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Oracle DB環境に最適なStorage選定の勘所
Steven Schuettinger
Steven Schuettinger
(Oracle担当テクニカル アライアンス マネージャー)

昨年9月に開かれたOracle OpenWorldで、ネットアップは自らが掲げるクラウド アプローチの影響力の大きさを感じずにはいられませんでした。これは、プライベート クラウドとパブリック クラウドのどちらでもデータを簡単に移動して利用できるようにする、「お客様のデータをあらゆるクラウドに」というアプローチです。この動きの高まりを受けて、FlexPod®データセンター プラットフォームに注目が集まり続けています。最近のTech OnTapの記事には、Cisco® Validated Designs for Oracle® 構成を始め、FlexPodに近頃盛り込まれた拡張機能が解説されています。

また、DBAや事業部門マネージャーの間では、clustered Data ONTAP®が市場の勢力図を塗り替える画期的製品になるとの認識が広まりつつあります。最大負荷に合わせてデータベース ストレージをプロビジョニングしてしまうと、高価なストレージ インフラがほとんどの時間、大して使われもせず遊んでいる状況になりかねませんが、clustered Data ONTAPなら、ストレージ階層間でデータを移動して要件の変化に対応することが容易にできるため、ハイパフォーマンス ストレージやフラッシュへの投資を最大限に活かせます。

ある大手の石油 / ガス会社では、SAP®の小切手振り出しモジュールのサポートにこの手法を利用する計画です。小切手を振り出す際は、フラッシュで高速化したメディアに必要なデータを移動しますが、これはアプリケーションに透過的に実行されます。処理が完了したら、データを元の場所に戻します。こうすれば、データを常に高速ストレージに格納しておく必要がないため、経済性が高まります。高速化機能は、特定のデータセットで必要になった場合に使用すればよいのです。

昨年は、次の3つのテーマが大きな反響を呼びました。

  • Oracleをフラッシュで高速化
  • 自動化と効率化でRTOとRPOを短縮
  • シン クローニングでビジネスの即応性を向上

今回はこの場を借りて、上記3つのテーマそれぞれをもう少し詳しく説明していきます。

Oracle環境へのフラッシュの統合

フラッシュと、フラッシュがデータベースのパフォーマンスにもたらす効果が業界の話題になっていますが、これは当然の現象です。その一方で、データベースの世界では、全面的に証明されていない実験的手法にはほとんど興味が示されないというのもまた事実です。

ここに、ネットアップのフラッシュ テクノロジが広く受け入れられている理由があると思われます。ネットアップのEFシリーズ フラッシュ アレイに使用されているテクノロジは、65万台以上のストレージ システムに搭載され導入されてきた実績に基づいているため、実証済みのパフォーマンス、信頼性、可用性、管理性を発揮します。

ネットアップは、次の3種類のフラッシュ ソリューションでOracleの要件に応えます。

  • オールフラッシュ(場合に応じてFASとの併用も可能)
  • Flash Pool™インテリジェント キャッシングを使用したハイブリッド
  • Flash Cache™インテリジェント キャッシングを使用したハイブリッド

オールフラッシュ アレイとFASの併用

1つ目のソリューションは、Oracleの機能にNetApp EF540またはEF550フラッシュ アレイのパフォーマンスおよびNetApp FASのデータ保護機能を組み合わせたものです。このソリューションでは、Oracle Automatic Storage Management(ASM)を使用してデータを分割し、全ての書き込みをEFアレイとFASアレイに一斉送信します。FASアレイには、受け取った書き込みをNVRAMに記録してからハードディスク全体にストライピングする実証済みの書き込みアーキテクチャが備わっているため、フラッシュによる高速書き込み機能がなくても大量の書き込みワークロードを処理することができます。

1ミリ秒未満のレイテンシと高いトランザクション パフォーマンスを提供するEFに、冗長性とデータ管理機能を提供するFASを組み合わせ、2つのプラットフォームの強みを活用

図1)1ミリ秒未満のレイテンシと高いトランザクション パフォーマンスを提供するEFに、冗長性とデータ管理機能を提供するFASを組み合わせ、2つのプラットフォームの強みを活用

