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clustered Data ONTAPを始めるための7つのヒント
Ryan Beaty氏
Ryan Beaty氏
Zumasys、インフラ プラクティス マネージャー、

ネットアップのclustered Data ONTAPは、ノンストップ オペレーション、総所有コストの削減、シームレスな拡張性をはじめとする数々の機能と画期的なメリットで、昨今大きな話題となっています。

しかし、clustered Data ONTAPが複雑であるというFUDが多く流布しているのも事実です。こうした噂の多くは、clustered Data ONTAPをよく知らない人や、実地経験の少ない人から流れています。私は、clustered Data ONTAPのパートナー プロフェッショナル サービス / システム エンジニアリング スペシャリストとして最初に認定された50人のうちの1人であり、Data ONTAP 7-Modeとclustered Data ONTAPの両方に長年にわたって携わってきました。3年前にZumasysに入社して以来、インストールしたData ONTAPの数は約50に上り、ここ数カ月ではclustered Data ONTAPをインストールする機会が大幅に増えています。clustered Data ONTAPについてよくご存じでない場合は、今こそがclustered Data ONTAPを急いで習得するタイミングであると言っていいでしょう。

clustered Data ONTAPは、7-Modeとは異なるオペレーティング システムですが、ノンストップ オペレーションをはじめとする新たに追加された機能を考えれば、習得する価値が十分にあります。この記事では、clustered Data ONTAPに習熟するためのヒントをいくつかご紹介したいと思います。読者の皆様が7-Modeをよくご存じであるとの前提で説明を進めていますが、Data ONTAPが初めての皆様にも役に立つ内容となっています。

ヒント1:clustered Data ONTAP Simulatorで練習する

ネットアップのシミュレータと呼ばれる「Simulate ONTAP 8」は、clustered Data ONTAPのスキルを磨くために使用できる桁違いに優れたツールです。シミュレータを使用すれば、クラスタの設定と運用のあらゆる側面を習得できるほか、AutoSupportの設定、ジョブのスケジュール設定、アラート、ネットワーク フェイルオーバー グループなどのベストプラクティスについても理解できます。

よく「習うより慣れろ」と言われますが、それはこのシミュレータにも当てはまります。シミュレータは、設計のあらゆる側面を一通り学べるように作られています。最後まで終了したら、クラスタを削除して、あらゆる機能の仕組みや、御社に最適な設定が理解できるまで、最初からやり直してみることをお勧めします。

Simulate ONTAP 8 はネットアップのサポート サイトからダウンロードできます(ネットアップのサポート サイトへのログインが必要です。また、Data ONTAPのお客様と一部のパートナーのみがダウンロードできます)。シミュレータの実行に必要なのは、2GB以上のメモリを搭載し、40GB以上の空きディスク スペースがあるデュアルコアのノートパソコンまたはデスクトップのみです。WindowsシステムではVMware Workstationソフトウェアが、MacではVMware Fusionが必要です(最新のバージョン要件は、サイトに掲載されています)。実行予定のclustered Data ONTAPのバージョンに対応するシミュレータ バージョンを選択してください。

ヒント2:新しいコマンドライン インターフェイスについて学ぶ

シミュレータで最初に学習したいことの1つが、clustered Data ONTAPのコマンドライン インターフェイス(CLI)です。clustered Data ONTAPには、設定機能や管理機能のほぼすべてを実行できるグラフィカルな管理ツールが搭載されていますが、やはり機能と柔軟性においてコマンドラインの代わりになるものはありません。

一方、私のようにコマンドラインをずっと愛用してきた方の場合は、新しいCLIの階層構造に慣れが必要です。私が気に入っている新しいCLI機能の1つが、タブ補完です。いったんタブ補完機能を知ると、7-Modeに戻ったときにタブ補完機能が間違いなく欲しくなります。

CLIは、コマンドの階層に基づいて構成されています。このため、クエスチョン マークを入力するだけで、使用できるすべてのコマンドが表示されることはありません。コマンドは、ネットワーク、QoS、SnapMirror、ボリュームのように、フォルダに似た構造でグループ化されています。いったん階層の最初のレベルに入ると、具体的なコマンドを使用できるようになります。たとえば、「network」に入ると、ping、traceroute、ポート管理、インターフェイス管理などのオプションを使用できます。構造を理解するのに少し慣れが必要なこともありますが、7-ModeのCLIをご存じの場合は、階層の最上位レベルで何を設定したいかを考えることで、すぐにスムーズにナビゲートできるようになります。

