのベテラン ライターであるPhilip Trautmanが新たに本を執筆しました。エンタープライズとクラウドにおける、スケールアウト ストレージの最新事情が詳しくわかる1冊となっています。

書籍とPDF版はFriesenPress から、その他の電子書籍版は各リーダーの専用サイトでお買い求めください。

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