FASアレイが冗長性とデータ保護機能を提供するのに対し、EFアレイは読み取りのための優先パスを提供します。このソリューションの全体像については、TR-4145 に詳しくまとめられていますので参考にしてください。

当然ながらDBAの目には、2つのデータ パスがあることがやや「実験的手法」のように映るでしょう。そこでネットアップはAppDynamics と提携し、ストレージ インフラに書き込まれるアプリケーション データに細かく優先順位を設定しています。パフォーマンス上のボトルネックがあれば、このツールで素早く検出して解決することができます。AppDynamics製品は、Data ONTAPおよびEFアレイで稼働するSANtricity®のどちらとも連携するので、2つのデータ パスのパフォーマンスを同時に監視することも、それぞれのデータ パスを個々に監視することもできます。これにより、パフォーマンスが適切に管理され、リスクが抑えられます。

Flash Pool

NetApp Flash Poolテクノロジは、Oracleならではの特殊なワークロードに対して予測可能なパフォーマンスを提供し、オールフラッシュ アレイに投資する必要はありません。Oracle環境に見るFlash Poolの活用例は、TR-4195 にまとめられています。

本レポートでは、比較的少量のフラッシュ(HDDの総量の1~12%)を追加し、OLTPパフォーマンスに適用した場合の効果に着目しています。15Kドライブ80本にSSDを組み合わせてFlash Poolキャッシュを構築したところ、1分あたりのトランザクションのスループットが3倍に向上し、レイテンシはSSDを追加する前の3分の1未満に低減しました。同じレイテンシで達成可能なスループットを、ディスクのみを使用した場合とFlash Pool(ディスクとSSDを併用)で比較すると、後者ではスループットが9倍に向上しています。

既存のディスク構成にSSDを追加してFlash Poolキャッシュを構築すると、スループットが9倍に向上

図2)既存のディスク構成にSSDを追加してFlash Poolキャッシュを構築すると、スループットが9倍に向上

同じテストを、3TBのSATAドライブ108本に200GBのSSD11本を組み合わせて実施したところ、スループットがほぼ2.5倍に向上しました。ここでもレイテンシが3分の1に低減しています。

つまり、Flash Poolテクノロジは次のような効果をもたらします。

  • アクセスの多い大規模なデータセットの読み取り時間を一貫して短縮
  • システムのスループットを向上
  • HDDの本数を削減。また、ハイパフォーマンスHDDの代わりに低価格の大容量HDDを使用可能

Flash Cache

Flash Cacheは、2009年に初めてリリースされて以来、ネットアップ ストレージでOracle環境をサポートされている多くのお客様にご利用頂いております。Flash Cacheは、PCIeフラッシュ カードとしてFASコントローラに直接搭載される製品で、数テラバイトのキャッシュにより読み取りパフォーマンスを高速化します(現在搭載可能な最大容量は、FAS6290に複数のカードを装着した場合の16TB)。Flash CacheはOracle環境をサポートするFlexPodソリューションにも組み込まれており、読み取り処理が頻繁に発生するOracleワークロード全てに、このテクノロジが活かされています。テストでは、HDDのみで構成した既存のシステムにFlash Cacheを追加すると、I/Oスループットが75%、平均応答時間が30%向上することが分かっています。

Oracleデータベース環境でのFlash CacheやFlash Poolの活用法については、TR-4162もガイダンスとしてご利用頂けます。

バックアップとリカバリ

OracleのバックアップとリカバリはTech OnTap®の過去の記事で何度か取り上げられていますが、DBAにとって大きな懸念事項であることに変わりはありません。ネットアップは、NetApp Snapshot™テクノロジでここに大きな威力を発揮しています。

その威力のほどですが、ネットアップでは、Oracle提供のテスト ツールと枠組みであるOracle Automated Stress Test(OAST)スキーマを使用し、8TBのデータベースでテストを実施しました。お馴染みのOracleバックアップ ツールであるRMANを使用し、バイナリ圧縮を利用したところ、バックアップに26時間かかりました。一方、NetApp Snapshotで整合性のあるバックアップを取得するのには、わずか1分47秒しかかかりませんでした。テストではSnapManager® for Oracleを使用し、データベースをホット バックアップ モードにしてからSnapshotコピーを取得しました。データベースはコピー取得後、通常運用に戻しています。詳細は、Oracle on FlexPodのCVD で「Test Environment(テスト環境)」と「Results and Conclusions(結果とまとめ)」のセクションをご参照ください。