いきなり本番環境で新しいCLIを使い始める前に、シミュレータで慣れておくことをお勧めします。

ヒント3:Storage Virtual Machineを最大限に活用する

clustered Data ONTAPでは、すべてのデータ アクセスがStorage Virtual Machine(SVM)と呼ばれる論理構造を経由します(SVMは以前は「Vserver」と呼ばれ、CLIでは現在もVserverとなっています)。このため、クライアント側やホスト側で変更や停止を行わなくても、SVMが使用する物理リソースを変更することができます。

SVMは、セキュアな仮想ストレージ コンテナで、SVMごとにIPアドレスとネームスペースが割り当てられ、管理上のセキュリティを確保できます。SVMには、クラスタ内の任意のノードに配置されているボリュームを格納することができます。また、単一のクラスタ内で1~数百までのSVMを作成できます。各SVMでは、1つ以上のSAN(FC、FCoE、iSCSI)とNAS(NFS、pNFS, CIFS)アクセス プロトコルの両方またはいずれか一方を使用でき、1つのSVMには、1つ以上のボリュームと論理インターフェイス(LIF)が含まれます(LIFについては以降のセクションで詳しく説明します)。

clustered Data ONTAPは、Storage Virtual Machineを使用して論理エンティティを物理ハードウェアから分離し、セキュア マルチテナンシーを実現します。

図1)clustered Data ONTAPは、Storage Virtual Machineを使用して論理エンティティを物理ハードウェアから分離し、セキュア マルチテナンシーを実現します。

1つのクラスタ内に複数のSVMを作成して、さまざまな目的を果たせます。たとえば、サービス プロバイダの場合、1つのクラスタ上でクライアントごとに別々のSVMを使用できます。SVMは、clustered Data ONTAPシステムを使用する環境が本質的にマルチテナントでない場合も、clustered Data ONTAPシステムを設計する際に検討が必要な大事な要素です。

たとえば、私の場合、サーバによって使用されるストレージ ボリュームを1つのSVMに、ユーザ共有ボリュームを別のSVMに配置するようにしています。また、通常、すべてのiSCSI / FC LUN、NFSデータストア / マウントを1つのSVM内に作成し、CIFS共有を別のSVM内に作成するようにしています。こうすることで、災害が発生した際の柔軟性が増します。7-Modeでvfiler drを使用して分離を実現されていた場合は、同様のことを行っているとお考えください。

SVMをセットアップする際にその他に考慮が必要な点は、次のとおりです。

  • QoSポリシーはSVMに直接適用できます。これは、サービス プロバイダにとっては非常に役立つ機能です。ただし、QoSポリシーをSVMレベルで割り当てると、QoS構造内できめ細かい設定ができなくなる点にご注意ください。これは、QoSをSVMに割り当てると、そのSVM内の特定のボリュームにQoSポリシーを割り当てられなくなるためで、どのようなケースにも最善のQoSの適用方法とは言えません。
  • 社内で各部門を分離し、他の部門からデータを完全に分離できます。
  • チャージバックが大幅に簡易化されます。各SVMの利用状況が簡単にわかるようになります。
  • 管理を委任する目的で別々のSVMを使用できます。異なるグループや部門に管理権限を与えて、他のSVMに影響を与えずに、グループや部門が自らのデータを管理できるようにすることができます。

ヒント4:論理インターフェイスを理解する

論理インターフェイス(LIF)は、clustered Data ONTAPの仕組みを完全に理解する上で、おそらく一番のポイントとなるテクノロジでしょう。私がこのことに気づいたのは、昨年10月のNetApp Insightで、他のネットアップ システムのエンジニアと話をしたことがきっかけでした(今年開催されるイベントの情報については、サイドバーをご覧ください)。LIFは、clustered Data ONTAP内のノンストップ オペレーションに不可欠なため、LIFとは何であり、どのような仕組みなのか、LIFを使用してシステムをどのように設計したらよいのかを理解することが重要になります。こうしたことを十分に理解できると、LIFとは何かを「なんとなく」理解しているだけの人に大きく差をつけられます。では、いよいよ技術的な説明に入りましょう。