Snapshotの高速さがお分かり頂けたでしょうか。さらにSnapshotは、速さ以外にも大きなメリットをもたらします。Oracle RMANはサーバで稼働します。Oracleライセンスは、アプリケーションの実行に必要なコアの数だけ購入しなければなりません。その際、バックアップに必要なコンピューティングの処理能力も含めて考える必要がありますが、このバックアップ処理をサーバからストレージにオフロードできれば、Oracleライセンスの数を減らしてもアプリケーションの動作が低下することにはなりません。場合によってはよりスムーズに動作することも考えられます。現実的には、ユーザがライセンスを返上することは通常ありませんが、このオフロードによってOracleのリソースを解放し、開発やテストといった他の作業に当てることができます。

ここで、皆様は次のように考えられるのではないでしょうか。「そうは言っても、スナップショット テクノロジはどのストレージ ベンダーにもあるじゃないか。他のストレージを退けてまでネットアップを選ぶ理由とは何だろう」。実は、他社のスナップショット テクノロジはcopy-on-write(COW)技術がベースになっており、ブロックが上書きされる度に、オリジナルのブロックを、どこかよその場所にまずコピーしなければなりません。このため、データの書き込み速度が低下し、データベースの動作が落ち込んでしまいます。これに対し、NetApp WAFL®(Write Anywhere File Layout)では、既存のブロックが上書きされることは一切ありません。WAFLの方式はcopy-on-writeではないため、パフォーマンスが低下することがないのです。ボリュームあたり最大252個のSnapshotコピーを、パフォーマンスにほとんど影響を与えることなく保持できます。ストレージ スペースが消費されるのは、アクティブなデータベースに変更が加えられたときのみです。

Snapshotコピーに関してはもう一つ、「本物の」バックアップではないというご意見を伺っています。インフラやサイト全体の障害発生時にデータをリカバリできなければ「本物の」バックアップではない、というのがその理由ですが、だからこそ弊社では、ネットアップ ストレージでSnapshotコピーを作成されているお客様に対し、必要に応じて2次サイトや3次のリモート サイトにミラーリングしたりバックアップしたりできるよう、さまざまな手段を提供しているのです。繰り返しになりますが、バックアップ処理はストレージ システムが担うため、データベース サーバに余計な負荷がかかることはありません。データベースと整合性のとれたSnapshotコピーが2分足らずで取得できるため、必要に応じて何度でもコピーを作成できます。いったんSnapshotコピーを作成すれば、さまざまな方法でデータを保護し管理できます。

最後の問題ですが、Oracle DBAの皆様は現在使用しているツールに慣れている方が多いため、作業の進め方を変更することにためらいがある、という点です。そこでネットアップは数年前、DBAの皆様が、使い慣れているツールからネットアップの各種機能を実行できるよう、RMAN向けインターフェイスを開発しました。NetApp Snapshotバックアップ、NetApp SnapRestore®(Snapshotバックアップのリストア ツール)、NetApp FlexClone®(詳細は次のセクションで説明)をRMANから実行できるため、リスクが抑えられ、ネットアップの機能に簡単に馴染んで頂けます。

シン クローニングによるビジネスの即応性向上

最後に取り上げるテクノロジは、NetApp FlexCloneテクノロジを使用したクローン作成です。FlexCloneはボリュームの書き込み可能な「コピー」を作成するソフトウェアです。ただし、消費するストレージが変更のあった差分のみで済むことから「シン クローニング」と呼ばれています。このテクノロジに詳しくないという方は、Back to Basics:FlexCloneをご参照ください。

Oracleの視点に立てば、データベースの書き込み可能なコピーをいつでも必要なときに作成できるのがFlexCloneのメリットです。FlexCloneの利点をどこに見出すかは、ユーザの役割によって異なると思われます。

  • ストレージ管理者にとってのFlexCloneの価値は、ストレージの総設置面積を削減できる効率性にあります。FlexCloneがあれば、データベースのコピーが必要になっても、ディスクの空きスペースを慌てて探す必要がありません。
  • DBAにとってのFlexCloneの価値は、リスクを抑制できることです。本番用インスタンスにパッチを適用する際、クローンを作成してそこにパッチを適用すれば、実際にパッチを展開する前に全てが予想どおりに動作することを確認できます。
  • 事業部門の場合、FlexCloneがあれば、開発チームのメンバー全員にそれぞれ専用のクローンを配布できるため、開発プロセスを短縮できる点が評価されています。

アプリケーションのテスト フローの簡易化

アプリケーションのテストは、そのアプリケーションを使用するデータベースが新しいものであれ既存のデータベースのリリースであれ、常に複雑で時間がかかり、場合によっては費用が高くつくプロセスです。

  • アプリケーションが正常に動作することを確認するには、本番環境のデータをテストしなければなりません。ただしそうなると、テストがボトルネックとならないよう、本番環境のデータのコピーをいくつも用意する必要が生じるかもしれません。
  • 本番環境のデータベースに格納されている実際のデータを使うわけですから、顧客の名前や住所、アカウント情報、クレジット カード情報などの個人情報を保護することも多分必要でしょう。
  • テストの手法は、テスト用のデータベースで実際にアプリケーションをテストできるものでなければなりません。

ネットアップとOracleの機能を併用すれば、Oracle 11gを対象に実施するアプリケーションのテスト プロセスを合理化できます。

  • NetApp FlexCloneテクノロジでは、データセットのシン クローンを必要なだけ作成できます。
  • Oracle Data Masking Packは、マスキング フォーマットを一貫したルールベースで提供し、規制遵守を可能にするアプリケーションです。充実したフォーマット ライブラリにより、さまざまなマスク フォーマットを利用できます。
  • NetApp SnapManager for Oracleは、クローニングやデータ マスキングなどの処理を自動化し、プロセスを最大限に効率化します。オペレータによるミスも抑えられます。
  • Oracle Real Application Testingは、Oracle Database 11gで導入されました。この機能にネットアップ テクノロジを組み合わせると、アプリケーションが正常に機能し動作するかどうかを短期間でテストすることができます。

図3に、以上のテクノロジを使用したテスト プロセスのフローを示します。

テスト環境の構築とテストに、ネットアップとOracleのテクノロジを併用したプロセスのフロー

図3)テスト環境の構築とテストに、ネットアップとOracleのテクノロジを併用したプロセスのフロー

まとめ

ネットアップは、Oracleデータベースの円滑な運用を目指して、常に新たな革新的技術を提供しています。ネットアップには多種多様なフラッシュ ソリューションが揃っているため、お客様のパフォーマンス要件に合わせて、予算内で最適なソリューションを選択できます。Snapshotとクローニングは新しいテクノロジではありませんが、この2つを利用するとさまざまなデータ管理タスクが簡易化、迅速化されるため、DBAの間では今も重宝がられています。

また、先頃リリースされたFlexPod CVDでは、適切なインフラを使用して新しいアプリケーションを簡単に導入できる上、clustered Data ONTAPが提供する新機能によって、Oracle環境の柔軟性をさらに高めることができます。

 Oracle DB環境に最適なStorage選定の勘所 に関するご意見をお寄せください。

ご質問、意見交換、情報提供は、ネットアップのコミュニティ サイトまでお願いいたします。

Steven Schuettinger
ネットアップ
Oracle担当テクニカル アライアンス チーム

Steveは、Oracleバージョン5の開発者としてIT業界でのキャリアをスタートさせ、DBAになるまで、パフォーマンスと管理機能を中心に担当しました。Sun Microsystemsでは初のOracle DBAとなり、Sunのテクニカル アライアンス マネージャーとしてOracleに関わりました。ネットアップには2005年に入社。お客様のコンサルタントを担当すると同時に、ネットアップとOracleの連携に技術面で携わっています。元々がDBAであることから、DBAが直面するデータベース独自の課題を解決することや、DBAならではの言い回しでコミュニケーションをとることを得意としています。

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