ちょうどハイパーバイザーが仮想スイッチでネットワークを抽象化するように、NetApp LIFはネットアップ クラスタの物理ネットワークを抽象化します。LIFは、SANやNASのネットワーク接続を仮想化する論理ネットワーク インターフェイスです。このため、ネットワークを一切停止することなく、クラスタの拡張や縮小、さらにはノードの交換も行えます。LIFはSVMと関連付けられ、コントローラ上の物理ネットワーク ポート、インターフェイス グループ、またはVLAN(タギングが有効な場合)とマッピングされます。LIFは仮想インターフェイスなので、同一または別のクラスタ ノード上にある他の物理ポートにLIFを移動したとしても、LIFアドレスが変更されることはありません。NASの場合、クラスタ ノードの1台がダウンすると、HAペアでのストレージのフェイルオーバーと連動してLIFのフェイルオーバーが自動的に実行され、データ アクセスが維持されます。別のポートにLIFを手動で移すことも可能です。

clustered Data ONTAPは、論理インターフェイス(LIF)を使用してネットワーク接続を仮想化しています。LIFは、ノンストップ オペレーションの鍵を握っているテクノロジです。

図2)clustered Data ONTAPは、論理インターフェイス(LIF)を使用してネットワーク接続を仮想化しています。LIFは、ノンストップ オペレーションの鍵を握っているテクノロジです。

各クラスタ ノードは、最大256個のLIFをサポートできますが、そのうち6個は管理機能とクラスタ機能用に予約されます(このため、最大で250個のLIFを使用できます)。データLIFはクライアントやホストにデータを提供するために使用され、SANとNASに対応しています。IPベースのLIF(NASとiSCSIに対応)にはIPアドレスが割り当てられ、FCベースのLIFにはWWPNが割り当てられます。SVMにはそれぞれ、1つ以上のデータLIFが必要です。通常の運用時には、ノードあたりのデータLIFの数を、125個以下にすることを推奨します。こうしておけば、HAフェイルオーバーが発生し、障害が起きたノードのすべてのLIFを引き継いだとしても、パートナー ノード上ではLIFの上限を超えることがありません。

LIFとLIFの移動について詳しくは、ノンストップ オペレーションに関するこちらのTech OnTapの記事をご覧ください。フェイルオーバー グループ、ロード バランシングなど、clustered Data ONTAPのネットワークに関する詳細については、『TR-4182:Best Practices for clustered Data ONTAP Network Configurations』や『clustered Data ONTAP 8.2 ネットワーク管理ガイド』をご覧ください。また、最新のリソースについては、ネットアップのサポート サイト(ログインが必要です)やNetApp University もご確認ください。

ヒント5:使用するVLANやIPアドレスの数が増えるため、準備をしておく

VLAN についてはほとんどの方がご存じかと思いますが、clustered Data ONTAPシステムの場合、7-Modeよりも使用するVLANやIPアドレスの数が増えることに留意する必要があります。たとえば、7-Modeストレージ システムで3つのVLAN(本番、iSCSI、NFS)を使用していた場合、clustered Data ONTAPでは5つのVLAN(管理、本番、iSCSI、NFS、SnapMirror)を使用することになります。clustered Data ONTAPでは管理VLANが必須であり、管理を別のVLANに分離することで、ネットワークに問題が生じた場合でもすべてのクラスタ ノードと通信できます。

ほとんどのネットワーク エンジニアが口を揃えるのが、ブロードキャスト ドメインは最小限にするのが望ましい、ということです。VLANへの各トラフィック タイプを分離することで、意図しない受信者による傍受を最小限に抑えられます。また、データのセキュリティ保護の面でも役立ちます。CIDR 20ネットワークを構築して、NFS、iSCSI、CIFSを同じサブネット上で実行することも可能ですが、この方法はトラブルを招くだけです。私を含め、多くのエンジニアは、プロトコルごとにVLANを構築して、ブロードキャスト ドメインを小規模に抑え、セキュリティを高めます。

個人的には、一貫性を保つことも非常に重要だと考えます。プロトコルごとに異なるVLANを使用すると、IPアドレスの指定方式を覚えやすく維持する上でも役立ちます。たとえば、私の場合、可能であれば同じノード上のすべてのIPアドレスが同じオクテットで終わるようにします。

使用するIPアドレスは、7-Modeシステムよりもはるかに多くなるため、備えが必要です。SVMごとに管理IPアドレスと、ブロック(iSCSI)IPアドレス、ファイル(CIFS、NFS)IPアドレスの両方またはいずれか一方が必要です。たとえば、サービス プロセッサを搭載し、CIFS、iSCSI、NFSを実行している7-Modeシステムの場合、コントローラごとにIPアドレスが5つ必要ですが、clustered Data ONTAで同様の設定にした場合、IPアドレスが約14個必要です。ブロック内に十分なIPアドレスを確保しておくと、導入が非常にスムーズに進みます。

ヒント6:命名規則を新しくする

clustered Data ONTAPには新しい機能が導入されていることから、命名規則を熟慮して用意しておくことがこれまでになく重要になりました。たとえば、論理インターフェイス グループ(LIF)は、n01_svm01_nfsのように命名できます。このように命名すると、このLIFはNode01上にあり、SVM01に関連付けられていて、NFSに使用されていることが一目瞭然になります。ボリュームもsvm01_ds01のように命名できます。これは、ボリュームがSVM01にあり、ds01という名前であることを意味します。命名規則の内容は、命名規則があるかどうかということに比べれば、さほど重要ではありません。特定の名前付きオブジェクトがノードまたはSVMに関連付けられている場合は、命名規則でそのことがわかるようにします。反対に、オブジェクトが移動する場合は、SVMやノードを名前に含めない方がよいでしょう。完璧な処方箋は存在しませんが、一貫性があることが重要です。ぜひclustered Data ONTAPを初めて導入する前に、命名規則を準備するようにしてください。その後の業務や運用がはるかに容易になります。

ヒント7:チェックリストを作成または更新する

7-Modeの管理者またはシステム エンジニアの方であれば、時間をかけて身に付け、文書化してきたインストール手順やその他の手順のチェックリストをお持ちのことと思います。clustered Data ONTAPの場合も同様のチェックリストを作成するか、これまでのチェックリストを更新することは、当然のステップに思えますが、見過ごされやすいのが現実です。 まだ文書化したチェックリストがない場合は、7-Modeシステムのセットアップなど、特定の手順をどのように実行するかを書き出して、そこを開始点にします。次に、そのチェックリストを基に、シミュレータを使用してclustered Data ONTAPで同じプロセスを実行します。すると、7-Modeの手順の一部は、clustered Data ONTAPではまったく異なる方法で実行する必要がある一方、一般的な概念は引き続き当てはまることがわかります。ノードごとに実行する必要がある手順もあれば、クラスタ全体に対して実行する手順もあります。このように1つ1つを確認し終えたら、チェックリストを新しく作成するか、これまでのものを更新してください。

 clustered Data ONTAP に関するご意見をお寄せください。

ご質問、意見交換、情報提供は、ネットアップのコミュニティ サイトまでお願いいたします。

Ryan Beaty氏
Zumasys
インフラ プラクティス マネージャー

Beaty氏は、第一線で活躍しているNetApp Certified Implementation Engineer(NCIE)であり、VMware、Microsoft Exchangeなどのエンタープライズ テクノロジに関する豊富な経験を持っています。この8年間に数々のシステムやネットワークの構築と管理に携わり、ユーザ数1,800人超、99.998%のアップタイムを誇る大規模ネットワークも担当しています。

Beaty氏のZumasysでの主な任務は、顧客のニーズに合ったネットアップ ソリューションの設計と実装です。Beaty氏は、各ソリューションの明確なイメージを提供してから実装に移ること、最高品質の納品物を提供することをモットーとしています。

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Zumasysについて

ネットアップのパートナーであり、クラウド サービス プロバイダであるZumasysは、エンタープライズクラスのインフラ テクノロジを北米全域の企業に提供しています。2000年に設立されたZumasysは、コストの削減と生産性の向上を実現するITソリューションに特化した企業です。同社は、顧客のニーズに耳を傾け、強力な関係を築き、複数のベンダーのテクノロジをニーズに合わせてカスタマイズすることによって成果をもたらし、高い顧客満足度を達成しています。

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Insight 2014は、テクノロジに関心をお持ちのストレージ プロフェッショナルやデータ管理プロフェッショナルの方を対象に、ネットアップが年1回開催しているカンファレンスです。システム エンジニア、プロフェッショナル サービス コンサルタント、パートナー企業の社員の皆様のほか、今年は初の試みとして、ユーザ企業の皆様のご参加も受け付けております。

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